最初の一歩で、完成が急に近づいた日
―― 作りたいものを相談しながら始まった、 着物リメイク本講座
前回の体験講座では、着物からボレロを制作した。
そして今回、その時に残った生地を持って来てくださった。
次は、この生地を何にしよう。
体験講座の時から、これから作ってみたいものについて少しずつ相談して
いたので、今回作るものはほぼ決まっていた。
この日は、柄の向きを相談したら、早速制作開始。
同じ形に裁断しても、柄をどちらに向けるかで、仕上がった時の印象は
大きく変わる。
完成した姿を想像しながら向きを決め、できるだけ無駄なく、きれいに裁断する方法をお伝えした。
生地の歪みを整えながら
裁断の前に、まずはアイロンをかけて生地を整える。
ほどいた着物地は、長い間縫われていた跡が残っていたり、少し歪んで
いたりする。
アイロンをかけながら、その歪みを少しずつ整えていく。
その時間に、環境のことや食のこと、日々の暮らしのことへと、自然に話が広がった。
そして、会話の流れの中で、生徒さんからこんな言葉が出てきた。
人を変えようとするのではなく、自分が変われば、自然と相手が変わる。
深い話をしようと構えていたわけではない。
ただ、生地の歪みを整えながら、自然と出てきた言葉だった。
布を整えながら、人との関わり方や、自分自身のあり方について話して
いる。
あとから思うと、なんだか面白い時間だった。
私は着物リメイクをお伝えする立場だけれど、講座の時間には、私の方が
教えてもらうこともある。
手を動かしながらだからこそ、自然に話せることもあるのだと思う。
私には見えていても、まだ見えていない
制作を進めながら、私自身にもひとつ気づきがあった。
私は生地を見た時点で、完成した形が頭の中に見えている。
どこを切るのか。
どこに縫い代をつけるのか。
どことどこを縫い合わせるのか。
シンプルな形だから、説明すればすぐに伝わると思っていた。
でも、服を作った経験がない人にとっては、平らな布を見ながら、完成した立体の形を想像することは、思っていた以上に難しい。
私には当たり前に見えていることが、相手にも同じように見えているとは
限らない。
言葉だけで説明するのではなく、もう一歩手前から伝えること。
完成形へ向かう途中を、ひとつずつ一緒に見ていくこと。
教える側として、私もまだまだ整えていくことがありそうだ。

次回、いよいよ形になる
着物をほどき、生地の歪みを整え、裁断まで進んだ。
平らな布だったものが、少しずつ次の姿へ向かい始めている。
最初は、完成まで少し遠く感じていたかもしれない。
でも、布を広げて手を動かし始めると、完成した姿が少しずつ見えてくる。
形が見え始めると、次の時間が待ち遠しくなる。
「次回には完成できそうですね」
そう話すと、とても楽しみにしながら帰られた。
まだ完成はしていない。
でも、もう完成した姿は見え始めている。
次回、いよいよ形になる。
楽しみにしているのは、きっと受講者さんだけではない。
SEN–ReNoble
