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「もう無理」のサインはどこから?私が3つの医療機関を辞めた本当の理由~自分の「一番大切なもの」を守るために~

「もうここでは無理だ」

私は今まで3か所の規模の違う医療機関で仕事をしてきた。
今になって振り返ると、この職場を辞めようと決めた瞬間は、やっぱりこれだという決め手があったことに気づいた。

◼️身体的に続けられないと思ったから

大学病院時代は、新卒から働いたということもあり、体力もバッチリで夜勤にも対応できていた。むしろ、夜に働くということにちょっとしたワクワク感すらあり、夜勤(0時~8時半)明けに帰宅後、泥のように寝て夕方起きて飲みに行く、なんてことは軽々とでき、むしろ気分転換にすらなっていた。


だが、私がこれはもう無理かもしれないと思ったのは、異動してからだった。若いうちに、最前線の医療を経験したいと思った私は、救急部(ICU・救急外来)への異動を志願。希望通り異動でき、新しい知識や経験を積み上げて行くことが楽しかった。だが、異動後5年ほど経過した時点で体が異変を訴え始める。


当時は3交代、朝出勤し夕方帰宅、仮眠をしてまた真夜中に出勤、という生活リズムだった。この仮眠が罠である。
仮眠とはいうが、全く眠れない。帰宅後(18時ころ)に夕食をかきこみ、さっさと風呂に入る。その後、早々に(19時ころ)床につくものの、そんな時間であればぐっすり眠れるはずはなく、加えてアドレナリンが放出されたたままで目はギンギン。
横たわった、という事実だけで寝たことにして、深夜(0時)にまた出勤していく。だんだん生理も遅れ、終日頭痛や動悸を感じる羽目に。


何より大変だったのは、特殊な部署での神経のすり減らし方が尋常ではなかった、ということだった。
突然運ばれてきて亡くなる方、生後数日の新生児の心臓手術後の管理など、高度な管理とスピード感が要求され、私自身の脳の容量が足りない上に、体のコンディションが不良なまま出勤するということが続き、若さをもってしても、「これは健康が守られない」と思い、辞めようと決めた、という流れである。
いわゆる、「不健康借金」が積み重なってしまった状態だった。

◼️精神的に続けられないと思ったから

生活リズムを整えるためにも、開業医のクリニックに転職した。
院長はとても優しく、昼間だけの生活になったため、明らかに生活リズムが改善した。
だが、そこで人間関係でつまづいた。


クリニックはスタッフの人数も少ないため、不協和音が生じると尾を引きやすい。はっきり言うと、院長以外のスタッフから孤立した、からだった。
ある程度の規模の病院であれば、多少の波風はそこまで響かない。
だが、小規模だと皆自分を守ることに必死になる。
自分の立場が危うくなると思えば、誰かが孤立してでも自分の立場を守る、という気持ちも、生存競争的にはわからなくもないと思った。


あまりにきつく、院長に相談すると「僕は守ってあげられないからなあ」と困った顔で言われ、その言葉で、辞めようと決意した。
院長も経営者であり、スタッフの人間関係を改善するのは難しいことは百も承知だったが、あまりにその言葉が深く突き刺さり、私の決意の後押しをしてしまった。孤立した状態から、「精神的に守られない」と感じたからだ。
気持ちだけではなく、不眠・生理不順まで引き起こし始めたのも理由だったと思う。

◼️自分の信念が守られないと思ったから

中規模の病院で勤務した時のことである。
また、夜勤ありの生活に戻ったが、今回は2交代(夜勤は16時半~翌朝9時)であり、3交代の時とははるかに自宅での睡眠は確保されていた。病棟の慌ただしいシーンも大学病院時代よりは疲弊せず、性に合っていたのか、割と仕事と私生活のバランスがうまく取れていたと思う。


だが、元来何かを突き詰めたり、仕事の質の良さを追求するのが好きな私。
みんなの害にならない程度に、仕事に対しての改善案を小出しに提案したりして、質の向上を目指した。だが、仕事をする上で大事にしていることは、人それぞれ違う。生活のためだけに働くことを否定はしない、平社員であればむしろそれは健全な考えでもある。私に共感してくれた人は多くはなかった。


その上で、管理職へ提案した際に、のれんに腕押しだったことが、私には何よりも堪えた。それが辞めようと思ったきっかけであった。
質を高めたいという私の思いが否定された気がして、そこで「自分の信念が守られない」、と感じたからだ。


人間には、マズローの5段階欲求があると言われている。ご存知の方もいるのではないだろうか。

■ 第1段階:生理的(せいりてき)欲求

  • どんな状態か: 生きていくために絶対に欠かせない、睡眠や食事などの本能的な欲求(すべての土台となる最優先の欲求)

  • 具体的な例:

    • 毎日しっかりと十分な睡眠をとる、栄養のある食事をする

    • 疲れたら適切な休息をとり、体を休ませる

■ 第2段階:安全(あんぜん)の欲求

  • どんな状態か: 心身ともに危険のない安全な状態や、経済的・環境的に安定した暮らしを求める欲求

  • 具体的な例:

    • 病気や怪我をせず、心身の健康をしっかりと保てている

    • 安定した収入があり、治安が良い場所や安心して眠れる家に住めている

■ 第3段階:社会的(しゃかいてき)の欲求

  • どんな状態か: 友人や家族、会社、学校などのグループに所属し、仲間として受け入れられたいという欲求

  • 具体的な例:

    • 気の合う友人と過ごしたり、趣味のコミュニティに属したりする

    • 会社や家庭の中で、「ここにいていいんだ」という自分の居場所を感じられる

■ 第4段階:承認(しょうにん)の欲求

  • どんな状態か: 他者から認められたい、尊敬されたい、あるいは自分で自分を価値ある存在だと評価したい欲求

  • 具体的な例:

    • 仕事や勉強で成果を上げて、周囲から高く評価されたり褒められたりする

    • SNSで「いいね」やポジティブなコメントなど、嬉しい反応をもらう

■ 第5段階:自己実現(じこじつげん)の欲求

  • どんな状態か: 自分の持つ能力や可能性を最大限に発揮し、「あるべき自分」になりたいと願う欲求

  • 具体的な例:

    • 自分の才能や好きなことを活かした仕事や創作活動をする

    • 妥協せず、自分が本当に納得できる理想のライフスタイルを追求する

この5段階の中で、自分の優先順位が高い階層が崩れる、と感じた時に私は辞めようと決意したと改めて感じた。

だが、むしろその経験があったからこそ、今こうしてnoteを書こうと決め、チャレンジでき、皆さんとの温かい交流ができていることを考えると、その時辞めてよかった、と心底感じる。

人は『自分にとって大切な物が守られない』、とわかった瞬間に職場やコミュニティを離れようと決めるのかもしれない。


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