迷いを蹴散らす光が欲しい
もう,以前のように心が動くことはないのかもしれないと思っていた。あの頃は,寝食を後回しにすることもいとわず,学ぶことや働くことを心の底から楽しんでいた。昨日よりも今日,今日よりも明日,ちょっとでも前に進みたくて,驚くほど貪欲に取り組んでいた。
その情熱はある時から少しずつ削られ,何がそんなに好きだったのか,一体どこを目指していたのか,すっかり分からなくなっていた。そして,目の前の人に「一緒に働けることを楽しみにしています」と言えなくなった。社交辞令だからと自分に言い聞かせても,その挨拶は喉に引っかかって出てこない。それに気づいた日,大切なものを失ったことを自覚した。
それからというもの,私は2年近く消化試合のような日々を過ごしていた。
それなのに今日,私は「一緒に働けて楽しかったです」と挨拶をした。決して社交辞令ではなく,心からの言葉だった。あまりに自然に口から出たせいで,自分の発言に気づくまでに数分を要した。そして気づいた瞬間,驚いて目が泳いだ。
何だったんだ,あれは。そういえば,口にはしなかったが先週も「楽しい」と感じた気がする。いや,たしか3週間前もそんなことがあった気がする。もしかして,あの感覚が戻ってきたのか? 私はまだ,以前と同じものが好きなのか? 単なる気のせいかもしれないし,一筋だけの光明は消えてしまうかもしれない。迷いを蹴散らすぐらいの光が欲しい。
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