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鬼嫁とモラハラから逃げた、W不倫の結末 。タワーの灯りが見える場所で…

1. 出会いは…
「陽一(仮名)です」
営業部に所属する41歳。仕事は正確だが、職場での会話は最小限だった。
「沙織(仮名)です」
経理に異動してきたばかりの36歳。控えめで丁寧な物腰が印象的だった。
名刺交換のとき、沙織の指に絆創膏が貼られていた。陽一はその小さな違和感を見逃さなかった。


2. 家では別の顔が待っていた
陽一の家庭は、いつも怒声で満ちていた。
「またそんなことして。私がいなかったら何もできないんでしょ?」
妻は日常的に責める。問いただし、否定し、人格を詰る。
黙ってやり過ごしていたが、少しずつ、陽一は壊れていった。
一方、沙織の家は静かすぎた。
夫は何も言わない。何も怒らない。
「どうせ言っても無駄でしょ」
「お前に期待なんてしてないから」
会話はなかった。ただ視線だけが重くのしかかってきた。


3. 気づけば毎日が交差していた
業務のやり取りはスムーズだった。
「話しやすい」と感じたのはお互いにとって初めてだったのかもしれない。
昼休みに偶然を装って会うことが増えていった。
「夜、帰りたくないと思ったことありますか?」
沙織の問いに、陽一は即答した。
「毎日です」
それが、はじめての心の告白だった。


4. 越えてしまった境界線
ある雨の夜、ふたりは同じ傘に入って駅まで歩いた。
会話はなかったが、別れるのが惜しいと感じた。
「もう少しだけ、一緒にいたい」
沙織がつぶやいた。
ビジネスホテルのロビーに入ったとき、陽一は立ち止まった。
「ここからは、沙織さんが決めてください」
その夜、ふたりは静かに一線を越えた。


5. 崩れていく家庭と現実
陽一の妻は気づいた。スマホを勝手に見られ、問い詰められた。
「私をバカにしてるの?」
「会社にバラされたくなかったら、言うこと聞きなさいよ」
職場でも呼吸が浅くなった。
沙織の夫は、ある日突然「お前、浮気してるだろ」と言った。
証拠もないのに。だが、目が笑っていなかった。
「俺の親に会わせたくなかった理由、やっとわかったよ」
彼女は黙って荷物をまとめ、実家に戻った。


6. 別れ話と、戻れなかった理由
「終わりにしましょうか」
沙織が切り出した。
陽一はうなずいた。「…わかりました」
けれど、そのあとこう続けた。
「でも、また話せたら嬉しいです」
ふたりは一度距離を置いた。
しかし数週間後、陽一からLINEが届いた。
「今日、東京タワーがすごくきれいでした」
たった一文。そこに、気持ちが詰まっていた。


7. 離婚という現実に向き合ったのは彼だった
陽一が先に動いた。
家を出て、調停を申し立てた。
妻は金銭面での条件を次々に突きつけた。
子どももいた。世間体もある。
それでも陽一は押し通した。
「これ以上、自分を壊したくなかったんです」
半年後、離婚が成立した。


8. 沙織もまた、逃げるのをやめた
夫は冷静に見えていたが、沙織が離婚届を持ち出すと態度を変えた。
「お前にそんな覚悟があると思わなかった」
「二度と誰にも愛されないぞ」
脅しにも近い言葉に震えながら、それでも沙織はサインをもらった。
そして、全てが終わった。


9. タワーの灯りが見える場所で
その年の秋、ふたりは芝公園の近くにある、静かなレストランで再会した。
窓の外には東京タワーが見えた。
赤く灯った光が、夜の闇の中に浮かんでいた。
「今日、来てくれてありがとう」
陽一が言った。
「最後にちゃんと顔を見て、お礼を言いたかったんです」
「最後?」
沙織は聞き返した。
「…ではなく、始まりかもしれませんね」
彼は、微笑んだ。


10. 未来を約束しない、でも確かに続いていく
ふたりは向かい合って座ったまま、グラスを合わせた。
離婚届の控えが、それぞれの鞄の中に入ったままだった。
「どこかに行こうって話じゃないんです」
「でも、もう誰かのものにならなくていいってだけで、救われました」
沙織の言葉に、陽一はただ頷いた。
東京タワーの灯りは変わらずに、夜空に浮かんでいた。

監修:アクアグローバルサポート


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