Z世代の主体性はどこに消えた!?
こんにちは!ワカテカのわしおです。
最近、人事や現場の管理職の方々からよく耳にするのが「Z世代(新人・若手)の主体性が見えない」という嘆き。
-研修で手が挙がらない
-リーダー役を買って出るヒトがいない
-意見や考えを言わず受け身な姿勢が目立つ」
など彼らの姿勢・スタンスに対する違和感や課題意識は顕在化してきているようです。
しかし、本当にそうなんでしょうか?
だってみなさん、採用段階で彼らの「主体性」について見極めていますよね?みなさんもそれに太鼓判を押していたはず。
だとしたら就活生だった頃に存分にアピールしていた「主体性」はどこに消えてしまったんでしょうか…?
今回は研修の現場から見えてきた彼らの本音と、私たち企業・人事側でできる工夫や施策について、データも交えながらお伝えします。
1. なぜZ世代は”受け身”なのか? -生育環境と価値観の変化ー
1-1. デジタルネイティブとしての育成環境
「あれ?この子たち、自分から動かないな…」と思ったことありませんか?実は、Z世代は”デジタルネイティブ”と呼ばれ幼い頃からスマホとネットに囲まれて育った世代。彼らの脳は常に情報過多状態、「足より先に脳が動く」世代とも言えるでしょう。
デロイトの「Z・ミレニアル世代年次調査2023」によると、Z世代の約40%が「自分が納得できない業務には積極的になれない」と回答しています。これって、昔ながらの「言われたことは選り好みせず何でもやる」という主体性の定義とは真逆ですよね。
研修の場でも「なぜそれをやるのか」といった”やる意味・意義”の説明がないと全く動かない姿をよく目にします。でも、納得できれば驚くほど熱心に取り組む…このギャップが私たちを混乱させているんです。
1-2. 社会的不安定性と価値基準の変容
「親の世代と同じように頑張れば報われる」という神話はもう崩壊しています。経済の先行き不透明感、格差拡大…Z世代はそんな不安定な社会で育ってきました。
リクルート 採用担当者インタビュー(2022年)では、「採用時に『主体性』をアピールする学生が多いけど、入社後は自分が意義を感じられるかで動きが変わる」という声が目立ちます。つまり、彼らの「主体性」は「意義」とセットなんですね。
研修で彼らと話すと「ただ会社の歯車よりは、自分の時間を大切にしたい」という本音をよく聞きます。これは「怠けている」のではなく、限られた人生をどう使うかという彼らなりの主体的選択なのかもしれません。
むしろ先行きが不透明で不安定な社会だからこそ「今、ここ」の「自分自身」に一生懸命なんだとも捉えられるでしょう。
1-3. 採用と現場のギャップ
面接では「学生時代の自主的な活動」を熱く語る彼ら。でも入社後、理想と現実のギャップに直面すると急にモチベーションが下がる…。この現象、よく見かけませんか?
企業が採用時に評価する「主体性」と、Z世代が求める「自分にとって意味のある環境」にはズレがあります。先に挙げたデロイト調査のデータにもあるように、彼らは「社会貢献」や「自己成長」といった要素に強く反応します。
研修で「あなたのキャリアと会社のビジョンはどうつながる?」と問いかけると、答えられない若手社員が非常に多い。ここに大きな課題があると感じています。
2. ”主体性”とは言っても… -主体性を押し殺す組織文化やコミュニケーション-
2-1. 硬直したヒエラルキーの影響
私たちは安直に「若手の意見をどんどん言って!」「自分の意思や考えで周囲を巻き込んでいこう!」なんて言ってしまいますが、「上司に意見するなんて考えられない…」そう言うZ世代の若手社員を何人も見てきました。日本企業の伝統的な年功序列やヒエラルキーの強さが、彼らの声を押し殺しているんです。(現に若手向けの研修で上司からのコメントをもらうと「意見や主張よりまずは現業に必要な能力開発と成果を出しましょう」なんて興を削がれる手厳しい声も…)
日本経済新聞(2021年)は「上司との対話不足が若手のチャレンジ精神を削いでいる」と報じています(「若手の意見が届かない現状」)。研修でロールプレイをすると、「忙しい上司にこんなこと言ったら嫌がられそう…」と一歩引く若手たち。でも実はすごく的を射た良いアイデアをたくさん持っているんですよね。
