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「お帰りなさい」アルムナイという新しい関係性 #136

■ 人材戦略の転換点

企業が目的を達成するうえで、経営資源の活用は欠かせません。
一般的に経営資源は「ヒト・モノ・カネ・知識・情報」に分類されますが、その中でも近年、特に重要性が高まっているのが「ヒト」、すなわち人材です。

従来の人事部門は、労務管理や制度運用などのオペレーション業務が中心でした。
安定した組織運営を支える重要な役割である一方、経営戦略との結びつきは限定的な場合もありました。

しかし近年、労働力不足の進行や技術革新の加速により、人材に求められる役割は大きく変化しています。
単なる業務遂行にとどまらず、価値創出や変化への対応力がより重視されるようになっています。

こうした背景のもと、人材と組織を中長期的な視点で捉える人的資源管理(HRM: Human Resource Management)の重要性が高まっています。

HRMでは、採用・育成・評価といった人材マネジメントを一連のプロセスとして捉え直す動きが進んでいます。
その中で注目されている考え方の一つが「アルムナイ」です。

■ HRMにおける視点の広がり


アルムナイ(alumni)は本来、卒業生や同窓生を意味し、人事領域では退職者と企業との継続的な関係性を指す概念として用いられています。

日本の雇用はこれまで「メンバーシップ型雇用」を中心に発展してきました。長期的な雇用を前提とした育成型の仕組みであり、企業と人材が一体となって成長していく点に特徴があります。

一方で近年は、働き方やキャリアの多様化が進み、人材の流動性も高まっています。その中で、退職後も企業と人材がゆるやかにつながり続けるという考え方が広がりつつあります。

海外では、職務ごとに人材を捉えるジョブ型雇用のもと、退職はキャリアの一部として位置づけられることが多く、元従業員との関係を維持するアルムナイの仕組みが運用されている例もあります。

国内でも、退職者の再雇用やネットワーク形成を目的とした取り組みが少しずつ見られるようになっています。名称や運用方法は企業ごとに異なりますが、「一度の関係を長く活かす」という発想は共通しています。

■ 退職という選択をめぐる考え方

社外での経験は、個人にとっても企業にとっても新たな視点や価値をもたらす可能性があります。
転職市場の活性化により、退職は特別な出来事というよりも、キャリアの選択肢の一つとして捉えられるようになっています。

退職の理由はさまざまですが、大きくは以下のように整理されることがあります。

・労働環境や仕事内容などの改善を求めるケース
・新しい環境や挑戦を目的とした前向きな選択

いずれの場合でも、退職時の関係性が良好であれば、その後も何らかの形でつながりが続く可能性があります。

■ アルムナイという選択肢


こうした背景のもと、一部の企業ではアルムナイの考え方を取り入れ、退職者との関係性を継続的に維持する取り組みが行われています。

再雇用制度やネットワーク施策など、その形はさまざまですが、いったん離れた人材が再び組織に関わることも想定した仕組みです。

実際に、外部での経験を経て数年後に復職するケースもあり、そうした人材は新たな視点を持つ即戦力として活躍することもあります。

■ 人材戦略における新しい関係性


人材に関する考え方は企業ごとに異なりますが、共通して重要なのは、個人と組織の双方にとって納得感のある関係を築くことです。

当社としては、採用時にはスキル以上に、経営理念におけるバリューである“誠実さ”を重視し、即戦力より、長期的に良好な関係を築けることを大切にしています。

また、退職に際しても、前提が、その選択が本人にとって最適であるかを尊重しています。
その上で、もちろん引き留める時もありますし、場合によっては、新しい環境での活躍を応援するようにしています。

そのうえで、将来的に再び関わる機会があれば、そのつながりを活かすことができるような関係性を目指しています。

アルムナイという考え方は、退職を「終わり」として捉えるのではなく、「関係性の形が変わる節目」として捉え直す視点でもあります。

人材の流動性が高まる時代において、一度の関係を大切にし、それを長く活かしていく発想は、今後ますます重要になると考えられます。

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