AI時代の課長と僕 〜デジタル格差を超える、ちょっといい話〜第7話:画像生成AIで遊びすぎる課長
水曜日の朝、課長が興奮した顔で僕のデスクに飛んできた。
「山田君! 大発見だ!」
「また何か見つけたんですか、課長」
「AIが絵も描けるんだって!」
「ああ、画像生成AIですね」
「そうだ! ChatGPT君だけじゃなくて、絵を描くAI君もいるのか!」
課長は子供のように目を輝かせていた。
「昨日、息子に教えてもらったんだ。『DALL-E』とか『Midjourney』とか、色々あるらしいな」
「はい。最近すごく進化してます」
「俺も使ってみたい! 教えてくれ!」
僕は、また何か起こる予感がした。
午前10時、会議室で課長に画像生成AIの使い方を教えることになった。
「まず、どんな絵を描きたいか、文章で説明するんです」
「文章で? ププロントみたいなものか」
「そうです。『こういう絵を描いてください』って指示します」
「なるほど。じゃあ、試しに...」
課長は考え込んだ。
「『富士山と桜』でどうだ」
「いいですね。じゃあ、入力してみましょう」
僕が入力すると、数秒後、美しい富士山と桜の絵が生成された。

「おおおお! すごい! 本当に描いてくれた!」
課長は感動で声を上げた。
「これ、俺でも描けるか?」
「描けますよ。課長の顔を...は無理ですけど、課長のイメージを入力すれば」
「俺のイメージか」
課長は少し考えた。
「じゃあ、『スーツを着た中年のビジネスマン』で頼む」
僕が入力すると、スーツ姿の男性の絵が生成された。

「おお、なんか俺っぽいな!」
「課長、それ全然似てませんよ」
「いや、雰囲気が似てる気がする」
課長は満足そうだった。
「なあ、山田君」
「はい」
「これ、もっとかっこよくできないか?」
「どういうことですか?」
「ヒーローみたいにしてほしいんだ」
僕は嫌な予感がした。
「じゃあ、『スーパーヒーローのコスチュームを着た中年男性、マント付き、力強いポーズ』でどうですか」
「おお、それだ!」
入力すると、マッチョなヒーローが生成された。

「うおおお! かっこいい! これ、俺だ!」
「課長、全然違いますよ」
「いや、心はこうなんだよ、心は」
課長は大興奮だった。
「これ、保存できるか?」
「できますけど...何に使うんですか?」
「Slackのプロフィール画像にする」
「課長、それはやめた方が...」
「いいじゃないか。みんなに見せたい」
僕の制止も聞かず、課長は早速プロフィール画像を変更した。
昼休み、営業部のSlackが騒然となった。
「課長のアイコン、ヒーローになってる!」
「マジだ! 超ウケる!」
「課長、何があったんですか?」
若手社員たちが笑いながら課長のデスクに集まってきた。
「ああ、これか。画像生成AI君が作ってくれたんだ」
「すごいですね! 課長、かっこいいですよ!」
田村君が褒めると、課長は得意げに胸を張った。
「だろ? これが俺の本当の姿なんだよ」
「課長、それ言っちゃダメです」と僕が突っ込んだ。
その日の午後、課長は画像生成AIに夢中になっていた。
「次は、『宇宙飛行士の中年男性、地球を背景に』でどうだ」
「課長、仕事は...」
「これも仕事だ。新しい技術の研究だよ」
課長は真剣な顔で言った。
そして、次々と画像を生成し始めた。
「侍姿の中年男性」

