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SNS映えより“答え”を持て:化けの皮を剥がす時代に見た目ではなく中身を語れ


Canvaがもたらす「外見を整える作業」の自動化

 皆さん、Canvaというデザインクラウドツールをご存知でしょうか。CanvaはWEB上で名刺もチラシもプレゼン資料もフォーマットを切り替えるだけで楽に作れるデザインツールです。

 Canvaにはデザインのテンプレートが様々なテーマごとに豊富にあるので、作りたい資料のテーマにあわせて気に入ったデザインを採用することができます。資料を自分で一から作ると配色や構図が気になって何度も修正することが少なくないですが、Canvaを使えばその手間を省くことができます。

 資料に挿入する画像についても写真やイラストの素材が色々なテーマごとに山ほどありますし、生成AIでイメージにあった画像を作れる機能も備えています。ブランドカラーのパレットを設定すればワンクリックで配色を調整することもできます。つまり資料作りにおいて外見を整える作業を相当程度自動化し、中身を考えることに集中できます。

「外見」より「中身」が問われる時代へ──イケアとTHE社のコンセプト

 もう、きれいなプレゼン資料を作るのに時間をかける時代は終わったと言っていいでしょう。今の時代、資料はいかに中身をスピード感を以て伝えるかが問われています。したがって、中身を分かりやすく一言で表せるように、コンセプト(もちろん中身あってのものですが)を整えておく必要があります。そして、コンセプトは具体性と「いかに心に響くか」が重要であって、別に高度でなくても専門的でなくても、ありふれていてもいいのではないかと思うようになってきました。

 例えば、私はイケアのコンセプトは非常に優れていると思います。イケアの商品はシンプルかつリーズナブルです。そして、それを実現するためにセルフで組み立てる余地を残しています。もちろんその商品を企画して生産し、流通するプロセスにおいて高度に設計された仕組みが存在するのは確かです。しかし、コンセプトそのものは真新しいものではありません。ただ、一貫していて分かりやすく、そして心に響きます

 さて、コンセプトを突き詰めるとそもそもそのサービスなり商品なりの本質は何か、という点に行きつきます。イデア論みたいな話ですね。この点については「精巧な定番」をひたすらに追究する「THE株式会社」が好事例になるでしょう。

 THE社のオンラインショップページを見れば様々なジャンルの商品が掲載されていますが、多くの人が一目見ればその商品たちのデザインと機能性の無駄のなさに気づくでしょう。代表取締役米津雄介さんのインタビュー記事も非常に示唆に富んでいるのでぜひ読んでほしいです。以下に本記事の米津さんの言葉を引用します。

「消費者がプロダクトを購入する時って、『より機能的な新商品が出た』という理由と、『今使っている物に飽きた』という2つの理由が大きいんです。僕らのプロダクトが十分な機能と、飽きないデザインを持っていれば、消費者の購入サイクルは伸び、この社会からモノを捨てるという行動を減らすことができます」
「すべてのプロダクトは石油、木、金属など、身の回りにあるものが形を変えたもの。それらは地球から循環してもたらされたものであり、僕らはそれがうまく回るようにすべきです」

designing「人とプロダクトの幸福な関係をデザインするーーTHE 米津雄介」2022/5/11

見た目と虚飾の時代に喝を入れたエレファントカシマシ

 かつて日本には人口がどんどん増加した時代がありました。その時代にはイケイケドンドンの号令のもと、団塊の世代が仕事、家事、育児に自分の時間のほぼ全てを注ぎこみ勤しみました。物を作れば売れた時代で、働けば働いただけ給料も上がっていき、明るい将来を期待できたと言われています。

 団塊の世代の方々に敗戦に象徴される欧米に対する鬱屈したコンプレックスを一気に解消する気があったのかどうかは定かではありませんが、とにかく繁栄というテーマを神風のごとく猛然と追い続けたことは確かでしょう。しかし現代の我々が受け継いだのは豊かさとどっちらけで、世の中は化けの皮を被った物や人で溢れかえってしまいました。

 これは日本を代表するロックバンドのひとつであるエレファントカシマシの(NHKで放送禁止になった)傑作「ガストロンジャー」(1999年発売)で歌われている話です。エレカシは「化けの皮を剥がしにいくってことを自問自答の末結論」して、「駄目な物は破壊されんだよ全部」と言い切っています。

 ちなみにNHKで放送禁止になった理由は「あげくがお前人の良さそうな変な奴がのせられて偉くなっちゃって」の部分が当時の首相を揶揄するように聞こえるからだったそうです。2007年のフェスでは「あげくがお前人の良さそうな変な奴がのせられてソーリダイジンになっちゃって」と歌っていたという話もあります。

 ところで、1999年はモーニング娘が当時を代表する超人気曲である「LOVEマシーン」で「日本の未来は世界がうらやむ」と歌っていた時代です。私は当時高校生で世の中をよく知っていたとは言えませんが、バブルが弾けてもなお人々は高度経済成長の残り香を嗅ぎまわって浮かれ騒いでいたように思います。

 それでもその時代に「化けの皮を剥がしにいく」と断言したエレカシの慧眼にはただただ驚嘆するばかりです。2020年を過ぎてやっと多くの人が日本経済のハリボテさ加減に気づき始め「失われた30年」なんて言葉が作られたわけですが、そういう意味ではエレカシの洞察は世間を二十年以上先んじていたとも言えるでしょう。

「繁栄」とは何かを考える時代

 私たちはゴールドラッシュの蜃気楼を追いかけて浮ついたイイネを集めることに執心するのをやめ、足を止めてもう一度「繁栄とは何か」を考える時期に来ているのではないでしょうか。承認欲求から脱出する必要があるのです。そんなものは克服するものであって、従属するものではありません。

