徹頭徹尾、やるべきことを やり抜く力(GRIT)が必要 #11
人間の本性とは、そもそも弱いものと私は捉えています。
いわゆる「性弱説」です。
楽な方に流れたい。
傷つくなら挑戦したくない。
失敗するくらいなら、最初からやらない方がいい。
それが人間の自然な姿です。
だからこそ、私の恩師が常に口にしていた言葉が、今も胸に残っています。
「徹頭徹尾」
自分に妥協しそうになった瞬間、必ずこの言葉がよみがえります。
■ 徹頭徹尾とは何か
徹頭徹尾は、「徹頭」と「徹尾」から成ります。
頭(最初)から尾(最後)まで、貫く。
つまり、始めたことを、最後までやり抜くことです。
実際、諦めかけた物事を、この言葉のおかげで踏みとどまり、結果に結びつけられた経験は一度や二度ではありません。
かつての私は、これを精神論だと思っていました。
しかし、それを論理的に理解できたのが
アンジェラ・ダックワース著『GRIT やり抜く力』でした。

■ 成果を出す人の共通点は「才能」ではなかった
ペンシルベニア大学の心理学教授である著者は、研究からこう結論づけています。
「みごとに結果を出した人たちの特徴は、情熱と粘り強さを合わせもっていることだった。つまり、成果に結びつけるのは才能ではなく、GRIT(やり抜く力)が強かったのだ。」
実験では、高い才能を持ちながら、GRITが低いために途中で挫折してしまった人たちが紹介されています。
ある意味、才能が邪魔をしたのです。
努力しなくても一定の成果が出るため、成長が止まる。
一方で、突出した才能や知性がなくても、GRITが高いために成功した人も紹介されています。
ここから見えてくるのは、シンプルな真実です。
成果を出すかどうかは、才能ではなく「やり抜く力」次第。
妥協したら得られるものすら、得ることができません。

■ 性弱説を認めた人だけが強くなれる
人間は弱い。
だからこそ、自分の弱さを前提に設計する必要があります。
メンタル(その時の気分や状態)は不安定です。
失敗すれば、二度と繰り返したくなくなる。
しかし、メンタルを支えるマインドセットの基準が高ければ、諦めずに続けられます。
基準が低ければ、すぐに折れます。
GRITとは、特別な能力ではありません。
「やり抜くことを当たり前にする基準」のことです。
■ GRITが弱い人・組織の6つの傾向
私の経験則ですが、GRITが弱い組織や人には共通点があります。
① 計画性がない
目的と課題が曖昧なまま、場当たり的に動く。
② うぬぼれが強い
才能に頼り、継続を徹底しない。外部の意見を聞かない。
③ 情報を疑わない
思慮が浅く、物事を深く考えない。
④ 確認を怠る
思い込みで動き、検証しない。
⑤ 根拠のない楽観主義
「なんとかなる」と考え、危機感がない。
⑥ 詰めが甘い
最後の最後で気を抜き、積み上げを台無しにする。
もし3つ以上当てはまるなら、GRITは弱い傾向にあるかもしれません。

■ GRITを高める5つの実践ポイント
では、どうすれば「やり抜く力」は高められるのか。
1.具体的な計画を立てる
望ましい結果を明確にする。
そのための課題を具体化する。
ゴールが鮮明だからこそ、逆算して「今やるべきこと」が見えてきます。
2.ホウレンソウを徹底する
中から見る視点と、外から見る視点は違います。
漏れなく、ダブりなく(MECE)考える。
ステークホルダーの視点を無視しない。
市場ニーズを無視したプロダクトが売れないのと同じです。
その基本が「報告・連絡・相談」です。
3.情報を多角的に分析する
一面的な解釈は危険です。
複数の視点から分析することが大切です。
ただし、すべてを採用することではありません。
「しないことを決める」勇気も重要です。
4.仮説思考で動く
考えすぎて動けないのも問題です。
かと言って、考えずに突っ込むのは、もっと危険です。
70〜80%の確実性があれば動く。(リーンスタートアップ)
残りは仮説で埋め、PDCAを回すことです。
行動しなければ、真実は見えません。
5.論拠を持つ
自分に都合のいい正当化をしてはなりません。
「本当にそうか?」と問い続けることが大切です。
論拠を明確にすることが、思考を構造化し、組織の再現性を高めます。
■ 結局、成功とは何か
成果を出したいなら、GRITを高めることです。
情熱と粘り強さを、徹頭徹尾、発揮し続けることです。
それが当たり前になったとき、自分自身の基準は確実に上がっているはずです。
最後に、稲盛和夫氏の言葉です。
「成功するには、目標達成に向かって粘って粘って最後まで諦めずにやり抜くということが必要です。」
才能ではない。
運でもない。
才能があっても、努力して発揮しなければ能力は伸びません。
逆に才能なんてあるから足枷となるのかもしれません。
才能に頼らずとも、努力で高い能力を身につけることができるはずです。
努力のなかで、潜在的だった才能も開花するかもしれません。
何事も徹頭徹尾、やり抜けるかどうかです。
自分の人生です。
その主導権は、自分自身で持ちたいものです。
