【エッセイ✖️連作短編】無人島に、なにかひとつ持っていくとしたら 第3話
〜オールの使い道〜
朝起きると、帽子がいなかった。
声をかけると、
丘の上から返事がした。
「こっちーー!!」
行ってみると、
帽子がオールに乗って、
草の斜面を滑り降りていた。
「……何してるの」
「ソリだよ、ソリ!!」
「オールで?」
「笑いが止まんないって!やってみて!!」
僕もやってみた。
アハッハッハ、ヒーハッハ!
カンフージャーーーンプッ!!
ブワッハッハーーー、ヒーくるし〜♪
ふぅ。。笑いすぎて疲れた……
何度か往復していると、
帽子が急に止まった。
草をかき分けて、何かを拾い上げる。
「……これ」

古びた、小さな缶だった。
錆びてはいるが、何かが入っている。
「誰かいたのかな」
「……うん」
缶の中には、
小さな布に包まれた何かがあった。
開いてみると、
見たことのない宝石のようなものが、
ひとつ。
青く透明で、ツルツルしている。
でも何の石かはわからない。
包んでいた布を広げると、
そこには地図のようなものが描いてあった。
「……地図?」
「みたいだね」
どこの地図なのか。
この島なのか、別の場所なのか。
それすらもわからなかった。
……っていうか、
食べ物じゃなくて
2人はすんごく残念がっていた。。。
帽子はカメラを宝石に向けて、
こう言った。
「行ってみる?」
「うーん……まぁ、いつかね〜笑」
僕はそれを、ポケットにしまった。
「そんなことより!」
僕はオールを持ち上げた。
「もう一回滑ろうっ!!」
「うん」
2人はまた丘を登り始めた。
宝石と地図のことは、
しばらく忘れていた。
ーーーそういうことで、いいと思った。

ーーーこの無人島が
"幻の宝物の眠る最後の秘境"だなんてこと、
今の2人はこれっぽっちも知らない…
そりゃそう。
だって今は、ソリ楽しんでんだから❗️
つづく
✅第4話 おじいさん、登場……?
