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あの日、ママになったわたしへ。

クリスマスも近くなった、あの日


あなたはママになったね


あの日、保育器に入り弱々しく
おててを震わせながら泣いてる我が子が
ただかわいくて、かわいくて、
愛おしくて


ただ、それだけのこと


それだけのことなのに…
世界でいま一番じぶんが
しあわせだなって…
しあわせを噛みしめて


しあわせを噛みしめながら
保育器の中にいる我が子に慣れない
手つきでミルクをあげて…
おむつを取り替えて……


ただ、それだけのこと



それだけのことなのに
この子に、わたしはママにして
もらったんだ
わたしがママになったんじゃない


この子に…この子に、
ママにしてもらったんじゃないか…
ありがとうねって…
ふるえるこころで、あなたはそう
思ったよね


前の子も流産して
高齢出産だったから…
我が子のお顔をみつめながら
この子に…ママにしてもらったんだな
って思ったよね


抱きしめることは叶わないから
我が子の小さいおててをぎゅっと
握りしめて


『わたし…ママに…してくれて…
 ありがとね』


たくさんなみだをこぼしながら…
それだけが、
あの日、我が子にかけられたことば


主治医の先生に
『この子と尊いときを過ごしてきたね』
って言われたことばを思い出して


そうだよ。我が子とわたしは尊いときを…共に生きたんだって…
ありがとうねって…
あなたは、こころからおもったね



そしてあの日、急に空っぽになった
心もとないお腹をさすりながら…


やわらかな夕方の光が
我が子とあなたに降りそそぐ中


これからは、別々の人生
我が子は、一個のひととして
歩んでいくんだなって、
あなたは思ったよね


そしてあの日、母子手帳に


「わたしをママにしてくれて
 ありがとう」


あなたは、それだけを書いたね
そのとき、我が子にそのきもちしか
なかったから


しーちゃん…
わたしね、あの日を忘れたことはない








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