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【ギリシア哲学】『イタリア学派エレア派パルメニデス』

【はじめに】

前回はピュタゴラスでした。
世界の背後には「数の秩序」がある。

では次の問いです。

そもそも「ある」とは、どういう意味でしょうか?

目の前の机は“ある”。
では夢の中の机は?
思い出の中の机は?

舞台は南イタリア・エレア。
ここに登場するのが――

パルメニデス

彼は哲学の問いを、
一段深い場所へ押し下げました。

アクロポリス(丘の上の神域)紀元前540年頃

① あるものは、ある

彼の主張は驚くほど単純です。

• あるものは「ある」
• ないものは「ない」

当たり前に聞こえます。

しかし彼はここから、
大きな結論を導きます。

「無」から何かは生まれない。

なぜなら――

「無」を考えようとした瞬間、
私たちは“真っ暗な空間”や“何もない場所”を想像してしまう。

けれどそれはすでに“何か”です。

本当に何もないものは、
そもそも考えることができない。

だから彼は言います。

考えられるものだけが存在する。

(思考できないものは、存在しない。)

無は思考できない。

② 変化は本当に起きているのか?

私たちは見ています。

• 生まれる
• 成長する
• 老いる
• 壊れる

だから世界は「変化している」と思う。

しかし彼は問います。

それは本当に
“存在そのもの”の変化なのか?

もし変化があるなら、

• ある → ない
• ない → ある

という移動が必要になります。

けれど「ない」は存在しない。

存在しない場所へ移動することはできません。

だから本当の意味での

• 生成(生まれること)も
• 消滅(なくなること)も

ありえない。



少し具体的に考えてみましょう。

水が氷になる。

これは「水が消えて氷が生まれた」のでしょうか?

それとも「姿が変わっただけ」でしょうか?

もし後者なら、
存在そのものは消えていません。

パルメニデスはさらに徹底します。

そもそも変化というもの自体が錯覚ではないか?



雲と空の比喩

私たちは雲を見ています。
雲は形を変え、流れ、消える。

だから世界は変化していると思う。

しかし彼が見ているのは「空」です。

空そのものは動いていない。

私たちは「雲」の側に立ち、
彼は「空」の側に立っている。

③ 存在はひとつ

もし存在が二つあるなら、
その間には“ない”が必要です。

しかし“ない”は存在しない。

だから存在は一つ。

• 不生(生まれない)
• 不滅(滅びない)
• 不変(変わらない)

巨大な一枚岩のような存在。

私たちが見ているのは、
その表面の揺らぎかもしれません。

【歴史的インパクト】

この思想は後に、

• プラトンのイデア論
• アリストテレスの存在論

へとつながります。

哲学はここで、

• 「何でできているか」から
• 「そもそも在るとは何か」へ

問いを深化させました。

タレスは材料を探し、
ピュタゴラスは秩序を見ました。

パルメニデスは、
存在そのものを疑ったのです。

【まとめ】

イオニア学派は“材料”を探しました。
ピュタゴラスは“秩序”を見ました。

パルメニデスはさらに進みます。

世界は本当に変化しているのか?

彼は「変化そのもの」を疑い、
哲学を“存在の論理”へと導きました。

ここから哲学は、

目に見える世界よりも
論理に耐えられる世界を重視する学問になります。

【しかしながら】

自分で読んでても難しすぎたので再度例えを提示します。

何もない部屋の例

真っ白で、家具も物も何もない部屋があるとします。

あなたにこう言います。

「この部屋に、何もないところから椅子を出してください。」

できますか?

できません。

なぜなら、椅子が生まれるためには、もともと椅子になる何かが必要だからです。

パルメニデスは、この当たり前の感覚をもっと徹底しました。

何もないところには、本当に何もない。

だから、

何もないところから、何かが生まれることは絶対にない。



逆も同じ

今度は部屋に椅子があります。

「この椅子を完全に存在しなかったことにしてください。」

と言われたらどうでしょう。

燃やしても灰になります。

砕けば木片になります。

木片は粉になります。

姿は変わっても、「完全な無(ない)」にはなりません。

つまり、

* 無から有(あるもの)は生まれない。
* 有から無(完全な無)にもならない。

これがパルメニデスの「あるはある、ないはない」です。

〖哲学者データ〗

■ 名前 パルメニデス(Parmenides)
■ 生没年 前515頃 – 前445頃
■ 師匠 クセノパネス
■ 弟子 ゼノン
■ 地域 南イタリア・エレア
■ 系統 イタリア学派
■ 学派 エレア派
■ 立場 存在論

■ 主要概念

・存在はある
・無はない
・存在は不生不滅
・存在は不変
・存在は連続的一
・変化は真理ではない
・感覚は真理に至らない
・理性のみが存在を把握

■ 核心思想

存在するものは存在し、
存在しないものは存在しない。

ゆえに

無から何かは生まれず、
存在は消滅しない。

したがって存在は
不生・不滅・不変・連続的一
である。

■ 哲学史的位置

存在そのものを主題化した最初の哲学者。
自然哲学から存在論への決定的転換点。

■ 歴史的重要性

「存在とは何か」という
西洋哲学の中心問題を創始。

プラトン・アリストテレス・形而上学へ
決定的影響を与えた。

■ 次への影響

→ ゼノン(運動否定の擁護)
→ プラトン(イデアの存在論)
→ アリストテレス(存在論)
→ 西洋形而上学

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