運がある人は準備をちゃんとしてきた人
運がなかったというのは、運をつかむために準備をしてこなかった言い訳にすぎない。
本当に実力のある人は「私は運が良かっただけ」と謙遜する。しかしそういう人ほど運が巡ってきた時にそれを掴むだけの努力と鍛錬をしている。準備万端なのだ。だからその運を逃さずに掴める。
若い頃の私は全くもって準備不足だった。
アフターセールスの顧客体験を改善してさらにお客様に来店してもらうための施策を検討・実践するというプロジェクトが部門内で立ち上がった。当時の私はデータ分析やレポート作成の仕事をしており、数字嫌いなこともあり、あまり身を入れて業務に励んでこなかった。その仕事よりもこのプロジェクトがとても魅力的に映った。
上司から「柳本はA社さんを担当してくれ」と言われた。大抜擢だと思った。実績もあり先進的な取組みで有名な取引先だったからだ。
「幸運にも大きなプロジェクトで仕事を任された、自分なら出来る」と根拠のない自信を持って臨んだ。
しかし、私は運をつかむことができなかった。試行錯誤したけれど、うまく行かず、上司の期待にも先方からのリクエストにも応えきれていないと幹事ながら出張の日程だけが迫っていた。
あー、これゼッタイダメだなと思いつつ恐る恐る出張に行くも、当然の結果として散々な結果に終わった。
取引先の経営者からは、
「正直いうと君は今日何できたの?って思った」と素直なフィードバックをもらう羽目になった。
一方で数年年次が上の先輩はメキメキと成果を上げていた。
取引先からは信頼され、見事に相手の心を掴んでいるのが見てとれる。その様子が私の心を締め付ける。先輩は単に運が良かっただけなのか?
そこで、その時の上司に疑問をぶつける事にした。
「僕と先輩の違いはなんなんでしょうか?」
上司から返ってきたのはシンプルな答えだった。
「それはあなたと彼では持っている武器が違います。彼には数字をデータを分析するという武器があります。だからこのチャンスをものにした。柳本さんにはその武器がまだ不足している。要は準備不足なんです」
そう言われて確かに自分の足りない部分に気づいた。
これまで与えられた仕事をする中で積極的に数字の分析という武器を磨ききれていなかった。こんな仕事に意味はないとデータの分析やレポート作成を生半可な気持ちでしかやらなかった。その時に真剣に自分の武器を磨き、仕事に向き合っていれば、チャンスを掴む事が出来たのだろう。
この経験から、私は必要な準備をする、力を蓄えるということの大切さを学び、仕事の意識を変えた。分析を分析で終わらせずにアクションに繋げ、レポートの受け手にヒアリングをして改善してきた。同じ仕事をしていてもこんなに変わる者かと驚いたものだ。
そして数年後に今度は海外で新たな施策を試そうというプロジェクトが巡ってきた。私ももう準備万端だった。
今度はその運を逃さなかった。力を蓄え、実績と経験を積み、武器を手に入れていたからだ。もちろん分からないことや新しく学んだこともあったが、データを分析できるという武器が大いに信頼獲得と成果を出すことに寄与した。
誰かの成功を見て「彼・彼女は運が良かっただけ」で済ませるのは簡単だ。だが、自分自身の準備不足を棚に上げていないのか、もう一度確かめながら真剣に今の仕事に向き合う必要がある。
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