ずっと高2 #003『変遷』
「なぁ」
「んー」
「今俺が好きなもんまだ好きなん?」
「どういう事?」
「音楽とか、映画とかの趣味とか」
「あー、あんま変わらんかも。
さすがにちょっとは増えるけど」
「そうなん、17歳の俺と変わらん?」
「うん。服もずっと好き」
「あー、よかった」
「何でホッとしてんの」
「いやさ、今35歳やろ?
何かさ、昔めっちゃお洒落気ぃ遣ってた人が
歳取ったら、それこそ35歳くらいなったら
なんかそうでもなくなってきて
“休日のお父さん感” 出る人おるやん。
あんなんなるの嫌やってん」
「あー、今もそういう思いはあるわ」
「せやんな!で、今どんなん好きなん?」
「…一言で済ませにくいけど、ルードファッション」
「…えー……分からん、どんなん?」
「アメカジから野暮ったさを抜いたというか、
もう少し都会的にしてロックっぽさを足した
みたいな…」
「うーん、よう分からんけど服は好きなんやな」
「うん、まぁな」
「あー良かった、ライフの2階で買ってます
みたいな事言わんくて」
「買うで」
「…え?…はっ?」
「うん、いいと思ったら買う」
「…ライフやで?」
「うん、ライフ」
「ライフやで!?」
「うん、2階」
「えっ……ONE PIECEのキャラTとか?」
「違う違うちゃうちゃうちゃう、
ちゃんと使えそうなやつ。お前もさ、安い古着で
なんかいい感じに合わすん好きやろ?」
「うん、好き」
「それよ。たまたまそれがライフの2階やって話」
「…っはぁーーーー……」
「あとお前、19歳になったら1970年代の
フォーク青年みたいな服着るで。髭も伸ばす」
「…え、あの感じ?なんかフワッて裾広がってる
ベルボトムみたいな。意外やな」
「うん、それそれ。だから髪も伸ばすねんけど、」
「うん」
「おかんがそれ見て、ジョン・レノンじゃなくて
ジョン・のれんとか言われるで」
「おもんなっ」
「うん、面白くはない。あと、それ何回も
こすってくるで。ジョン・のれんやなぁって」
「いらんなぁ」
「あとアレや、鎖骨につくかつかんかの所で
思いっきり髪切るんやけど」
「何で?」
「姉ちゃんの結婚式」
「結婚式!!相手どんな人なん!!」
「まぁそれは後で話すから」
「いやいやいや今!何歳で結婚するん!」
「いやっちょっと待てって」
「えー?そっち気になるんやけどー!」
「けどまぁそれ以降、5年くらいリーゼントにして
ロカビリーファッションになる」
「何それ」
「うん、エルヴィス・プレスリーとか好きになる」
「えー……リーゼントか…」
「それからなんかバッサリ切ってエミネムの
金髪坊主を、もうほぼ完璧に再現する」
「おぉん!!」
「中2くらいの時さ、エミネムにしてくださいって切り抜き持って行って1000円カットで頼んだら
普通の坊主にされたよな」
「アレ、ホンマふざけんなってなったよな」
「やんな、“外国の人の髪質ってこっちの人と違って
柔らかくて毛と毛が密集してて” とか言うてたよな」
「はよ言えや!!なったよな」
「はよ言えや!!なったよな、うん、ホンマ」
「あ、あと、学ランをファッションに使う」
「いや嘘ぉん?」
「いや、ホンマ」
「え、アレやろ、未来のお前が今の俺騙すとか
そういうやつ?汚いわー、そんなん。だっるぅ」
「いや、ガチ。今も割と着てるし」
「ちょっとさ、ちゃんと説明してもらっていい?」
終
