【読んでみましたアジア本】奪われた24年間を自分の時間軸と照らし合わせて読んでみてほしい/蓮池薫『日本人拉致』(岩波新書)

1人の人間にとって24年間という日々はどんな意味を持つのか。

本書の著書、蓮池薫さんは筆者よりも年長だが、彼が過ごしてきた時代は筆者ともかぶるところが多い。だから、読みながら自分の辿ってきた年輪を思い出しながら、本書を読んだ。

1978年にまだ大学在学中だった蓮池さんが、恋人でその後妻となる奥土祐木子さんとともに北朝鮮に拉致され、政治の流れの変化からやっと日本の地を再び踏むまでの2002年までの24年間。本書には、いったい北朝鮮はわざわざ拉致してきた外国人をいかに利用しようとしていたのか、が蓮池さんの視点から分析されてまとめられている。

全体を読んでみると、恨みがましい言葉はほぼない。あくまで淡々と、淡々と、蓮池さん自身の北朝鮮での体験とそれをもとにした自身が置かれた状況の分析、さらに夫人の祐木子さんや別の拉致被害者との関係が述べられている。

振り返ってみると、今年で帰国してからすでに23年になる。拉致されていた期間とほぼ同じ期間を帰国後の日本で過ごしてきたのだから、今さら恨みつらみを書いても仕方がないのかもしれない。もしかしたら、これまで出版された著書に、そういう主観的な思いは書かれているのかもしれない。

筆者にとってこれが初めての蓮池さんの本であり、また拉致問題に関する一冊であり、さらに初めて読む北朝鮮本である。


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