#15 今日もこの店、あけときます。
〜窓からのぞく、男の子〜
今日もいい天気♪
東向きの窓から、
午前の暑い日差しが差し込む。
夏も本番。
今年もたくさんの人たちが、
思い思いの夏を楽しむ。
僕は……
これといって……
いやいや。
店を開けておくんだ。
誰かのために……きっと。
ん?
さっきから窓の外に、
人影が見える。
なんだろう?
立ち上がろうとした時だった。
ジィーーーー……

男の子が、
窓から店の中を覗いている。
目が合った。
男の子は慌ててしゃがみ込み、
窓の下へ隠れた。
「……?」
しばらくすると、
また……
ジィーーーーーーー……
今度は、
さっきより少しだけ
長く覗いている。
目が合う。
サッ。
また隠れた。
思わず笑ってしまう。
「入りたいのかな。」
「でも……
入りたくないのかな。」
数分後。
カラン♪
小さくベルが鳴った。
男の子だ。
「いらっしゃい。」
男の子は、
少し緊張した顔で店に入ってきた。
店の中を見回して、
僕を見て、
また店の中を見回す……
何か言いたそうだけど、
なかなか言葉が出てこない。
すると突然、
「あっ!」
何かを思い出したように、
ポケットをごそごそ。
そして、
コトッ。
カウンターの上に
何かを置いた。
「これ、お願いします!」
それだけ言うと、
タタタタタッ……

男の子は、
あっという間に走って帰っていった。
「え?」
僕はカウンターを見る。
そこに置かれていたのは、
────自転車の鍵だった。
か、鍵??
「いやいやいや。」
思わず笑ってしまう。
「ここ、
交番じゃないんだけどなぁ。」
ま。
ここが何屋さんなんだか、
"お兄さん"も
確かに答えられないんだけど……ね。笑
そう思いながら。
……開けっぱなしの入り口のドアを
やさしく閉めた。
コロン♪
続く
✅奥の扉、その先の景色……
