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イタリアワインのガイド本から得た視点

Vol.062
主は、Xを使って毎日なにか呟いています。それと同時に、フィードに上がってくる気になる情報をリツイートすることもよくあります。特に、イタリアのファッション(メンズ、レディースに限らず)やワイン、デザイン、アート、スポーツ、音楽、映画など、ひとことでいえば、イタリア文化に関するテーマは、反射的にリツイートしています。リツイートするときに参考とする配信先が、テレビ局RAIや料理専門誌『GAMBERO ROSSO/ガンベロロッソ』のメディアです。

いま振り返ると、1997~98年イタリアに住んでいた頃、一食も美味しいイタリア料理を逃すまいと、最初の居住地となったフィレンツェのアパートに滞在してすぐ、『GAMBERO ROSSO』を書店で手に入れました。『GAMBERO ROSSO』とはどんな本かといえば、イタリア全土の食の名店を掲載した、“イタリア版『ミシュラン』”のようなガイド本です。

不思議なもので、まだそんなにイタリア語がわからなくても、目星をつけたリストランテの寸評は結構読めていました。コメントを書いたライターは、どんな料理や店の雰囲気に魅力を感じていたのか。美味しいという料理にどれほど感情移入しているのか。そして、料金は実際いくらなのか。むさぼるようにして、ページをめくっていました。

『GAMBERO ROSSO』のかたわらで、大好きなイタリアワインのガイドにもよく目を通していました。イタリアには、山ほどワインガイドがありますが、『GAMBERO ROSSO』のワイン版を手に入れ、『I Vini di Veronelli/イ ヴィーニ ディ ヴェロネッリ』も愛読しました。

どちらの本も無味乾燥といえば、なんとも味気なく聞こえるでしょうが、それは正直な印象でした。イタリアの各地域別にカンティーナ(ワイナリー)が列挙され、その地域のカンティーナが並ぶ。創業からの歴史やワイン造りの方法、オーナーの哲学が記されたあとに、リリースされたワインの評価が並ぶという具合。なにか機械的な記述にみえるのです。

ところが、何度か本を開いていくうちに、本のなかに潜む編集者の意図が透けてみえてきました。特に『I Vini di Veronelli』の方は、創刊者のルイジ・ヴェロネッリさんがガイドにかける情熱が綴られていました。

ルイジ・ヴェロネッリさんが『I Vini di Veronelli』を創刊したのは、1991年。小さな農家や気骨ある造り手に目を向けたのです。自然な製造方法で手掛ける作物や食品にスポットを当てたスローフードが、北イタリアのブラで誕生したのが1986年でしたから、その5年後に『I Vini di Veronelli』が出版されたことになります。
日本でいえば、バブル経済が崩壊に向かいつつある時期、イタリアの食の世界は、それまでの価値観からダイナミックにパラダイムシフトが進行していたともいえますね。

当時、大量生産や均質なものに対して厳しい態度で批判したのが、強い倫理観を持った何人かのイタリア人ジャーナリスト。そのひとりが、ルイジ・ヴェロネッリさんということがわかりました。時代背景として、スローフードと『I Vini di Veronelli』はセットとして語られてもおかしくない存在かもしれない。

今回のテキストは、『GAMBERO ROSSO』からはじまりました。そのあとのルイジ・ヴェロネッリさんについて、実は、もっとたくさん書き記したいことがありますが、ここからでは文章が長くなるため、続きは次回に。きっと、日本ではあまり語られてこなかった話になるんじゃないかな……。

『GAMBERO ROSSO/ristoranti d’Italia』
1997年版。
イタリアに住んでいたころ、
フィレンツェ→ナポリ→ヴェネツィア→ミラノへと
1年間かけて滞在先を変えましたが、
常に脇に抱えていたのが、この一冊です。
『GAMBERO ROSSO』で
『ミシュラン』の星に当たるのが、
フォルケッタ(フォーク)のマーク。
写真はちょうど、
フィレンツェの名店『エノテカ・ピンキオッリ』の
ページを開いていますが、
トレ・フォルケッティ(いわゆる3つ星)で
91点。
ほとんど最高レベルです。
『I Vini di Veronelli』2006年版。
『I Vini di Veronelli』は、
ルイジ・ヴェロネッリさんの逝去とともに、
2004年で一旦発刊の区切りつきました。
その後、かつて携わっていた
エディターが引き継ぐことになり、
2006年版は彼らの編集です。
無味乾燥な記号のようにみえるレイアウトでも、
精緻なデータが詰まっています。

次回の”ディアリオ ヴィーノサローネ”に続きます。

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