理学療法士に、ヘルパーの資格を取ってもらいました
ケアマネジャーさんから、こう言われることがあります。
「この方はリハビリが必要なので、定期巡回は難しいですね」
「訪問看護とリハビリをセットで入れて、そこにヘルパーを足す形にします」
定期巡回(定期巡回・随時対応型訪問介護看護)は、リハビリができないサービスだと思われています。
半分は、そのとおりです。
うちでは、そこに別の手を打ちました。理学療法士に、介護職員初任者研修を取ってもらいました。
リハビリの人が、おむつ交換もします
いまうちの定期巡回には、理学療法士がヘルパーとしても入っています。
朝の訪問で、おむつを替えます。着替えを手伝います。ベッドから車椅子に移します。普通のヘルパーの仕事です。
「専門職にそんなことをさせるのか」と思われるかもしれません。
逆でした。
移乗ひとつが、違います
ベッドから車椅子に移す。この動作だけでも、理学療法士が入ると変わります。
ご本人の残っている力を、どこまで使わせるか
どの向きに、どの高さで座らせるか
手すりの位置、車椅子を置く角度
今日は、昨日よりどれくらいできているか
これを、毎日の生活の場面の中で見ています。
そして、気づいたことをヘルパー全員に共有します。 「この方は右側から支えたほうが立ちやすい」「クッションをこう入れると座り直しが減る」。
専門職が1人現場に入ると、その視点がチーム全体に広がります。
週1回の訪問では、見えないこと
訪問リハビリという形もあります。それが悪いという話ではありません。
ただ、訪問リハビリは週に1回か2回、決められた時間に入ります。その中で、評価をして、訓練をして、環境を調整する。限られた時間で全部やらなければなりません。
一方、定期巡回のヘルパーは毎日、日に何回も訪問します。
そこに理学療法士がいると、
毎回、起き上がりや歩行やトイレの動作を見られます
生活環境を、日をまたいで少しずつ調整できます
その日の体調に合わせて、動かす量を変えられます
評価の質が、変わります。週に1回の45分より、毎日の5分のほうが見えることがあります。
なぜ、理学療法士が来てくれるのか
ここは、正直に書きます。
私の実感として、理学療法士の仕事は、以前より余っているように見えます。
養成校が増えて、有資格者が増えました。一方で、病院のリハビリの枠は増えていません。「思っていたより、働き口が広くない」という声を聞くことがあります。
これは統計を確認したわけではなく、採用をしている中での肌感覚です。断定はできません。
ただ、実際にうちでは、介護職としても働くという条件で、理学療法士から応募が来ています。 すでに3名、内定が出ています。
初任者研修の費用は、会社が負担します。
「専門性を活かせない」と思うかもしれませんが
理学療法士の側から見て、これは損な話でしょうか。
私はそう思いません。
病院のリハビリ室で見る動作と、その人の家で見る動作は、まったく違います。 手すりのない廊下、狭いトイレ、段差のある玄関。本当の生活は、そこにあります。
そして、リハビリの時間だけ良くなっても、生活は変わりません。 毎日の起き上がりや移乗が変わって、初めて変わります。
生活の中に入れる専門職は、実はそんなに多くありません。
できることと、できないことを分けて書きます
ここは、誤解されると制度上まずいところなので、はっきり書きます。
できないこと。医師の指示書がなければ、リハビリテーションとしての提供はできません。
定期巡回で理学療法士がヘルパーとして入っているとき、やっているのは介護です。リハビリという名前の行為を、介護の枠でやっているわけではありません。指示が出ている方には、別途リハビリとして入ります。 その線引きは、はっきりさせています。
できること。介護職として、生活リハビリはできます。
生活リハビリというのは、訓練の時間を別に作ることではありません。毎日やっている介助そのものを、その人の力が戻る方向に組み立て直すことです。
全部やってしまわず、できるところは本人にやってもらう
立ち上がりを、楽な方向ではなく、続けられる方向で支える
座り直しが減るように、クッションの位置を変える
これは特別な行為ではなく、介助のやり方の話です。だから資格の枠を越えません。
そして、ここに専門職の視点が入ると質が変わります。「どこまで本人にやらせて大丈夫か」「今日は無理をさせない日か」。この判断は、動作を評価できる人がいるかどうかで、はっきり差が出ます。
リハビリはできない。生活リハビリはできる。 うちがやっているのは、後者です。
ケアマネジャーさんへ
もし「リハビリが必要だから定期巡回は外そう」と考えているケースがあれば、一度相談してみてください。
うちがそうだという話ではなく、そういう体制を取っている事業所が、地域にあるかもしれないということです。
「定期巡回=リハビリなし」と決めてしまうと、選択肢がひとつ減ります。 毎日の訪問でできることは、思っているより多いです。
同じことをやってみたい事業所へ
1人でいいので、リハビリ職を採ってみてください。
そして、初任者研修を会社負担で取ってもらう。 それだけです。
求人を出すときは、**「理学療法士・作業療法士。介護職としても訪問していただきます」**と正直に書いてください。隠して採ると、後で揉めます。
応募は、来ると思います。 少なくとも、うちには来ました。
その1人が現場に入るだけで、ヘルパー全員の介助が変わります。 教える人が1人いるかどうかの差は、思っているより大きいです。
介護の現場は、記録も請求も労務も、書類に時間を取られすぎています。ここを軽くしないと、本来やるべき仕事の時間が出てきません。
うちで実際にやったことを、失敗も含めて書いています。
千葉県柏市・我孫子市で介護事業をやっています。
https://note.com/wakiaiai_kaigo
※本noteは個人の発信であり、所属法人の公式見解ではありません。

