愛の挨拶、どちらがお好き?
エドワード・エルガー作曲の「愛の挨拶 Salut d'amour」。
エルガーが婚約者アリスのために作曲したことで知られています。
美しく優しく響く旋律。
誰でも一度くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
音大を卒業してから、この曲を小さいコンサートやレストランで弾くようになりました。
すっかり演奏にも慣れ、いつでもどこでも弾けるようになったものの、いつもある違和感があったんです。
あれ、これでいいのかな?
たまに他の人の演奏会に行き、愛の挨拶を聴くと、どうも私の演奏と違うのです。
え、なんか違う楽譜弾いてるな。
ほとんど同じではあるけれど、特に中間部分が違う。
私の演奏ではメロディーが続くのに、その人の演奏はハーモニクスが出てきたり、なんか少しドラマチックだぞ。
私の弾いている楽譜がオリジナルなのか、その人の楽譜がオリジナルなのか。
確かめることもなく、そのうち育児でバイオリンを弾かなくなり、20年たちました。
そしてこの度、もう一度この「愛の挨拶」をレパートリーに入れるということで、やっと長年のモヤモヤが解消しました。
エルガーのオリジナルはEmajor。1889年Schott社から出版されています。

その10年後、同じSchott社から今度はDmajorの編曲版が出ていました。

私が弾いていたのはDmajorなので、これはオリジナルではなかったんですね。
他の人はどっちを弾いてるんだろう?
Youtubeを見る限り、どちらも弾かれていますが、割合としてはオリジナルのEmajorで弾いている人が多い印象です。
でも、巨匠パールマンやメニューインは私と同じDmajor版を弾いている。
これです↓
パールマンの演奏はDmajor。
流れるように優しく穏やかな演奏。
心地良い、いい意味で空気のような安心感です。
対してオリジナルのEmajor。
対してって、オリジナルなんだからこちらが先なんですが、
自分で弾いてみて思ったのは、こちらの方が何やらねっとりしているんです。
エルガーがこれから結婚するアリスに向けて、
幸せになろうね♡
二人のために世界はあるのー
的なうっとりした気持ちが伝わってくる。
甘い甘い、愛の歌なのです。
これ↓
サラ・チャンの演奏はEmajor。
そして、パッと華やかで明るい希望も感じました。
なぜこれが編曲されたのかはわかりませんが、少なくとも技術的には編曲後のほうが簡単にはなっています。当時も人気の曲だったそうなので、より多くの人に弾きやすく編曲されたのかもしれませんね。
どちらをレパートリーに入れようか。
どちらかにしないと私のことだから途中で混乱してしまうかもしれません。
うーん、どちらも甲乙つけがたい。
聴いている人は比べたりしないから、どちらでもいいといえばいい。
ねっとりか、安心感か。
どちらも愛には違いないが、悩むところです。
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