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片付いた部屋が、時々さみしい〜余白と生活感のバランス〜

ミニマリズムを意識するようになってから、部屋の物はかなり減った。

床には極力物を置かない。
収納用品も極限まで減らし、収納そのものが必要かも見直すようになった。
その結果、視界に入る情報も減った。


そのおかげで、
・掃除がラク
・探し物が減る
・部屋が広く感じる
・「ちゃんとしている感」がある

など、快適になった部分は多い。

だが、看護師時代、残業後や長時間夜勤からの帰宅後、散らかり気味の部屋が妙に落ち着いてしまったことがある。その一方で、ちょっと余裕の出てきた休日に無性に片付けスイッチが入り、猛烈に捨てまくっていた。
なんでだろう?
疲れていたならスッキリした部屋の方が落ち着きそうなのに。



実際、人は情報量が多いほど脳が疲れやすいと言われている。
認知心理学では、こうした脳の処理負担を『認知負荷』と呼ぶらしいことは、ご存知の方もいると思う。
つまり、物を減らすという行為は、単なる片付けではなく、『脳の処理量』を減らすことにもつながっているのだと感じた。


だから私は、片付いてスッキリした空間が好きだ。
だが、不思議なことがある。
疲れている日は、その整った部屋が、なぜか少し落ち着かないのだ。


綺麗なはずなのに、どこか冷たい感じがする。
静かなはずなのに、妙に孤独感を感じて寂しい気分になる。


逆に、
・読みかけの本
・しまうのを忘れていた部屋干し
・出しっぱなしの雑貨


など、元気な日には「片付けたい」と思っていたものが、疲れている日には安心材料のように見えることがある。


最初は、部屋の問題だと思っていた。
だが最近は、『自分側の状態』も大きいのではないかと思うようになった。

1.感覚刺激

人間は、思っている以上に周囲の情報を使って生活している。
・光
・音
・色
・匂い
・物の配置
・生活音

など、脳は常に空間から刺激を受け取っている。
心理学では、こうした周囲から入ってくる情報を『感覚刺激』として考えることがある。

刺激というと、「多いほど疲れる」イメージがある。

実際、
・散らかった部屋
・情報量の多い空間
・騒音
などは、脳を疲れさせやすい。

だから、ミニマリズムの
物を減らすとラクになる
は理にかなっているのだと思う。
だが面白いのは、人は『刺激ゼロ』でも落ち着かない、という点だ。

例えば、
・完全な無音
・真っ白な空間
・生活感のない部屋
に、逆に緊張感を覚える人もいる。

心理学では、人は刺激が多すぎても少なすぎても落ち着かず、『ちょうどいい刺激量』の時に最も快適になる、という考え方がある。
これを『覚醒水準』として説明することもあるらしい。

例えば、
・静かすぎる図書館より、少し人の気配があるカフェの方が集中できる人
・無音だと落ち着かず、テレビをつけたまま過ごす人
・ホテルは快適なのに、自宅の方がよく眠れる人
なども、この『刺激量のバランス』と関係しているのかもしれない。

刺激が多すぎると疲れる。
だが逆に、刺激が少なすぎても脳は落ち着かない。
人は案外、その中間あたりを求めながら暮らしているらしい。

つまり、疲れている日は、脳が『安心できる刺激』を求めているのかもしれない。

2.元気な日の部屋、疲れている日の部屋

元気な日は、余白が心地いい。
・スッキリしている
・開放感がある
・掃除しやすい
・頭の中まで整理された気がする


だが、疲れている日は少し違う。
同じ部屋なのに、
・静かすぎる
・少し冷たい
・人の気配がない
・妙に孤独感がある
と感じることがある。

疲労やストレスが強い時、人は新しい刺激よりも『慣れたもの』や『安心できるもの』を求めやすいと言われている。

脳は常に周囲の情報を処理しているが、新しい環境や予測できない状況ほど、多くのエネルギーを必要とするそうだ。
一方で、見慣れた景色や使い慣れた物は、脳がすでに情報を持っているため処理の負担が少ない。
私の場合は、読みかけの本や出しっぱなしの雑貨だったのかもしれない。

つまり、人は『部屋』を見ているようで、その時の『自分の状態』も同時に見ているのかもしれない。
認知心理学でも、人は感情やストレス状態によって、同じ景色でも受け取り方が変わると言われているらしい。


3.生活感は、本当にノイズなのか?

ミニマリズム界隈では、生活感は消すものとして扱われがちだ。
だが本当は、
・読みかけの本
・シンク内のマグカップ
・小さな生活音
・出しっぱなしの雑貨
などは、

ここで誰かが生きている

という安心感でもあるのかもしれない。

人は、自分の持ち物や配置によって、「ここは自分の場所だ」と認識しやすいらしい。
これはテリトリー心理学にも近い感覚なのだと思う。
だから、整いすぎた空間は、時として『借り物感』が出る。
ホテルやモデルルームが、綺麗なのに少し緊張するのも、そのためかもしれない。


4.結局、どちらが良いのか

もちろん、物が多すぎる空間は疲れる。
だが逆に、整いすぎた空間もまた、人によっては少し緊張する。

つまり大事なのは、
どれだけ物を減らしたか
ではなく、
今の自分にとって心地いい刺激量
なのかもしれない。

だから最近は、
完璧に片付いた部屋
を目指すより、
今の自分が落ち着ける空間
を作る方が大事なのではないか、と思っている。


片付けたい気持ちと、残しておきたい気配

人はその間を行ったり来たりしながら暮らしているのかもしれない。


片付けたくなるのは物のせい?それともこころのせい?

問いかけをしておきながら、自分でもまだ答えが出ていない。



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