WayfairがHighdiveをクリエイティブAORに起用した本当の理由〜eコマースの“勝ちパターン”が、リアル店舗拡大で変わる瞬間〜
こんにちは、です。シリコンバレーと東京を行き来しながら、広告・IT・マーケティングの最前線を30年以上見てきました。ad:tech Tokyoを立ち上げ、カンヌライオンズも獲り、外資系で鍛えられても「やっぱり日本が一番好き」な人間です。
先日、Ad Ageで興味深いニュースが出ました。Wayfairが、Highdiveをクリエイティブ・エージェンシー・オブ・レコード(AOR)に起用したというものです。
Wayfairといえば、家具・ホームグッズの超巨大eコマース企業。ボストンに本社を置き、ほぼオンラインだけで四半世紀近く成長してきたブランドです。

それが今、本気で物理店舗(brick-and-mortar)拡大に乗り出しています。2024年5月にシカゴ郊外に初の大型旗艦店(15万平方フィート!)を開業して以来、行列ができるほどの成功。2店舗目アトランタに続き、2026年にさらに2店舗、2027年にまた2店舗を計画中です。しかも2025年は売上+5.1%と、久々の年間増収を達成。
Wayfair is here!🛋️ pic.twitter.com/L373EPlDZt
— Everything Georgia (@GAFollowers) April 1, 2026
物理店舗がちゃんと“ハロー効果”を発揮している証拠ですね。そんなタイミングで、従来のHavas ChicagoからHighdive(シカゴ拠点の新興エージェンシー)にクリエイティブを切り替えた。なぜ今、Highdiveなのか?私の目にはこう映ります。
オムニチャネル本格化のタイミングで「柔軟性(elasticity)」が最優先になった

純粋なeコマース時代は「サイトのコンバージョン率」と「検索広告」で勝負できましたが、リアル店舗が入ると話が変わります。
顧客は「オンラインで調べて、店舗で触って、アプリで買う」かもしれない。あるいは「店舗で感動して、帰宅後にオンラインで追加購入」するかもしれない。このシームレスな体験設計には、従来の枠に縛られない柔軟なクリエイティブ思考が必須です。

HighdiveのSteven Fogel氏は「単にWayfairが何を提供しているか、どれだけ豊富かではなく、なぜそれを選ぶ価値があるのかを伝え、長期的な信頼とブランド愛を築く」と語っています。これ、めちゃくちゃ重要です。家具は高単価・高検討商品。価格や品揃えだけでは差別化が難しくなってきた今、感情的なつながりと信頼が決め手になります。特にWayfairは「家づくりをインスパイアする存在」になりたいはず。紫のブランドカラーは維持しつつ、ブランドプラットフォーム自体をリフレッシュするというのは、賢い選択だと思います。
eコマースネイティブ企業がリアルに挑戦するときに起きること
Wayfairの動きは、Amazonや他のD2Cブランドが今後たどる道の先駆けになるかもしれません。オンラインだけでスケールしたブランドが店舗を出すと、必ず「ブランド体験の一貫性」が問われます。
ウェブサイトのトーンと、店舗スタッフの接客、ホリデーキャンペーンの世界観がズレたら即座に顧客は離れます。Highdiveが「初めての大型eコマース・小売クライアント」だというのも面白い。
新しい視点で、固定観念に縛られない提案をしてくれる可能性が高い。
私の視点から一言広告業界を長く見てきて思うのは、「チャネルが変わると、クリエイティブの役割も根本から変わる」ということです。かつてのeコマース全盛期は「データドリブン+パフォーマンス広告」が王道でした。
でも今、Wayfairのようにリアル店舗を増やしていくと、ブランドの“なぜ”を感情的に語る力が再び重要になってきます。日本企業も参考にすべき点が多いと思います。
日本はまだ「店舗ありき」の文化が強いですが、eコマースで育ったブランドがリアルに進出するケースが増えています。そのときに「ただの看板広告」や「従来のTVCM思考」では勝てません。
Wayfairは2026年のホリデーキャンペーンから本格的にHighdiveと動くそうです。
今後どう進化していくか、非常に楽しみです。私自身も、AI BB 東京をはじめ、AIとマーケティングの融合を推進しながら、次世代がグローバルで戦える基盤を作っていきます。日本発のブランドが、世界で「なぜ選ばれるのか」を強く語れる時代を、一緒に作っていきましょう。
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