ベツレヘムの星に導かれて~東方の三博士と公現祭の物語
南ドイツのバイエルンでは1月6日は
"Heilige Drei Könige 東方の三博士の日"
と呼ばれる祝日になっています。
こちらの記事でも少し触れましたが、ドイツではクリスマスツリーをこの日まで出しておく家庭が多くあります。それはクリスマスツリーの頂点に輝く星を目印に東方の三博士がイエスのもとへやって来るためです。
今回は東方の三博士に関するお話と、バイエルンでの風習について紹介していきたいと思います。
【1月6日の公現祭とは?】
🌟神の子・イエスのもとに訪れた東方の三博士🌟
イエスが馬小屋で誕生した直後、ベツレヘムの近くにいた羊飼いは星が流れるのを見ました。
これが "救世主=神の子の誕生" を示す「ベツレヘムの星」です。
その星に導かれ、まず羊飼いたちがイエスのもとにやってきます。
次に、星に導かれて東方の三博士がやって来ます。彼らはユダヤの新しい王の誕生を祝うために幼子イエスのもとを訪れました。
そして彼らはそれぞれ贈り物を手に、イエスを礼拝しました。

イエスのもとへ足を運んだ羊飼い(右)と東方の三博士(左)

彼らの名前は カスパール(カシュパー)、メルキオール(メルヒオール)、バルタザール。
当時知られていたアフリカ、アジア、ヨーロッパの三大陸を代表しており、6世紀以降その名で呼ばれるようになりました。
これは、ユダヤ人以外の世界中の人達に"神の子イエス"の存在が知られたことを意味し、キリスト教が全世界に広がることの象徴となっています。
そして1月6日はカトリック教会では "公現祭" と呼ばれ、イエスの神の世界への出現をお祝いします。
※『マタイによる福音書』に三博士について記されています。

公現祭のいわれを絵本で伝える
◆ドイツ国内で公現祭が祝日になっている州は…◆
バイエルン州
バーデン・ヴュルテンベルク州
ザクセン・アンハルト州
また、他でも全国的に祝日になっている国(オーストリア、イタリア、スペイン、リヒテンシュタインなど)、一部で祝日になっている国(スイスなど)が多くあります。
【東方の三博士の意味】

東方の三博士はそれぞれどんな意味をもっているのでしょうか。
🌟Caspar カスパール(カシュパー)
大陸:アフリカ
贈り物:没薬
※肌が黒い人物として描かれてきました。
🌟Melchiorメルキオール(メルヒオール)
大陸:ヨーロッパ
贈り物:黄金
🌟Balthasarバルタザール
大陸:アジア
贈り物:乳香
彼らは旅人、巡礼者、商人、宿屋主、毛皮職人の守護聖人としても崇敬されています。
【家々を回るSternsingerキャロルシンガー】
イエス誕生を祝う日から1月6日(東方の三博士の日)まで、教会から派遣された子供たちが東方の三博士に扮して家々を回ります。

彼らは
"Sternsinger シュテルンジンガー(キャロルシンガー)"
と呼ばれます。
キャロルシンガーは2015年からユネスコのドイツの無形文化遺産の一部となっています。
この習慣はすでに16世紀から行われていたことが記録されています。
1959年以降、「シュテルンジンガー・アクション(キャロルシンガー・アクション)」は、子どもが子どものために行う世界最大の連帯支援活動となっています。
私達の住むバイエルンの田舎の町でも、キャロルシンガーが訪れます。
特に1月6日は多くの東方の三博士を町で目にすることができます。
「新しい年に健康と力がありますように。カスパール、メルキオール、バルタザールより」
と言いながら彼らは現れ、玄関のドアにチョークで
「C+M+B」
とその年の西暦を書き、歌を一曲披露します。

東方の三博士の名前の頭文字から「C+M+B」と書かれていると、多くの人が思いがちですが、実際はラテン語で
「Christus mansionem benedicat キリストよ、この家に祝福を」
という意味からきています。
※キャロルシンガーは特にカトリック地域で広く普及していますが、プロテスタントの地域でもよく参加しています。
【至る所で見られる三博士】
バイエルンでははキャロルシンガーに限らず、東方の三博士の姿を至る所で目にすることができます。

こちらは小学校に飾られた東方の三博士です。この先には教会があり、アドヴェントに入ると飾られ、1月6日にかけてだんだん教会に近づいて行くように移動されます。

以前お話しした、イエス誕生の馬小屋を模したクリスマス装飾・クリッペにも東方の三博士の人形が登場します。12月25日、イエスが生まれた後に三博士の人形をジオラマの中に置き、少しずつイエスのいる馬小屋に近づけていきます。そして1月6日にはイエスのもとに到着させます。
物語になぞらえて三博士を動かしていく…子供も楽しみながら、三博士のいわれや歴史について学ぶ事ができます。
【ケルン大聖堂に眠る三博士の遺骨】
なんと、三博士の遺骨が納められている場所がドイツにあります。それはケルン大聖堂です。毎年、1月6日公現祭の日には訪問者が金製の聖遺物箱納められた骨を見ることができるそうです。
東方の三博士の骨はケルン大聖堂の公現祭聖堂(1180年~1215年建設)に安置されています。1162年、フリードリヒ・バルバロッサはミラノの破壊後にこれらの聖遺物を持ち去り、当時ケルン大司教であった宰相ライナルド(ダッセルのライナルド)に引き渡しました。
1200年に頭部が骨から分離され、冠がかぶられました。今日に至るまで、これらの王冠はケルンの市紋章を飾っています。
【終わりに】
本日、1月6日をもって、アドヴェント(待降節)からの長いバイエルンのクリスマスが終わりを迎えます。
今回で11個目となる「バイエルンの伝統的なクリスマスの風習」シリーズは、一旦これで終わりとなります。
まだまだ紹介しきれなかったバイエルンならではのクリスマスにまつわる風習はまた、次回のクリスマス時期に投稿したいと思います。
お付き合いいただきまして、ありがとうございました。
また皆様にバイエルンのクリスマスの魅力をお届けできるように邁進してまいります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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