【TEN-RAI体験クラス報告】なぜ、ちゃんと習っているのに「カタカナ民族音楽」になってしまうのか
ちゃんと先生について学んでいる。 動画も見ている。 自分なりに練習もしている。
それでも、なぜか本場っぽくならない。
たとえば、フラメンコの歌。
フラメンコでは、歌のことを「カンテ」と呼びます。
あのザラッとした声の質感。 深い響き。 言葉と声が一体になったような強さ。
憧れている。 学んでいる。 練習もしている。
それでも、どこか声が薄い。 響きが浅い。 喉だけで頑張ってしまう。 一生懸命やっているのに、「日本人が真似している声」から抜け出せない。
私はこういう状態を、少し強い言い方ですが、
コスプレ民族音楽 カタカナ民族音楽
と呼んでいます。
もちろん、楽しみ方としてのコスプレを否定したいわけではありません。
外国の音楽に憧れ、動画を見て、音を真似し、自分なりに楽しむ。 それ自体は、とても大事な入口です。
ただ、本場の声を聴いた時に感じる、あの一声で空気が変わるような力。 土地の風景や、言葉の重みや、身体の深さまで立ち上がってくるような声。
そこに近づきたいなら、表面の音だけを真似していても、どうしても限界が来ます。
なぜなら多くの場合、私たちは、
日本人の耳で聞き、 日本人の身体と口のまま、 外国の伝統歌唱を真似している
からです。
昨日のTEN-RAI体験クラスでは、まさにこの問題を扱いました。
◆
WILLYです。
昨日は、TEN-RAIの体験クラスでした。
今回のテーマは、フラメンコの歌の声。
先ほども書いたように、フラメンコでは歌のことを「カンテ」と呼びます。
もちろん私は、フラメンコのカンテそのものの専門家ではありません。
ただ、ホーミー、ホーメイ、倍音唱法、オルティンドー、声明、ヨーデル、ゴスペル的なシャウトなど、世界各地の「特殊に聞こえる声」を長年稽古してきた立場から見ると、カンテの声にも共通して見えてくるものがあります。
それは、
声は、喉だけで作るものではない
ということです。
◆
今回体験に来てくださった方は、もともと音楽に長く関わってこられた方でした。
ただ、フラメンコの歌に関しては、
「声が薄くなってしまう」 「口の中が狭い感じがする」 「響きが出ない」 「本場のような太さや深さに近づけない」
という悩みを持っていました。
これは、フラメンコに限らず、外国の伝統歌唱を学ぶ日本人にはかなりよく起きる問題です。
YouTubeで本場の歌手をたくさん見る。 録音を聴く。 先生の声を真似する。 自分なりに工夫する。
もちろん、それ自体はとても大事です。
真似は基本です。
ただし、真似だけではなかなか越えられない壁があります。
なぜか。
日本人の耳で聞き取り、日本人の身体と口で真似してしまうからです。
◆
たとえばホーミーやホーメイも、音だけを真似しようとすると、どうしても「カタカナ・ホーミー」になりやすい。
それっぽい音は出ている。 頑張っているのも分かる。 でも、どこか本場の風景が立ち上がってこない。
フラメンコの歌でも、似たことが起きると思います。
あのザラッとした質感。 深い響き。 言葉と声が一体になった強さ。 ただ綺麗に発声しているだけでは出てこない、独特の圧。
でも、現地の文化の中では、それは「特殊な声」というより、その音楽と言葉と身体から自然に生まれてきた声です。
ホーミーも同じです。
日本人にとっては特殊発声に聞こえる。 でも、現地では必ずしも「特殊なテクニック」ではない。
その土地の言葉があり、身体の使い方があり、生活があり、音楽がある。 その全体から声が生まれている。
だから、表面の音だけを取り出して真似すると、どうしてもコスプレ的になりやすいのです。
カタカナ・ホーミー。 カタカナ・カンテ。 カタカナ民族音楽。
言い方は強いですが、本場の声の力に近づきたいなら、ここはかなり大事な問題だと思っています。
◆
では、どうすればよいのか。
そこで私が大事にしているのが、
身体のどこに気を向けるか
です。
ただし、これは単純に、
「ここに力を入れればいい」 「この姿勢を作ればいい」 「この発声をすればいい」
という話ではありません。
人によって、これまで使ってきた身体の癖も違います。 学んできた音楽も違います。 声の悩み方も違います。 得意な響き方も、苦手な響き方も違います。
だから体験クラスでは、その方の声を実際に聞きながら、どこに気を向けると声が変わるのかを一緒に探っていきます。
今回の場合は、いくつかの身体の見方を試していく中で、特に大きな変化が出たのが、
足裏 下顎 喉の奥の響き
でした。
喉だけで頑張ろうとすると、声は固まりやすい。 でも、足裏や下顎の奥行きに気を向けると、喉だけで頑張らなくてよくなる。
