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騒がない選択 ~Voicy倍速機能有料化をめぐって~

私も愛用する音声配信プラットフォーム「Voicy」が、2025年10月1日、倍速再生機能の一部を有料会員に限定。
賛否両論、というか主に“否”のほう、大きな反発が起きましたね……。

既存の無料機能が予告なしで制限されたことへの不満がSNS上で拡散され、数日後にはVoicy社が変更を撤回、
10月1日以降有料のVoicy+に入った方には返金、Voicy+の解除をおこなう、という決着だったようです。


この一連の出来事は、単なる“倍速機能の有料化問題”を超えた、SNS社会における企業ガバナンスとユーザー心理の縮図だったのかもしれない……と考えたり。

炎上の最中に言及することでインプ稼ぎをするのもなあ、専門家でもないし、そもそも炎上ネタに触れたくない、などの気持ちもあったのですが、
いくらか落ち着いたと見えるこのタイミングで、私の考えていたことをシェアしてみようかと思います。




騒がない選択 ~Voicy倍速機能有料化をめぐって~

倍速再生有料化が燃えた理由

仕様変更の内容

Voicyは音声コンテンツを配信・視聴するプラットフォーム。
これまで無料ユーザーも含め誰でも利用できた「倍速再生機能」を、2025年10月、有料のVoicy+会員に限定する、と変更しました。

倍速再生機能は、現在多くの音声配信サービスで標準的に提供されているもの。
YouTube、Spotify、Apple Podcastsなど、主要なプラットフォームでは無料で利用できます。
そのため、この変更は「音声プラットフォームでは当然の機能を突然有料化した」と受け取られたようです。


炎上にまで至った理由

炎上にはいくつかの要因が重なって見えました。

・予告なしの変更
当たり前になっていたものが説明もなしに突然奪われた、とユーザーに感じさせたことで、損失回避しようとする心理が働き、モヤモヤや怒りにつながったのかな、と。

・資金難の噂との重なり
Voicyの赤字経営は、社会のあれこれにそこまで関心のない私の耳にも届くくらいには、広く言われています。
「赤字補填の負担をユーザーに押し付けた」と今回のことが捉えられたのかなと。
(それ自体はふつうだと思いますが、見られ方の想定が甘かったのかも)

・SNS(主にエで始まるテキストプラットフォーム)での拡散
あそこは修羅の地なので……特にテキストの、それも文字数制限のあるSNSでは、怒りの投稿が拡散しやすいですよね……。
(私はあのSNSにも意義を感じ、健全に使えるよう務めていますが、意識しないとそりゃあ、ね)

今回は当のVoicyにおいてもさまざまなパーソナリティがそれぞれ述べておられたようですね。ユーザーもコメントしますし。
無料ユーザーも有料ユーザーも、それぞれの立場から批判を展開。最終的に企業の意思決定を変えるほどに至りました。

余談ですが、
「私の放送のコメント欄にVoicy仕様変更についてのコメントをされた場合は、削除させていただきますし、書かないでほしいです」
という旨の放送をした友人、吉田裕子さんは賢く、思慮深いな、さすがだな、と思いました。


梶間和歌の視点

Voicyのやり方が正しかった、とは思わない

今回の騒動ですが、個人的に、Voicyのやり方を賢いとは思いませんでした。

・告知なしに機能を有料化する(それ自体はありだと思うが、それを押し切れる状態でないのにそれをする)
・資金難の噂と重なる
・ほかにできたはずの、反感の少ない施策ではなく、機能制限で課金を促す

など、など……重なると、うーん、まあ、好感度は下がっても仕方ないかも。
無料音声配信の選択肢もあるなか、これをきっかけにSpotifyなど別のプラットフォームに移る人が増えたのは自然なことかなと思います。配信者もリスナーも。


ただし、だからといってVoicyを叩いてよいかというと、それは別のお話ではないかと思われまして……。


悪しき前例にならないか

SNS時代の問題として、次のような構図が浮かび上がります。

無料ユーザー、または少額しか払っていないユーザーが、“自分の正義”を持ち出して大きな声をあげ、企業の意思決定を実際に変えてしまった

という構図が。


「Voicyには僕もそこそこ課金してきましたから言わせてもらいますが」
と言う人もいましたが……とはいえ月に数百円から数千円、多くても1万円台とかの規模でしょう。累計で億に至る方など、ねえ。

Voicyが困っているのは“億単位”と言われています(公式発表ではないようですが)

「Voicyさん、困っているなら○億渡しますから。ところで、僕こう思うんですけどどうよ? 」
というわけではないと思うんだよな、その“そこそこ”勢。
少々強い言葉になりますが、「恩着せがましいな……」という印象を抱いたのが正直なところです。


私もビジョンの記事でご寄付を募るにあたり

☆「支援したのだからこうなれ、こうすべきだ」と見返りを求める方とは、考え方が致命的に合いません。
これは株式会社の株ではないのです。人間の善意や可能性を信じての営みです。
現行の資本主義下でも、そのお金の有意義な使い道はあると思います。どうか私以外のほかのなにかに使ってくださいね。

