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まず始めたこと②(有機農業について)

畑探しをしながら、有機農業について勉強することにしました。
農業未経験者の僕は、有機農業とはなんとなく言葉では知ってましたが、実際それがどのような農法なのか、実践していくにあたりどうすればいいのかが皆目見当すらつきません。
なので、まずは有機農業を知ることから始めました。

1.有機って何?

言葉としては理解できるけど、農業の世界で有機とは何?
ネットで調べてすぐでてきました。
簡単に言うと、①化学合成肥料や農薬を使わず②遺伝子組み換えでない③自然に負荷をかけずその力を活かして生産する農法 です。

わかるような、わかんないような…。
①は使わなければいいのでわかります。
②も同じ。
③が漠然としていてわかりにくい。

自然の力を活かすのは、慣行農法(化成肥料や農薬を使用する現代農業)も同じなのでは?
お日様の光や雨が必要なのは一緒じゃないのかな。

最初はこんな疑問でした。
今思うと、知らなさすぎて調べることの論点すらズレてたように思います。
とにかく、ネットで調べたり本を買って読みまくりました。
で、大筋ですが自然界の摂理を理解できていないとそもそも色々な用語などがわからないし、書いてある内容がきちんと理解できないことがわかりました。

例えば、だいたいの作物は土壌酸度がPH6.5〜7.0が良い、みたいなことがあると思いますが、①なんでこの数値が良いのか②ズレてた場合どうすればいいのか など、わからないことにわからないことが上乗せされて益々わからないという感じになりました。

なので、有機農業のことを理解するために、まずは自然界の摂理を勉強しました。

2.自然界の摂理

一言で言うのは難しいですが、あえて言うなら学生時代の理科で勉強したことが中心でした。

光合成、食物連鎖を基本として、生体反応や物質循環など、深掘りするにつれ高校、大学で学ぶようなことに行き着きました。

一方で土、土壌に関する勉強や分解者、微生物に関する勉強も並行していき、少しずつ理解できるようになりました。
土って言うけど、農業をするまでそれ程意識したことはなかった。自分の足元にある踏みしめている物質くらいの認識でした。
とんでもないです。無知も甚だしい。
人間には決して作り出すことのできない、微生物が作り出す物質ということを改めて知りました。

ここで疑問が湧きました。
土に栄養分があるから植物は育つ。その栄養分は微生物が有機物を分解することで作り出しているけど、農薬撒いたら微生物は死滅して分解されないのでは?

なので、慣行農法のことも勉強しました。

3.化成肥料って何?

それまでの知識では、化学的に作られた肥料という認識でした。間違いではないですが、根本的な所の理解が不足してました。

化成肥料とは無機肥料ということ。

つまり、微生物が有機物を分解して無機化されたものを植物が利用するのが自然界ですが、化成肥料は最初から無機化された栄養分が入ってるので、微生物に分解してもらう必要がない。

科学が進歩して、そんなことが100年以上前からできるようになってたということを知りました。

植物が育つための栄養分(無機化肥料)を直接あげることができる慣行農法なので微生物は必要なし。さらに、植物の成長を邪魔する害虫などは農薬で忌避なり駆除して植物を守ればいい。
土が無機化した肥料を入れる容れ物のような扱われ方なのだと理解しました。
だから、お金かけて肥料入れたのに雑草が生えてその養分を横取りされたら困るのか。

でも、有機農業ではどうやって施肥管理すればいいのだろう。
例えば、リン酸が少なかったとして、米糠を入れた元肥となる堆肥やボカシ肥料など、調べれば沢山出てきます。
土壌検査でどのくらい足りないかもわかってるので、施肥設計して必要量も計算はできます。
ただ、その必要な量を元肥やボカシであげたとして、それがどこまで効くのかは、その年の天候や雑草や害虫など他の要因によって左右されるから、確実にこうなるとは言い難い。

この考え方が僕をずっと苦しめてました。

4.本当の意味で理解してなかった

有機農業のことを知識として勉強したつもりでいましたが、あくまで知識であって、実践できる農法には到底なってませんでした。

例えばこうです。
土壌検査した結果、マグネシウムが足りない。
マグネシウムを補う必要がある→自然界でマグネシウムは何があるかな→ニガリや草木灰→計算して必要量を施肥しよう
こんな考え方でした。

間違いではないですが、考え方が慣行農法です。
何が足りないから入れなきゃというのが、間違ってはないけどズレてるということです。

誰の手も入ってない山の中にある梅の木。
完全に自然の梅です。
一度も誰も何もしたことがないのに、毎年実が生ります。
梅でなくても栗でも銀杏でもなんでもいい。
自然では誰も何もしなくても育つ。

それは簡単に言えば育つ仕組みがあるから育つわけですが、じゃあ育つ仕組みって何?

