山村若佐紀 師振付『おさん』
師匠が歌詞から起こして作舞した『おさん』を舞わしてもらうことになりました。
近松門左衛門の「大経師昔暦」を下敷きにしています。
手垢にまみれたおさん茂兵衞を刷新し本来の近松が作り上げた真意に基づき単なる姦通ものではなく弱者たるおさんの身の上に主題を置いています。
真実おさんは夫以春の計りにより茂兵衛と一緒に死ぬことも許されず苦悶の死を遂げることになります。
それゆえ人の世の共通の苦しみを永遠のテーマとして書き残した近松門左衛門の創作の筆によってようやく成仏得脱を得んとしたおさんの傷ましさに当時の人々は涙しました。
鐘の音
乗る人の 乗せたる 人もついに逝く
合いの手
野辺より先を見渡せば 木の葉 木の葉に ちらちらと
抜き身の槍の おそろしや
われは罪のかね性の
刃にかかる 因縁か
恋せぬなかの 恋となり
思いもかけぬ 旅のみち
泊まりかさねて 丹波路や
深き情けの親元に
夫婦にあらぬ 夫婦のくらし
それも束の間
めしとられ 都におくられ
この憂き目
ゆえなき女の悋気から
とがなき茂兵衛を踏みものに
合いの手
命のきわになりて知る
茂兵衛こそわが妻我が夫
南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏
嬉しやさんは未来にて
真実妻と添い臥の
さんは成仏得脱と
喜びの声萬年暦
目出たく開きそめにける
めでたくひらきそめにける
鐘の音
