見出し画像

組織は262でできている“262の法則” #67

一人で成せることには限界があります。
故に同じ目的を持った人たちで組織が形成されます。
しかし、同じ目的であるとは言え、人格は、それぞれ異なります。
また、個々の経験値などによって、発揮できる能力や方法論も違ってきます。

本来、組織に属する以上は、組織の目的である理念を本質から理解し、共有することが求められます。
しかし現実には、同じ目的を掲げていても、その本質までを完全に理解するには個々の能力や経験値に差があります。

重要なのは「理解できないこと」そのもの以上に、本質を共有できるように伝えられていない側の課題にも目を向けることです。

コミュニケーションとは、単なる情報伝達ではなく、考え方や価値観を相互に理解し合う行為です。
しかし実際には、「伝えたつもりでも伝わっていない」という現象が頻繁に起こります。

心理学的には、「相手がどう受け取ったか」がコミュニケーションの結果そのものであると捉えられます。
つまり、意図した内容が正しく伝わったかどうかは発信側ではなく受け手の理解によって決まるため、伝わらなかった場合には発信側にも改善余地があると考えられます。

■ 262と言われる組織構造

経験則として有名な「パレートの法則」があります。

成果の約80%は、全体の20%の活動から生まれる

例えば100種類の商品があった場合、そのうちの20種類が利益の80%を生み出している、というような現象です。

この考え方は、組織の人材構造にも応用されます。

それが組織を形づくると言われる「262の法則」です。
組織の人材は、特性によっておおよそ次の比率に分かれるとされます。

* 上位20%:高い成果と牽引力を持つ層
* 中間60%:指示や環境で行動が変化する層
* 下位20%:成果への関与が弱い層


組織は、その規模や強さなどに関わらず、この構造に収束していく傾向があると考えられています。

■ 「262の法則」の特性

上位20%、中間60%、下位20%には、それぞれの特性や傾向などがあります。

●上位20%:組織を引っ張る牽引層
この層は単に成果を出すだけではなく、組織全体を前に進める推進力を持っています。
自ら考え、動き、周囲にも良い影響を与える存在です。
いわば、組織の原動力そのものと言えます。

●中間60%:組織の厚みをつくる成長層
最も割合が大きいこの層は、組織の安定性と拡張性を支えます。
自発的な行動はまだ弱い場合もありますが、適切な指示や環境があれば確実に動ける柔軟性を持っています。
一方で、周囲の影響を受けやすいという側面もあるため、育成の方向性が組織全体の成果に直結します。
この層をいかに早く戦力化できるかが、組織力向上の鍵になります。

●下位20%:2つの異なる性質
この層は一括りにはできず、大きく2つの側面があります。

① 経験不足による未熟層
新入社員に代表されるように、経験が少ないことで成果が出にくい状態です。
しかしこれは成長過程であり、失敗と経験の積み重ねによって確実に伸びていきます。
むしろ将来の組織を支える重要な存在であり、いわば「ダイヤの原石」です。

② 能力はあるが活かしきれていない層
スキルあるいは経験などは十分にあるにもかかわらず、成果につながっていないケースです。
この場合は能力そのものではなく、根本的な人格であったり、動機づけや環境、役割設計に課題があることが多く、放置すれば組織への影響も大きくなり得ます。
適切な指導や環境調整によって、本来の力を引き出すことが重要になります。

自ら燃える自燃人

■ 組織にとって厄介な存在

262の法則の下位20%における「②能力はあるが活かしきれていない層」は、扱いを誤ると非常に厄介な存在になる可能性があります。
それを語る上で、人材のことを次のような表現でも整理されることがあります。

* 人財:上位20%に相当する、自ら動き、組織を牽引する存在(自燃人)
* 人材:中間60%に相当する、指示によって動ける存在(可燃人)
* 人在:下位20%に相当する、まだ十分に燃えていない存在(不燃人)

ここまでは、いわゆる「262の法則」に該当する人材ということになります。
問題は、ここに属することができない人材の存在です。

* 人罪:周囲の成長を阻害する存在(消燃人)

この人材は、262と異なり、必ず、組織に存在する固定的な属性ではなく、環境や育成によって生まれる可能性があるという点であるということです。
HRM(人的資源マネジメント)としては、組織を構成するに相応しい262の存在になれるように指導することが重要となります。
しかし、組織の目的よりも、利己的な主張を優先し、組織の規律を見出し続けるなら、それは百害あって一利なしの存在です。

■組織の本質は「比率」ではなく「循環」にある

一見すると「262の法則」は、人材の固定的な分類のように見えます。
しかし実際の本質は、その比率そのものではありません。

上位20%に依存するのではなく、中間60%をいかに成長させ、下位20%をどう活かし、引き上げるか。
この循環設計こそが組織の本質です。

そしてこの循環は、日々のコミュニケーションの質によって大きく左右されます。
組織とは「人の集まり」ではなく、「理解の積み重ね」で成立する構造体です。
そして成果の差は、能力の差だけでなく、理解の伝達精度の差からも生まれます。

また、262の法則は、組織の見え方を変えるための一つの視点でもあります。
重要なのは誰がどこにいるかではなく、その人をどう理解し、どう育て、どう循環させるか。
組織力とは、構造ではなく設計であると言えます。

いいなと思ったら応援しよう!