「騎士の甲冑を着た中年男性」

「海賊船の船長の中年男性」

全て、課長の「理想の自分」シリーズだった。
「課長、楽しそうですね」
「ああ、最高だ! AIって素晴らしい!」
課長は少年のような笑顔だった。
翌日の木曜日、課長のSlackプロフィール画像が「宇宙飛行士」に変わっていた。
「課長、また変えたんですか?」
「ああ。昨日は地球を守るヒーローだったけど、今日は宇宙を冒険する飛行士だ」
「毎日変えるんですか?」
「そうだ。日替わりでな」
課長は楽しそうだった。
金曜日は「侍」、月曜日は「騎士」、火曜日は「海賊」と、毎日プロフィール画像が変わった。
営業部のSlackでは、「今日の課長は何?」という話題で持ちきりだった。
水曜日の午後、課長は新しいアイデアを思いついた。
「なあ、山田君」
「はい」
「俺だけじゃなくて、みんなもヒーローにしてあげたいんだ」
「え?」
「せっかくだから、営業部全員をヒーローにしよう」
「課長、それ...」
「いいだろ? みんな喜ぶよ」
課長は勝手に営業部のメンバーをヒーロー化し始めた。
田村君は「炎を操る若きヒーロー」
鈴木さんは「氷の女戦士」
佐藤君は「雷の魔法使い」
「できた! みんなに送るぞ!」
課長は嬉しそうに、一人ひとりにDMで画像を送った。
「田村君、君はこれだ!」
「え、俺、炎使ってる!? かっこいい!」
田村君は大喜びだった。
「鈴木さん、君はこれ!」
「わあ、私、戦士みたい! ありがとうございます、課長!」
鈴木さんも笑顔だった。
みんな、課長のサプライズを楽しんでいた。
「課長、優しいですね」と僕が言うと、課長は照れくさそうに笑った。
「みんなに喜んでもらいたかっただけだよ」
しかし、その日の夕方、問題が起きた。
総務部の佐藤課長が営業部にやってきた。
「田中さん、ちょっといいかな」
「どうしました?」
「君、業務時間中に画像生成AIで遊んでるって聞いたんだけど」
「え、いや、これは...」
「今月の営業部のパソコン使用履歴見たら、画像生成サイトへのアクセスが異常に多いんだよ」
佐藤課長は困った顔をしていた。
「悪いけど、業務に関係ないことは控えてくれないか」
「申し訳ありません」
課長は素直に謝った。
佐藤課長が去った後、課長は落ち込んでいた。
「山田君、俺、調子に乗りすぎたな」
「課長...」
「楽しくて、つい夢中になっちゃって」
「でも、みんな喜んでましたよ」
「そうだな。でも、仕事中にやっちゃダメだよな」
課長は反省していた。
「これからは、家でやることにするよ」
「はい。それがいいと思います」
僕は優しくフォローした。
その夜、課長は家で画像生成AIを使っていた。
翌日の朝、課長は嬉しそうに僕に見せてくれた。
「山田君、見てくれ。これ、昨日の夜作ったんだ」
画面には、可愛らしい絵本のような絵が並んでいた。
「これ、何ですか?」
「孫のために、絵本を作ろうと思ってさ」
「絵本!」
「ああ。『勇気を出して冒険する男の子』の物語だ」
課長は照れくさそうに笑った。
「孫がな、来週誕生日なんだ。何かプレゼントしたくて」
課長が作った絵本の絵は、とても温かかった。
「小さな男の子が、怖い森を冒険する話なんだ」
「素敵ですね」
「でもな、文章が書けなくてさ。絵だけなんだ」
「じゃあ、ChatGPT君に手伝ってもらいましょう」
「おお、そうだな!」
僕たちは一緒に、絵本の文章を作った。
「『むかしむかし、小さな男の子がいました。男の子は勇気を出して、暗い森に入りました』」
課長は一文一文、丁寧に確認しながら文章を作っていった。
金曜日の夜、課長は完成した絵本を印刷して、手作りの本に綴じた。
「できた! これなら孫も喜ぶだろう」
課長は満足そうに絵本を眺めた。
「AI君のおかげだ。ありがとう」
課長は画面に向かって言った。
「山田君もありがとう。君がいなかったら、完成しなかった」
「いえ、課長の想いが素敵な絵本にしたんですよ」
「そうか...」
課長は嬉しそうに笑った。
翌週の月曜日、課長は孫に絵本をプレゼントした。
「山田君! 孫がすごく喜んでくれた!」
課長は嬉しそうに報告してくれた。
「『おじいちゃんが作ったの?』って、目をキラキラさせて聞いてくるんだ」
「良かったですね、課長」
「ああ。AI君のおかげだよ」
課長は感動していた。
「画像生成AIって、最初は遊びだと思ってたけど、ちゃんと使えば素晴らしいものが作れるんだな」
「はい。使い方次第です」
「俺、学んだよ」
課長は真剣な顔で言った。
その日の午後、課長は営業部のみんなを集めた。
「みんな、先週は調子に乗って悪かった」