その結果、声の出方が変わっていきました。
もちろん、これは誰にでも同じように当てはめればいい、という話ではありません。
その人の身体、その人の声、その人が目指している表現によって、見るべき場所は変わります。
だからこそ、個人指導で見る意味があります。
◆
今回の体験では、まずホーミー/ホーメイの入り口として、仮声帯発声を体験してもらいました。
仮声帯発声というのは、簡単に言うと、喉の奥でガラガラとした響きを作る発声です。
ホーメイのカルグラなどで使われる声でもあります。
面白かったのは、最初からかなり低く太い声が出たことです。
もちろん、いきなり完成形になるわけではありません。
ただ、今まで本人が「自分の声」として認識していた範囲とは、明らかに違う響きが出ました。
しかも、喉だけを見て出すのではなく、足裏に気を向け、下顎の奥行きを感じながら声を出すと、声の出方が変わった。
これが大事です。
声を変えようとすると、多くの人はすぐ喉をどうにかしようとします。
でも、喉だけに気を向けると、喉だけが頑張り始めます。
その結果、苦しくなる。 疲れる。 力む。 喉が狭くなる。 声が固まる。
逆に、足裏や下顎に気を向けると、喉だけで頑張らなくてよくなる。
身体全体の中で声が起き始める。
これは、かなり大きな違いです。
◆
体験後の振り返りで、一番大きな変化として挙がったのは「体の使い方」でした。
これは、とても良い反応だと思います。
なぜなら、声の悩みを持っている人ほど、声そのものだけを見てしまうからです。
高い声が出ない。 響かない。 太くならない。 喉が苦しい。 本場っぽくならない。
そういう時、もちろん声を聴くことは大事です。
でも、それだけでは足りません。
声は、身体から出ています。
しかも、ただ筋肉を使えばいいという話ではありません。
どこに気を向けているか。 どこを感じているか。 どの文化の身体感覚に近づいているか。 言葉の母音や子音が、口の中のどこを響かせているか。
そこを見ていくと、声の変化はかなり具体的になります。
◆
もうひとつ印象的だったのは、自分の声が好きではない、という話でした。
これは、発声指導をしていると本当によく出てきます。
自分の声が嫌い。 録音した声を聞きたくない。 なんとなく気持ち悪い。 人からは良い声と言われても、自分ではそう思えない。
私自身も、長い間そうでした。
でも、今は少し見方が変わっています。
声は、たしかに自分から出ている。 でも、声そのものは物理現象でもあります。
楽器が鳴っているように、身体という楽器が鳴っている。
その見方ができるようになると、声と自分が少し分かれてきます。
「この声が嫌い」 という癒着から、
「今、この身体ではこういう音が鳴っている」 という見方に変わっていく。
これは、かなり大きな変化です。
そして、身体感覚から声を見ていく稽古は、その助けになります。
◆
フラメンコの歌を良くしたい。 ホーミーを出せるようになりたい。 倍音唱法をやってみたい。 声を太くしたい。 響く声にしたい。
入口は何でもいいと思います。
ただ、どの入口から入っても、深く進んでいくと、結局同じ問いにぶつかります。
自分は、どんな身体で声を出しているのか。
ここを見ないまま、音だけを真似しても、どうしても限界が来ます。
逆に、身体感覚と言葉と声の関係が見えてくると、声の稽古はかなり面白くなります。
喉だけではなく、足裏も関係している。 下顎も関係している。 背中も関係している。 地面の弾力も関係している。 母音も関係している。 文化も関係している。
だから声は面白い。
そして、だからこそ、声の稽古は単なるボイストレーニングでは終わらないのだと思います。
◆
TEN-RAI体験クラスでは、ホーミー・ホーメイ・倍音唱法を入口にしながら、声と身体の見方を体験していただきます。
ホーミーそのものを学びたい方はもちろん、今回のように、フラメンコ、民族歌唱、語り、演劇、管楽器、身体表現など、自分の表現に活かしたい方にも対応しています。
声を、喉だけでなく身体感覚から見直してみたい方は、ぜひ体験にいらしてください。
■ 個人指導体験 特殊発声コーチング 3ヶ月集中コース<TEN-RAI>体験クラス https://www.reservestock.jp/page/consecutive_events/4640
■ コエダイ・ラボ合唱コース 体験 https://www.reservestock.jp/page/consecutive_events/2521
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