和歌は私の人生です ~おもしろ物語を共創するお誘い~

としていますが。
お金を下さるというのは本当に有難いことなのですが、

「だからなにを言ってもいいでしょう。あなたはそれを聴くべきでしょう」

という輩には回れ右、そして永遠のさようならをお願いしたい。


私のような身軽な個人事業主と異なり、企業さんは「はい、ブロック~」などと振る舞いづらいでしょうから、本当に大変だと思います。
そのぶんユーザー側が考えを巡らせて差し上げるべきでは、というのが私の考え方ですが……まあ、そんなことを思う人のほうが少数派だろうな。
そこまで考えるユーザーは今回黙っているか、擁護の声をあげるかした可能性が高く、そう考えない人が今回騒いだのだと思いますので。

無課金・低課金ユーザーの声で企業の意思決定が変更された。
この前例が今後の日本社会においてどう働くでしょうね。


“外野で騒ぐ人”にならない

自分が本当に当事者で影響の大きな事象であれば別ですが、

部外者でありながら、または部外者である可能性の高い立場で“正義”をかざして外側から騒ぐ行為には慎重でありたいなあ、

とこの件で改めて思いました。


批判するにしても、

・自分の影響範囲
・負っている責任
・実際の課金額と企業のスケール差
・感情と正義を混同しないこと
・言葉の選び方をよくよく考えること

こうしたことを、これまで以上に意識して行動したいものです。


まとめにかえて

騒がない選択

SNS時代には、そうでない時代以上に、冷静であることに価値がある。

文脈・場面次第では声をあげることも大切です。もちろん。
しかし、騒がない自由、騒がない選択も同じように大切にしたい。
責任の範囲を踏み越え、正義を振りかざしておこなうカスハラには、現実にも精神的にも距離を置いていたいです。

読者とはいえ他人である誰かにこの考え方を強いることはできませんし、するつもりもありませんが、
永福門院や光厳院の生き方を指針としてきた私の和歌活動、その他執筆活動全般になにかしら感じてここまでお読みくださった方には、今回お届けできるものがあったか、どうか、と思います。


Voicyの倍速機能に関する一連の話題について、正直、私は異世界の異邦人の主張を眺める気持ちでいました。
音声を速めて聴くにしても私の場合1.25倍が限度で、それ以上にすると頭になにも入ってこないという特性があるため、倍速制限されたところでいっさい困らないからです。そもそもその機能を使っていなかったので。
これについてはまた別の記事にしようと思っていますが。

ただ、この騒動の示した構造的な問題は、SNS時代に生きる私たち全員に関わるものではなかったかな、と。

企業とユーザー、SNS世論の関係性。
そのなかで、私たちはどう行動すべきか。

その問いを、これからも考え続けていきたいと思います。
(今回のように発信するかどうかは、その都度考えますが)


Voicyありがとう、そしてがんばれ

今回、話の流れ上、Voicy社と社長の「この点はちょっとまずかったのでは……」という部分を詳細に語ることは避けましたが、もちろん、思うところがないではなかったです。

しかし、それ以上に私はVoicyというサービスの恩恵を実感し、感謝しています。
吉田裕子さんがパーソナリティになったことでVoicyを使い始め、そこから細野豪志さんという政治家を知りました。
もう10周以上ヘビロテしているコテンラジオだってSpotifyより先にVoicyで聴き始めたわけです。

そんな個人的な恩だけでなく、客観的に見て、他のSNSと比較してダントツに、コメント欄の治安が良い。
今回の騒動でそこが若干疑われましたが、それにしてもユーザーの品位の高さは各種SNSのなかでトップクラスだと思います。


聴くべき声と無視すべき声を適切に見極め、今後もそのビジョンに近づくためのサービス運営をしてゆかれますことを、いち少額課金ユーザーとしてお祈りしております。

Voicyがんばれ! そして、いつもありがとう!


和歌物語に参加する

和歌にフルベットして生きる梶間和歌がつつがなく和歌創作、勉強、発信を続けるため、余裕のあります方にお気持ちを分けていただけますと、
私はもちろん喜びますし、それは日本や世界の未来のためにも喜ばしいことであろうと確信しております。

「この無茶苦茶な生き方を見ていると勇気がもらえる」
「こういうまっすぐな人が健康に安全に生きられる未来って、希望がある」
「この人を応援することで、人文知の明るい未来が実現しそう」
なんて思ってくださいます方で、余裕のあります方に、ぜひともご支援をお願いしたく存じます。


noteでのチップ、メンバーシップ、その他様々な形で読者の皆様にご支援いただき、こんにちの梶間和歌があります。ありがとうございます。

特に2023年、令和5年隠岐後鳥羽院和歌大賞で古事記編纂1300年記念大賞を受賞し、表彰式を含む大会のツアーに申し込んだため、ツアー代金(9万円弱)と交通費を生活費と別に工面することになりました。
皆様のご支援のおかげでそちらのツアーに無事参加。
また翌年、城南宮・鳥羽殿賞を頂きまして、こちらの表彰式ツアーにも参りました。

すべて皆様の金銭的なご支援があってこそ叶ったことです。あらためて、心より感謝申し上げます。もちろん、お気持ちでの応援も大変うれしく思っております。
こうした応援のひとつひとつが私の器を広げ、より良い和歌仕事を世界にお返しすることにつながっております。

令和5年、6年分ともに、ツアーの様子はこのマガジンに連載しております。更新をどうぞお楽しみに。


今後とも、それぞれの領分において世界を美しくしてゆく営みを、楽しんで参りましょう。


この記事を書いた人

photo by ミカアンドロイド

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