📚 問いの教室 初伝二|問いを開く|また来たくなる相談と、一度きりの相談
問いの教室 初伝二
また来たくなる相談と、一度きりの相談
問いを開く
「はい・いいえ」で閉じてしまう、その先へ
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「即答しない|答えを求められたとき、まず一拍おくということ」
https://note.com/visuali_zation/n/n131719b63986
この物語はフィクションです。凛も小雪も、作中の相談も、すべて創作です。現実の占いやカウンセリングには守秘義務があり、相談の内容を他者に語ることはありません。本作では、問いの技術を物語として伝えるために、相談の場面を描いています。実在の人物・出来事とは関係ありません。
「先生。前の話の、続きを、訊いてもいいですか」
小雪は、座るなり、そう切り出した。
「繰り返す、は、やってみました。友だちが、『もう、辞めたいのかも』って言って。わたし、『辞めたいのか、迷ってるんだね』って、返したんです」
「うん」
「そしたら、その子、『……うん』って。それで、止まっちゃって。先生が言ってた、あれです。繰り返しても、まだ、止まってる、やつ」
凛は、小さく、うなずいた。
「よく、そこまで、運んだね」
「でも、その先が、分からなくて。『うん』のあと、わたし、また、黙るしか、なかった」
「じゃあ、今日は、その『うん』の先を、やろうか」
凛は、お茶を一口含んで、続けた。
「小雪さん。その子に、もし、もう一つ訊くとしたら。何て、訊く?」
小雪は、考えた。
「……『やっぱり、辞めたいの?』、かな」
「それに、その子は、なんて答える?」
「『うん』か、『ううん』……あ」
小雪は、気づいたように、止まった。
「それだと、また、『うん』で、終わっちゃう」
「そう。『辞めたいの?』は、はい、か、いいえ、で答えられる問い。閉じた問い、と呼ぶことにしようか」
凛は、一枚の紙を、置いた。
「これは、知人が、恋愛の相談にのったときの、記録。相談に来た人が、こう訊いてきたの。『彼は、私を、好きでしょうか』」
「はい、か、いいえ、ですね。閉じてる」
「そう。で、その問いには、答えなかった。代わりに、こう、返したの。『あなたは、この関係を、どうしたいですか』」
小雪は、その二つを、見比べた。
「……『好きでしょうか』と、『どうしたいですか』」
「何が、違う?」
「『好きでしょうか』は、はい、か、いいえ。でも、『どうしたいですか』は……答えが、たくさん、ある。その人が、自分で、考えなきゃ、答えられない」
「そう。それが、開いた問い」
小雪は、二つの問いを、もう一度、見た。何かが、引っかかっている顔だった。
「でも、先生。なんで、わざわざ、考えさせるんですか。『好きでしょうか』に、はい、か、いいえで、答えてあげたほうが、親切な気も……」
「いい、ところに、引っかかったね」
凛は、湯呑みを、両手で、包んだ。
「その『なぜ』が、今日の、いちばん奥。閉じた問いと、開いた問いの、本当の違い。それは、答えの数じゃ、ないの」
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