育つ仕組みとは自然の摂理、植物が光合成する、微生物が土の中で有機物を分解する、などの循環がバランスよく行われているということだと理解しました。

そして、それには人の手は基本的にいらないということ。

全く必要ないわけではないけど、自然の原理原則が基本的に植物を育てるので、僕なんかが色々画策することは余計なことだと理解できるようになりました。

つまり、先の例でいくと、マグネシウムが足りなくなってたとして、例えばオリーブの葉や草刈りした雑草が朽ちて土に還る時に、それは草木灰と同様なので補給される、というようなことです。
ただし、落ち葉と草木灰では、そのマグネシウム量は絶対的に異なります。もし圧倒的に足りなければ落ち葉が還ることを待っていても何年も悪い状態は続くのだろうと思います。

整理します。
有機農業とは、自然界の原理原則を活かす農法だけど、時に人が手を加えることで安定した収量や永続的な圃場環境を維持できる農法だと理解しています。

手を加えると言っても、オリーブそのものに何かすることはほぼありません。
込みすぎた枝を剪定したり、伸び過ぎた雑草を刈ったり、木に悪さをする害虫を捕獲したり、圃場に投げ込まれたゴミを拾ったり…オリーブが育つ環境を整える。

込みすぎた枝を剪定する理由は→木に光を満遍なく当ててやることで光合成効率をあげたいから
伸び過ぎた雑草を刈る理由は→木の株元を覆ってしまう程雑草が伸びると害虫の住処となったり、幼木の場合には土壌の水分などが雑草に行き過ぎるから
害虫を捕獲する理由は→実が食われたり最悪木が枯れてしまうから
ゴミを拾う理由は→人として当然

オリーブが育つ環境を整えるとは、日の光、水、風、土、虫や微生物たちを整えるということ。

でも、こう思えるようになったのは実は最近です。最初の3年間くらいはずっと、どうやって養分を補えばよいかと思ってました。

5.有機農業の面白さ

先に書いた通り、とどのつまりよくわからないのが面白い。

もし、慣行でオリーブ栽培をしたら、施肥設計して必要量の化成肥料を入れ、害虫が出ないように農薬を撒き、除草剤で草を根絶やしにして育てる。
慣行農法を悪く言ってるわけではありません、それが最も効率が良いからです。

有機では、大前提として土壌生物や微生物がいないと成り立たないので、農薬や除草剤は絶対に撒きません。
分解者がいる土壌にして、そこへ堆肥などの有機物を入れ、分解してもらって無機化された養分でオリーブが育つ。
害虫も来るが、農薬は使わないので、人の手で捕獲なりして駆除する。

安定的に確実に栽培するなら慣行農法です。
一旦ゼロベースにしたところに必要量を入れて育てるやり方なので、マニュアル通りに生育すると思います。

反面、有機は不確実要素が多い。
大雨や日照り、高過ぎる気温、湿度、台風などの自然要素に左右されるからです。
夏場に雨が降らず、土壌水分がなくなり、雑草すら枯れだしたら土が裸になり、紫外線が土に当たれば微生物は死滅してしまう。
そうなるといくら有機物が入っていても分解されないからオリーブは育たない。
台風が来て木が倒れ根が切れてしまったら、養分があっても吸収できなくなってしまう。

でも逆に言えば、計算通りにならないから面白い。
一生懸命計算した通りにならなくても、図らずもオリーブは育っていく。
時にダメージを受けたとしても、自然界がリカバリーしてくれる。
そう持っていくことが有機農業であり、その面白さであると思います。


6.最後に

ここまで書いてみて改めて思いますが、2021年当初はリン酸だの土壌酸度だの草木灰など全然わかってませんでした。

そういう一つ一つを丁寧に勉強して、畑で実践してみて確認していった、というのが正直なところです。

あの頃は夜寝る前に毎日3時間は勉強してました。
もちろん今でも勉強することは沢山あります。
あれから5年が経とうとする今、有機で最も大切だと思うことは、畑での観察です。

自分で勉強したことを実践してみて、それがどうなるか観察する。仮説を立て、検証する。
その繰り返しが自分の経験となり、それが自分の農法になっていくのだろうと思います。

格好いい言い方かもしれませんが、わからないことはオリーブに聞くことです。
ただし、オリーブが教えてくれることを理解できるだけの自分になってる必要もあります。

これからもまだまだ、オリーブに教わり学んでいける自分となれるよう精進していきたいと思います。



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