「課長、気にしてないですよ」と田村君が言った。
「いや、反省してるんだ。業務時間中に遊んじゃダメだよな」
課長は素直に謝った。
「でもな、画像生成AIは素晴らしい技術だ。ちゃんと使えば、仕事にも役立つ」
「どんな風にですか?」
「例えば、プレゼン資料の挿絵とか、商品イメージの作成とか」
「なるほど!」
「だから、これからはみんなで業務に活かす方法を考えよう」
若手社員たちは真剣に頷いた。
翌週、営業部では「画像生成AI活用プロジェクト」が始まった。
課長の発案で、プレゼン資料に使えるオリジナル画像を作ることになった。
「いいか、みんな。遊びじゃなくて、仕事に使うんだぞ」
「はい!」
若手たちは真剣に取り組んだ。
そして、1週間後、素晴らしいプレゼン資料が完成した。
オリジナルの画像が入った、他社にはない独自性のある資料だった。
「課長、これ、お客様に好評でした!」
田村君が嬉しそうに報告した。
「そうか。良かったな」
課長は満足そうに頷いた。
金曜日の夜、居酒屋で課長と二人で飲んでいた。
「なあ、山田君」
「はい」
「俺、最初は画像生成AIで遊びすぎちゃったよな」
「そうですね」と僕は笑った。
「でも、孫の絵本を作って気づいたんだ」
「何をですか?」
「AIは道具だって。使い方次第で、遊びにもなるし、仕事にもなるし、大切な人を喜ばせることもできる」
課長はグラスを傾けた。
「大事なのは、何のために使うかってことだな」
「課長、かっこいいこと言いますね」
「へへ、そうか」
課長は照れくさそうに笑った。
「でもな、山田君」
「はい」
「たまには遊んでもいいと思うんだ」
「え?」
「楽しむことも大事だろ。そこから新しいアイデアが生まれることもある」
「そうですね」
「だから、俺はこれからも、家で画像生成AIで遊ぶよ」
課長は楽しそうに笑った。
「次は、妻をお姫様にしようと思ってるんだ」
「課長、それ怒られませんか?」
「大丈夫だろ。喜ぶと思うぞ」
僕は、課長の楽観的な性格に笑った。
翌週の月曜日、課長のSlackプロフィール画像が元に戻っていた。
普通のスーツ姿の課長の写真だった。
「課長、アイコン戻したんですね」
「ああ。遊びすぎたからな」
「でも、楽しかったですよね」
「ああ、すごく楽しかった」
課長は嬉しそうに笑った。
「でもな、一番大事なのは、本当の自分で仕事することだって気づいたんだ」
「課長...」
「ヒーローや宇宙飛行士は格好良い。でも、俺は俺だ。地に足つけて、真面目に働く。それでいいんだよな」
「はい。それが課長らしいです」
その日の午後、総務の佐藤課長がやってきた。
「田中さん、先週は厳しいこと言って悪かったね」
「いえ、こちらこそ申し訳ありませんでした」
「でも、営業部の新しいプレゼン資料、すごいね。画像生成AI活用してるんだって?」
「はい。遊びから学んだんです」
「素晴らしい。うちの部署でも取り入れたいな」
「いつでも教えますよ」
課長は嬉しそうに答えた。
【エピローグ】
数週間後、課長の孫が描いた絵が、課長のデスクに飾られた。
「おじいちゃん、ありがとう」と書かれていた。
「山田君、見てくれ。孫が描いてくれたんだ」
「可愛いですね」
「ああ。この絵を見ると、AI君に感謝だよ」
課長は幸せそうに笑った。
「技術は人を幸せにするためにあるんだな」
「そうですね」
「俺、これからも色々挑戦するよ。失敗しても、君がいるから大丈夫だ」
「はい。一緒に頑張りましょう」
僕たちは笑い合った。
課長の冒険は、まだまだ続く。
【次回予告】
「AI君の提案、なんか冷たくないか?」
「若手に負けるわけにはいかん!」
「課長の30年の経験、見せてやる!」
「AI vs 課長、勝つのはどっち!?」
第8話「AI vs 課長の経験値対決」、お楽しみに。
執筆者より
新しい技術に出会った時、あなたはどう向き合いますか?
田中課長は、画像生成AIで遊びまくりました。
業務時間中に夢中になって、注意されました。
でも、その「遊び」から、大切なことを学んだんです。
AIは道具。使い方次第で、仕事にも、人を喜ばせることにも使える。
最初は失敗してもいい。楽しむことから始めればいい。
そこから、本当の活用法が見えてくる。
田中課長の姿は、私たちに教えてくれます。
新しい技術を恐れず、まず触れてみる。遊んでみる。そこから学ぶ。
それが、成長の第一歩なんだと。
次回は、いよいよAI対課長の対決!課長の30年の経験が、AIに勝てるのか!?お楽しみに!
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