山奥の温泉に行った|湯宿温泉編
最近よく荷物が届く。
私のではなく、パートナーの。毎回書籍のようだ。
どうやら、つげ義春にハマっているらしい。
『ねじ式』は昔から持っていたように記憶しているが、突然波が来たみたい。
つげ義春は鄙びた温泉地が好きなようで、よく物語の舞台としても登場する。
「仕事が落ち着いたら鄙びた温泉に行きたい」がパートナーの口癖になりかけていた頃、やっとその仕事が形になったようだ。
突然今週行こうとなり、前日に宿を予約をした。行動力。
私が電車に乗れないので、レンタカーを用意してくれた。
行き先は群馬県の湯宿温泉。
つげ義春『ゲンセンカン主人』という話の舞台。
観光地という要素はなさそう。事前にパートナーからも「何もないからね?」と言われていた。
ガヤガヤした場所は好きではないので、楽しみ。
無謀にも下道で行く事にした。
私は運転できないので1馬力。ごめんね。

群馬の道沿いには工場が多かったように感じる。
アカギ乳業、かねふくのめんたいパークを見かけた。調べて行ったら良かった。
何もないけど、畑や山、緑いっぱいで幸せ。
湯宿温泉に向かう前に富岡製糸場に赴いた。
私たちの地元も養蚕が盛んだった街なので、製糸業には馴染みがあった。
地元の話もたくさん出てきてなんだか嬉しかった。
世界遺産の割に人が少なく(平日なのもあるかか?)、ちょっと心配。


製糸場に行く前、ひもかわうどんを食べた。
おっきりこみという煮込みうどんもあったが、暑くて無理。多分そちらの方が有名。
太さ3cmはありそう。薄くてちゅるんと食べられた。
お腹いっぱい。

いよいよ湯宿温泉に向かう。
体感だが、山を越えても超えても到着しない。
チェックインに間に合わなそうだったので、宿に連絡した。
途中ゲリラ豪雨に降られた。山道は怖い。夏だねぇ。
移動している事もあり、天気がコロコロ変わって面白かった。
湯宿温泉は山間の川沿いにあった。
いちばん近いコンビニを過ぎてから何分か経っていた。
基本的には民家ばかり。たまに宿や、宿だった形跡のある建物がある。公衆浴場がちらほら。
もう気に入った。パートナーの言った「何もない」は間違いではなかった。
今流行りのホテルステイが楽しめる、と言ったらオシャレすぎるけど、そんな感じ。宿でゆっくり出来る温泉地。
宿は老舗湯本館。
チェックイン時間を過ぎてしまったせいもあり、誰もいない館内。
声をかけると女将さんらしき方が迎えてくれた。
大きな旅館なのに宿泊客は私達だけかと驚いていたら、もう1人おばあちゃんが泊まっていた。にしても2組だけど。
観光地は観光地の魅力があるけど、観光地で満足する私じゃなくて良かった。
他意はない。
おかげで温泉が苦手な私も、のびのび貸切風呂を楽しめた。

お風呂に入ってから夕食にしてもらう事にした。
チェックインの際に、「お風呂はそのままだと熱くて入れないと思うから水を混ぜてもいいよ」と言われた。
湯宿温泉の源泉は約60度。加水せずに完全掛け流しという事でかなり熱いようだ。
湯本館のHPには43度と記載があったが、もっとあったと思う。
全然入れなかった。
入れないどころか、お湯をすくう時に浴槽から溢れたお湯が熱すぎて、足の裏が痛い。
何分もかけてかけ湯して、1分も浸かっていないと思う。夕飯を食べたらリベンジする。
夕飯も朝ごはんも部屋食。最高。
夕飯は鮎の塩焼き、豚肉と野菜のバター蒸し焼きがメイン。群馬らしく刺身こんにゃくもあった。
派手さがなく素朴な味付けで、おばあちゃんの家に来たみたい。
瓶ビールを頼んで、2人で飲んだ。


腹ごなしに宿の周りを散歩する事にした。すなわち湯宿温泉全体を周る事になるけど。
とても涼しい。汗はかくけど、歩いているからだと思う。
公衆浴場から地元の方の声が聞こえる。都会にはいないキモい虫が街灯の元でバタバタしていた。
山、温泉街、道を挟んで川があるという立地。
道も川も山も真っ暗で、怖くて引き返した。

湯本館には大浴場、女湯、家族風呂がある。それぞれ作りが違うし、温度も多少違うみたい。
実際、パートナーは大浴場でお湯に浸かったみたいだから。
散歩の後、家族風呂に2人で入った。
女湯と同じく、痛いくらい熱い。いくら水を入れても意味をなさない。今回もたっぷり時間をかけてかけ湯をして、1分×2回くらいお湯に浸かった。
部屋に戻るまで保湿をしなかったのに、肌がパリパリにならない。心なしか全身ツルツルになった気がする。足はずっとヒリヒリした。
夜は、道中で買ってきたスルメをかみながらワンカップ大関。
普段家ではしない話が出来た。何もない温泉宿の恩恵に預かった。
翌朝、7時から8時半の間は大浴場が女性専用になるというので、朝ごはんの前にお風呂に行った。
パートナーはまだ寝るみたい。
大浴場は熱いけど入れなくはない温度だった。ちょっとだけ水を入れて、のんびり出来た。

朝食を食べて、パートナーがお風呂に入っている間に出発の準備をする。
チェックアウトした後、昨日は暗かった温泉街をまた歩いてみる事にした。
裏の山を少し登る。蜘蛛の巣にかかりながら進むと、ひらけた場所があった。
暑いけど、日陰は涼しい。地元もこうだったな。

宿に停めてある車に戻り、湯宿温泉を後にした。
ヤマビルに吸われていることに気付くまで、そう時間はかからなかった。
あー怖かった。
2日目は、軽井沢を経由して帰京する。
一瞬地元に帰ってきた。長野は広いから、かすりもしない場所だけど。
パートナーはビートルズが好きで、ジョンレノンゆかりの軽井沢も気に入っているらしい。
ジョンも泊まったという、万平ホテルのロビーをうろうろした。場違いすぎてハラハラした。
いつか泊まってみたい。
別荘を眺めて、これは可愛いとか、これはヤダとか、貧乏者が騒がしくしてごめんなさい。


旧軽井沢の通りを歩いて、浅見光彦記念館に行って(小説家 内田康夫の浅見光彦、2サス好きには堪らない!)、15時過ぎには帰路についた。

帰りも下道。
夕食は富岡でかっぱ寿司に行った。
隣にはま寿司があって、そちらは混んでいたのにかっぱ寿司はガラガラだった。
殺生な。可哀想に。
回転寿司の茶碗蒸しはやっぱり美味しい。
22時過ぎに帰宅。
車で絶対に寝ない!と思っていたのに、到着まであと数分のところでウトウトしてしまった。
次の日は仕事だったので、帰ってきて座る前に荷解きをしてシャワーを浴びた。
温泉成分がなくなってしまう感じがして寂しい。
さようならツヤツヤお肌。
また会う日まで。

