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イノベーションの可能性を探る #96 顧客価値

社会的な存在意義があって企業は存続できます。
そのためにも企業は、他社と差別化できる独自の価値を創造し続ける必要があります。
また、その価値を活かした製品やサービスを通して、顧客に望んでいただける価値を提供し続けなければなりません。
そして、その提供する価値と顧客が望むことで、顧客価値が成立することとなります。

顧客価値を4段階に分けた概念があります。

1段階:最低限の価値(基本的価値)
顧客が望む最低限の必要な価値。
この価値がなければ製品やサービスとして成り立ちません。
最悪、クレームの対象となってしまいます。

2段階:顕在価値(期待価値)
製品やサービスとしての一般的な評価をもらえる、あたりまえの基本的な価値。
このレベルの価値なら競合がひしめく、所謂、レッドオーシャン状態と思われます。

3段階:差別化価値(願望価値)
市場には基本的に競合他社が存在します。
あたりまえの価値では、最悪、価格の下げ合いとなり利益を得ることはできません。
そのために顧客が望む顕在的なニーズに応えて競合他社と差別化できる価値が必要となります。
顧客としては、同じ価格なら差別化価値のある方を選ぶこととなります。

4段階:潜在価値(予想外価値)
顧客すらも気づいていないような潜在的な問題を解消してくれる想定外の驚きの価値です。
そのものが、イノベーションにも通じるとも言えます。

顧客価値を大きく左右するポイントは、顕在的価値と潜在的価値の組み合わせだと考えています。

まず、顧客には、顕在的な顧客と、まだ顧客になっていない潜在的な見込み顧客が存在します。
また、ニーズにおいても、誰もが気づいている顕在的ニーズと誰も気づいていない潜在的ニーズがあります。
より潜在的な顧客やニーズに応えることで、顧客価値は、あたりまえの顕在的価値から、より付加価値の高い潜在的な価値にすることができます。

世の中には、伝統に裏打ちされた既存の顕在価値を変えずに維持し続けることが評価される製品もあります。
対して、環境や顧客価値の変化から売上の拡大どころか維持することすら困難な製品もあります。
この場合、如何にして、潜在的価値を創造するかが重要となります。

組織が目的を果たすためのマネジメントの機能には、マーケティングの他にイノベーションが不可欠であるといわれています。
イノベーションとは、潜在的なニーズに応えた新しい顧客価値であるといえます。

カナダのトロントで生姜汁にフルーツジュースやフレーバーエキスを混ぜた飲み物が発売されました。
普通、生姜と清涼飲料を結び付ける発想はないと思います。
しかし、その後に改良が加えられ、現在では、定番的な清涼飲料であるジンジャーエールとなっています。
また、19世紀末期のアメリカで、自然療法家の一人がワインをベースにコカインなどを調合させて、精力増強や頭痛の緩和に効果のある薬用酒をつくり販売しました。
その後、禁酒運動が起こったことなどからノンアルコールとなったその飲み物は、清涼飲料のコーラとして世界中で愛飲されています。
正に潜在的ニーズに応えた顧客価値の創造の一例です。

そして、イノベーションとは、こんな思わぬ副産物であることも少なくありません。
偶然から予想していなかったものが価値やアイデアを生み出す幸運だったり能力をセレンディピティといいます。
例えば、スナック菓子の定番であるポテトチップスは、レストランで出されたフライドポテトのお客とシェフのやり取りから生まれたのだそうです。
プライドポテトが厚すぎると何度も苦情を発するお客に対して、シェフは意図的に食べにくいように、薄く、フォークが刺さらないように固く揚げて出したものが原型なのだそうです。
シェフの意図とは反して、皮肉にも、お客の潜在ニーズを満たす結果になったという訳です。

企業は、前提として、独自の価値を創造することが重要です。
そして、その顕在的な価値を活かして、如何にして潜在的な価値を創造するかです。
イノベーションとは、基本的には失敗のマネジメントだと言われます。
まずは、失敗を恐れずに、たくさんのアイデアを出すことが大切です。
そこから、僅かな優れた価値やアイデアを見つけ出せるかです。
決して、顕在価値で満足することなく、セレンディピティを磨き、常に潜在価値を探ることで、イノベーションを創造して行かねばなりません。
顧客価値を如何に高めるかが企業価値を高めることに繋がります。

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