 メラビアンの法則は「第一印象は見た目で決まる」ということではなく、「矛盾した情報を受け取ったときには視覚情報が優先されやすい」ということを表しているのです。だから詐欺師はスーツを着るのです。つまり詐欺師に気を付けましょうという話です。社会人で勉強している人は4%しかいないそうです。正直、勉強時間ゼロで「見た目がすべて!」とか言われても説得力ゼロなんですが、立派な肩書きがあれば信じる人も多いのが現実です。しかし、もういい加減に目覚めなければならないでしょう。

 これからの低成長・衰退時代に繁栄を成すためには、真実を見抜く眼力、それを支える知恵と経験、それを得るための学習習慣が必要になります。そして誰も答えを教えてくれないVUCAの時代には決断力実行力を発揮して答えを作り、育てていくことが問われます。誰もが自分で答えを作る必要があるのです。答えはその辺には転がっていませんし、他人に聞いても分かりません。それっぽい答えを教えてくれるのはだいたい詐欺師で、詐欺師の教えてくれる答えは必ずハリボテです。一体何人のオーナーが高級生食パンのフランチャイズに泣かされたことでしょうか(だいたい生ってなんやねん。生のパンなんか食えるわけないやろ)。

 その答えというのがまさに「コンセプト」なのです。学習して観察し、思考して答えを出し、決断して実行する。このプロセスのどこかが欠けてもいけないし、常にこのサイクルを回し続ける必要があります。プロジェクトマネージャーはドヤ顔してPDCAとかいっている場合ではないのです。まず学習(L)です。

衰退の中で繁栄を体現する企業──セイコーマート

 そして、衰退時代でも繁栄は不可能ではないと思っています。適切な観察眼があれば必ず突破口が見つかるからです。衰退時代を見据えた経営を行っている企業は多くないですが、北海道のコンビニチェーンの雄、セイコーマート(通称「セコマ」)が好事例と言えるでしょう。以下に荒尾さんの記事を引用したのでぜひお読みいただきたいです。

 セコマは北海道(と若干茨城)に支えられ、北海道を支える非上場のコンビニチェーンです。セコマは北海道であれば人口1,300人の村にさえ「必要とされれば」出店しています。北海道の土地と人々と共に生きる、このコンセプトは分かりやすく、そして道民の心をがっちり掴んで離しません。どこぞの上げ底イレブンはセコマの爪の垢を煎じて飲むべきでしょう。

 セコマが人口1,300人の村に出店する動機は何でしょうか?決して目先の利益のためではないでしょう。それはセコマの、そしてひいては北海道の永きにわたる「繁栄」のためだと思います。道民の暮らしを支え、道民の信頼を永きにわたって得つづけることこそが繁栄の鍵。そういう思想です。

繁栄とは「答えを体現し支持者を得る」こと

 さて、私たちも自身と家族、仲間、そして社会の繁栄のために行動を始めなければならないでしょう。それはバズりを狙ってモリモリの写真をSNSにアップロードすることではないし、すし屋の醤油さしをペロペロすることでも決してないです。SEOを狙い生成AIで記事を爆発的に量産してnoteにアップロードしまくることでもないでしょう。そんなツールは早々にgoogleに対策されてオワコンになるんじゃないですか?

 私たちがしなければならないのは、そんなふうに見た目を整えることに執心することではないはずです。いい加減に目覚めなければいけません。響くコンセプト(答え)を作り、自らを律し、体現することです。ジャンルは関係なく、特定の人に響くならそれだけで答えなのです。

 その答えに貴賤はないし、誰もがその答えを作ることができます。会社の規模も、事業の規模も関係ありません。年収の多寡も職業も肩書きも、国籍がどこかも、貧乏人も金持ちも、イケメンもブサメンも、オタクもリア充も、右翼も左翼も関係ないのですそんなものはノイズです

 ただ、答えと支持者があるだけです。そして、それだけでかけがえのない価値があるのです。ノイズを排して、答えと支持者にフォーカスしさえすればよいのです。それが衰退の中ですら繁栄するための鍵であり、そうすることでしか真の繁栄はありえないと考えています。

ジャンルを超えた情熱──PassCodeの南菜生さんの言葉

 最後に、日本のメタルシーンを代表するラウドロックバンドのひとつPassCodeの南菜生さんがライブ「VERSUS PASSCODE 2024 Vol.2」※で観衆を沸かせたMCを紹介して終わりたいと思います。※ 2024年7月に催されたハルカミライとの対バンライブ

「私みんなにずっと謝りたかったことがあって。昔、2017年くらい、ちょうどハルカミライと対バンした時の感じ、その時にバンドと対バンする度にMixがあったりとか、オタクっぽいはしゃぎ方があったりすると、やっぱりどんなにバンドっぽい音楽しててもアイドルなんだなって言われました。だからちょっと、なんか恥ずかしくなったりしたときがあったんです。そのことがすごい申し訳なくて、でもね、(ハルカミライの)学さんが、PassCodeのフロアは、情熱的な熱いオタクたちのフロアだって言ってくれて、それで、すごくすごく救われました!やっぱりジャンルが違っても、結局大事なのは温度感なんだなって、その時思えて、だからこうやって今もPassCode続けられています!本当に、本当にありがとうございました!」

Clouds Across The Moon (PassCode presents VERSUS PASSCODE 2024 vol.2 at Spotify O-EAST)

さあ、化けの皮を剥がしに出かけましょう。

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