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定番が恋しい  1081

「まさかこんな日が来るとはなぁ…」
そんなことを思いながらシンクでスポンジを握っていた。

台所の食器洗い用のスポンジ。
あまり真剣に見たり考えたりされるものではないし、最近はホームセンターでも100均でもいろんなものが出ているから選びたい放題だと思ってしまうけれど…これが案外難しいと思っている。
かくいうわたしも、ジプシーさながらにさまよった民だった。


ジプシーの始まりは突然で…
「マイクロプラスチックのこと知らないの⁉︎」と驚きと共にいただいた麻の食器洗い用クロス。
「これで洗剤いらず!」と聞いていたものの…油分が取りきれずに終わることがどうにも納得できず、結局「きっちり仕事をしてくれる」という理由で5個入り200円弱みたいなスポンジを使ってきた。

それがいつの間にか5個入りが3個入りに変わり…
お値段も少しずつ上がり始め…
って、そこまではいい。
「ご時世だもの…」で乗り越えられた。
でも、いつからか「あれ?スポンジ…ヘタリが早くない⁉︎」という現象が起こり始める。

ついこの間変えたばかり、フライパンのコゲつきをゴシゴシしたわけでもないのにこのヘタリ具合とは?
と、ここでにわかに「品質」を疑い始める。

値段や個数は「仕方ない」としても、手の中で感じるクタッとしたスポンジに、なんというか…「信じてたのにっ!」というほどの熱量じゃないにしても、使い心地や洗い上がりの変化に思った以上の影響を受けてしまうがっかり感…
静かに「これは無理だな…」と別のスポンジ探しの旅が始まった。


「100均よりホームセンターの方がしっかりしてるでしょ?」なんていうのは短絡的な思い込みで、布巾なんかは100均の方がしっかり使えるようなものが多いことに驚いたし、スポンジもホームセンターからめぼしいものを試し始めたものの…まさかの「水を含んだら(サイズが)大きくなりすぎる」という事態を初めて体験。
「こんなサービスがあるんや…」なんてことを思いつつ、早々に外のバケツ洗いへと部署移動願ったこともあった

そこから「水に濡れたら大きくなる」「大きくなっても使いやすそうなもの…」という今までになかった視点を加え、新たに探し始めるも…今度は「形」が立ちはだかる。
動物や果物の形だったり、細長かったり薄かったり…
それも「これうちに必要?」なんて見ていくと、ほぼほぼ必要ないことがわかり…残るは数少ないスタンダードなものになる。

結局、ヘタリを少しでも長く持たせるために柔らかいスポンジと弱めの研磨ゾーンで分厚いスポンジを挟んだ3層構造の四角いスポンジを選んで帰ったら…これが大当たり!

「え、今までで一番使いやすいね!」なんて盛り上がり、「もうこれが定番でいいねー」なんてホッとしていたら…次に買いに行った時には、それがない…。

「え?買ったのついこの間だったじゃん⁉︎」なんてあわてるも…ないものはない。
でも…なんか見たことあるような、同じ色味のものが申し訳程度にぶら下がっている…
そーっと手を伸ばしてみると…ほぼ同じ作りのスポンジだけど、袋には「4層構造!」と書いてある…。

「いやいやいや…なに1層増やしてんのよ、このご時世に」
なんてことをツッコミみながら他のものを探すも、連れて帰るほどのものは探せず…結局、その1層増えたスポンジを連れ帰ったら…

水を含むと大きくならない代わりに分厚くなってきた…
女性としては大きな手のわたしは大体のものを持つことに苦労した記憶はないのだけど、そんなわたしが握って食器に沿わせながら使うのがしんどいほどの硬さ、というか反発力…

「え…だから3層でいいって言ったじゃん…」
なんて届きもしないグチをつぶやきながら、日常の皿洗いに疲れてモヤるってなんなんだ…とがっかりしていた。


なんで定番を動かすんだろう…
挙句too muchなものが増えてくるって…冗談?
右肩上がりは改良が「改良」の場合でしてもらって、「改悪」ならススっと元に戻す…って、そんな単純なこと許されないのは誰得だからなの?

スポンジに限らず日常の身近なものから家や車、旅行や社会のシステムまで、「あんまりだったら一旦元に戻る」ってこと、もっとすんなりできるようになるといいなぁ…なんて、手の中のスポンジからでっかいことまでつらつら考えた夜だったのでした。





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