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「リベラルな共同体主義」が陥りがちな自己矛盾について

さて、今日は改めて「共同体」を最終解答にしないと気が済まない人たちについて考えたい。と言うのも、『庭の話』を出版してから1年以上、「共同体」と言う「なんとなくいいもの」感の漂うマジックワードで思考停止することの危険性や共同体そのものの持つ害悪の部分を指摘をする僕が絶対に許せない人たちが多いらしく、クソミソに罵倒され続けているからだ。

僕の主張はシンプルだ。人間は共同体を否応なく作ってしまう生き物である。だから、僕は共同体の存在そのものは絶対に否定しない。

しかし、共同体とは中心と周辺があり、カーストの上位と下位がある。周辺や下位に配置された人は(悪気がなくとも)構造的に搾取の対象になる。ときには、共同体がその結束を維持するために内部に生贄や外部に敵を必要とする。内部の階級が緩やかなフラットな共同体であればあるほど、外部の敵は必要とされる。この共同体の副作用から目をそらすことは絶対に許されない。

したがって共同体の外部に、その人がどの共同体のメンバーシップを持つか、どの家族の一員かとの団体の所属かを問わない、個人を単位とした「社会」が絶対的に必要になる。

バカな人は「共同体から自立できるのは強い人だけ」とか言う。しかしこのタイプの人たちは基本的なことが全くわかってない。広く世界を見回してみれば良い。共同体の中心や、その上位にいる人間こそが強者だ。むしろ共同体の中で良い位置に就くことができない弱者のためにこそ、共同体のメンバーシップを問わず尊重される「社会」が必要なのだ。

表面的なハードフルなイメージで、頭がいっぱいになり、具体的なことを全く考えることができない人は、共同体が強者が得するシステムであることをを理解できない。

醤油が切れたら醤油を隣人から借りるしかない世界は、共同体の中でそこそこの位置に行ける人間しか生きていけない「地獄」だ。コンビニに100円を持っていけば100円の醤油が買えて、その100円が再分配で保障される社会こそが、本当に弱者に優しい世界なのだ。

しかし僕のこの議論について、恐るべきことに「みんなと仲良くしたい人もいるんだから」みたいなことを反論し述べる人が結構いる。

少し考えるとわかりそうなものだが、全く反論になっていない。

別に僕は少しもそのことを否定していない。仲良くしたい人はすればいいし、共同体を作りたい人は作れば良いと思う。しかしそれは暴力と不公平と搾取を必然的に生むので、共同体の外部にメンバーシップを問わず個人を尊重する「社会」が必要だと言っているに過ぎない。

この僕の主張に対して「共同体が必要な人もいる」というのは何の反論にもなっていない。 

共同体の副作用が、それで消えてなるとでも思ってるんだろうか?

そして共同体のマジョリティの人たちがそれを必要とすると言う理由で、虐げられる人たちは我慢しなければいけないだろうか?

だから僕は社会を共同体中心に巻き戻すことに絶対的に反対だ。どう考えても、共同体の外部に個人としての人間をケアする「社会」が必要なのだ。

しかし、この僕の口をどうしても塞ぎたい人がいるのだ。彼等彼女らは顔を真っ赤にして反論になっていないような反論を、とりあえず口にしないと気が済まないのだ。

まあ、それは端的に言えば自分がハートフルなイメージに思考停止してちゃんとものを考えてられていないことを認めたくない(自分で思ってるほど自分の頭が良くないことを認めたくない)のか、こちらが致命的なのだろうが、自分が共同体のカーストの悪くないポジションに収まってぬくぬくと下位のメンバーや悪役として消費される周辺の人たちを搾取していることを認めたくないのだと思う。

たしかに、お金を持っていたり、権威を持っていたり、コミュ強だったり、ボスの機嫌を取るのがうまかったりする人にとって共同体は天国だし、最終回答にしたくて仕方がないだろう。しかしそれは単純に強者のロジックだ。

そして、もっとはっきりと言ってしまったほうがいいだろう。共同体を最終解答にしたい人には二通りのパターンがある。

一つは今指摘したように頭が追いつかなくてハートフルなイメージに流され、ある程度以上複雑なことは考えられないパターンだ。こちらについてはしっかり勉強してもらえれば良いと思う。問題はもう一つのパターンで、要するに共同体を最終解答にすることが、自分のブランディングやビジネスに直結している人たちだ。

たとえば自治体から補助金をもらって街おこしのイベントを企画して、そこで生まれた意識の高い市民たちの共同体を持続させることで補助金を貰い遂げているような人たちだ。あるいは前述の共同体のハートフルなイメージをメディアで語ってなんとなく良い話をした感を出して、自分をブランディングしてる政治家や言論人や大学教授や社会起業家たちだ。このタイプの人たちは僕ははっきりと悪質だと考えている。

読者のみなさんは今後こういった共同体バンザイな言説を弄ぶ人を目にしたときには、以下の内容をチェックしてもらうといいと思う。

1.共同体の下位のメンバーを経済的、心理的、社会的に搾取してないか
2.共同体の維持のために、外部の敵に対しての攻撃を煽っていないか
3.共同体の上位にあり付きやすい経済力や権威、人種的、性別的なマジョリティー性を保持してる人間ではないか
4.共同体の副作用を指摘する批判から目をそらすために、相手が言ってないようなことを捏造していないか

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僕はもはやFacebookやTwitterは意見を表明する場所としては相応しくないと考えています。日々考えていることを、半分だけ閉じたこうした場所で発信していけたらと思っています。

宇野常寛がこっそりはじめたひとりマガジン。社会時評と文化批評、あと個人的に日々のことを綴ったエッセイを書いていきます。いま書いている本の草…

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