このギャップ、すごーくもったいない!彼らは自由に発言できる環境なら、驚くほど創造的な意見を持っているんです。人材不足や市場変化など様々な問題に直面する組織にとって、そういった多様な視点や意見は大きなヒントになるはずです。
2-2. フィードバックと心理的安全性の不足
「頑張っても誰も見ていない」「失敗したら怒られるだけ」こんな環境で誰が積極的に動けるでしょうか?マッキンゼーの「イノベーションと組織文化レポート2020」によると、心理的安全性の低い環境では若手社員のイノベーション行動が大幅に低下するそうです。
研修後の1on1で「上司から良いフィードバックをもらったことがない」と打ち明ける若手社員は本当に多いです。もちろん彼らも自身からフィードバックをもらう行動をすべきではありますが、「主体性がない」と嘆く前にまずは彼らの小さなチャレンジを認め、安心して失敗できる文化を作ることが先決ではないでしょうか。
2-3. フラットな組織運営の必要性
「上司に言われたからやる(言われないならやらない)」ではなく、「自分たちで考えて動く」文化へのシフト。これがZ世代の主体性を引き出す鍵です。
具体的には、オープンなディスカッションの場、社内コミュニケーションツールでの情報共有、定期的なワークショップなど。リクルートの採用担当者インタビュー(2022年)でも、フラットな組織ほど若手の発言が活発になると報告されています。
研修のグループも慣れてくれば彼らはとても生き生きと動き出し対話も弾みます。この光景を見ると、「彼らには主体性がない」なんて言えませんよね。私たちが作る”場”次第で彼らは輝くのです。
3. 柔軟な働き方とキャリア支援の必要性
3-1. 柔軟な働き方の現状とニーズ
「なぜオフィスに行かなきゃいけないの?」「なぜ9時から17時まで拘束されるの?」Z世代からよく聞かれる質問です。Glassdoorの調査(2021年)によると、Z世代の約73%がリモートワークやフレックス制度を望んでいるそうです。(Glassdoor Research – Gen Z Workplace Preferences 2021)
研修でも「オフィスに縛られない働き方」への憧れをよく聞きます。これは単なるわがままではなく「最も効率的にパフォーマンスを出せる環境で働きたい」という彼らなりの合理的な発想なんです。時間や場所の自由は彼らの主体性を引き出す重要な要素、というより目的のない制限・制約や慣習が彼らを冷めさせる要因なのかもしれません。
誤解無き用にお伝えしておくと「彼らなりの合理性」の危うさも確かにあります。経験もしていないのに「出社はムダ」と頭でっかちになってしまうのは健全ではありません。ただ彼らが「最初はムダだと思っていたけど、意外と出社も悪くないな!」と思えるような認知転換のきっかけを作れているかは私たちが向き合うべきことだと思います。
3-2. キャリア支援プログラムの重要性
「この会社で3年後、どんな自分になれるか想像できますか?」という問いに、多くの若手が首を傾げます。経済産業省の調査「働き方改革とキャリア支援調査2020」では、キャリア開発支援が充実している企業ほど若手社員の定着率が高いというデータがあります。
明確なキャリアパス、メンター制度、外部研修、資格取得支援…こういった「成長の見える化(自分は順調に成長しているんだという実感)」がZ世代には特に重要です。研修の現場でも「自分の将来が見える会社」への憧れを強く感じます。
3-3. 柔軟性と成長機会の融合
「自分のペースで働きながら成長できる」―これが彼らの理想形です。柔軟な働き方と充実したキャリア支援は相互補完的な関係にあります。
マッキンゼーの「未来の働き方レポート2021」によると、この両方を実現している企業は若手社員のモチベーション向上と定着率改善に成功しているとのこと。研修後のフォローアップでも、こうした環境で働く若手は目を輝かせて自分の仕事について語ってくれます。
Z世代の主体性は「消えた」のではなく、「形を変えた」のです。彼らが本気になれる環境、意義を感じられる仕事、成長を実感できるキャリアパス。これらを整えれば、彼らの主体性は驚くほど開花します。ぜひ一緒に取り組んでいきましょう!
