見出し画像

EP09 ✟ NO HeavenNO Sanctuary Water born【生る(なる)】ノーヘブン|ノーサンクチュアリ ✟ウォーターボーン:First Contact 初撃四人の役割が揃った瞬間、“門”は、揺れた。そして、羅刹

https://www.instagram.com/p/DRweopqie-m/?img_index=1&igsh=ZG13eW44OGc5Y3lj


First Contact 初撃四人の役割が揃った瞬間、“門”は、揺れた。そして

EX-03。EX-06。EX-04。
敵側の三体のユニットが、一定の間隔を保ったまま海面に並んだ。
それぞれが別の周期で胸部コアを明滅させ、
水圧と流れを、違う“噛み方”で乱している。

ツユリ機《KUSANAGI-R/R-03》が泡幕を広げ、
前面に白いカーテンを張る
その内側で、シラハ機《KUSANAGI-R/R-04》が観測軸を固定し、波形の違和感と圧の偏りを一つずつ拾っていく。

カナネ機《KUSANAGI-R/R-02》の安定核が淡く脈動し、こちらの四機の同期線を静かに整える。
オトワ機《KUSANAGI-R/R-01》は、深緑の影として一歩前に出ていた。

「EX-03、コアに損傷。
 ……でも、まだ動けているようだ」

オトワが応えた。

水飛沫の向こうで、EX-03の胸部装甲に走った亀裂が、海水を吸い込みながらじわりと形を変えていた。

一問《EX-03(敵機)、自己補完中。
 外部からのPULSEが、構造を“押し戻しています》

シラハ「応急の再構成……完全には治っていない。
 でも、このまま放置はできない」

モンジュ(副回線)
「時間をかければかけるほど、“上”からの命令が強くなる。
 短期決戦で削るしかないってことか」

カグラの声が、主回線に乗る。

「方法は任せる。
 ただし──必ず“戻って”こい」

オトワは、その一言に短くうなずいた。

「了解。
 先ずは前線を取る」




|第一波

しかし、先に動いたのはEX-06(敵機)だった。
側面から海をえぐるように滑り出し、
両肩ユニットから緑がかった水圧の刃を展開する。



ツユリ「サイドから、来る……!」

ツユリ機が泡幕を偏らせ、EX-06の刃を受け止める。
水そのものを厚くするように、圧を前面に集める。


刃が泡を裂き、水音が鋭く弾けたが、
しかし、ツユリ機の装甲までは届かなかった。

一問《VENT、効果あり。
 圧力値、三割低下》

「痛いってば……!」
ツユリがこぼしつつも、ラインだけは譲らなかった。

その背後で、EX-04(敵機)が静かに身を沈めた。海面近くを滑るように移動しながら、別方向からの侵入角を探っている。

シラハ「EX-04、側面から回り込み。
 二体で一体を挟む動き。」

カナネ「四機まとめて、崩される……?」

「崩させはしない」
オトワの声は、静かだった。


|四機、揃う



オトワ機が前進する。
EX-03(敵機)が、それに応じるように胸の橙光を強めた。

EX-03は、水位と弁を乱しながら、
この湾そのものを“門”に変えようとしている。

シラハ「EX-03、湾口の圧を持ち上げています。
 このままだと、水路そのものが“開く”」

モンジュ「それってつまり、
 “ここ”がGateになるってことだよな……」

カグラ「そうさせてはいけない。ここは都市の心臓だ」

四機のKUSANAGI-Rが、一列に揃う。
それぞれのコアが、別の色で、同じ周期を刻み始めていた。

ツユリ「外周は私が持つ。
 EX-06と04は、こっちで引きつけるよ」

シラハ「流れの“軸”はこちらで取る。
 乱される前に、向きを決める」

カナネ「私に流して。やられそうになったら、支えるから」


モンジュ(副回線)
「……いい。数字より先に、“響き”がそろってきてる」

オトワ「……道を作ってくれ。
 刺すのは、俺がやる」

一問《四体の器、役割認証──完了》

カグラは、短く息を吐いた。

「それでいい」


|殴り合い


EX-03のブレードが振り下ろされる。
海ごと叩きつけるような一撃だった。

オトワ機が正面から受ける。
金属が軋み、関節に重い負荷が走る。
水しぶきが二機の間で爆発し、視界が白で埋まる。


カナネ「負荷、急上昇! R-01のフレームに偏ってる!」

「まだいける」

オトワは圧を押し返しながら、
ブレードの角度をほんのわずかだけずらした。
EX-03の軌道が滑り、重心が一瞬前に流れる。

そこへ、ツユリ機が横合いから挑発するように突っ込んだ。

「こっちだよ!バーカ」


肩部ユニットから発生させた圧縮泡を、
EX-03の側頭部に叩きつける。
衝撃で巨体がわずかに傾き、海面に不規則な波紋が走る。

一問《外装損傷、局所的。
 しかし、姿勢制御に乱れ》

シラハ「今の揺れ、固定します」


シラハ機がFLIPを起動する。
EX-03の足元の水流が、
“足場”のような形で一瞬固まる。
巨体の逃げ道が、ひとつ奪われた。

カナネ「こっちで引き受ける……!」


安定核が光を増し、
四機にかかっていた微細な振動がカナネ機に集まる。
膝が一瞬、きしむ音を立てたが、倒れはしなかった。

モンジュ「今、四機の動きが“ひとつ”になった……オトワ、行けるぞ!」

オトワは答えず、一呼吸だけ置いた。

青いリングが強く明滅する。

「──刺す」

KUSANAGI-Rが海面を蹴った。
水飛沫をほとんど立てない加速。
EX-03の懐に潜り込み、
ブレードを胸部コアへ突き立てる。


鈍い手応えがする。
重く、深いものを貫いた感覚だ。

EX-03の橙光が、大きく乱れた。


|崩れ、それでも終わらない


EX-03が声のない咆哮を上げるように、
胸部から異様な水煙を噴き上げた。
巨体が後ろへと倒れ、海へ沈む。

シラハ「EX-03、機能停止……!」

一問《PULSE/β、出力急減》

ツユリ「やった……?」

カナネ「……でも、まだ、変よ」

モンジュ「PULSEが……完全に消えない。
 値が“どこか”へ流れている」

EX-06とEX-04が、一度だけ動きを止めた。
まるで何かの合図を待つように、海中で姿勢を固定する。

湾口の波が、一瞬だけ外側へ吸い出されるように引いた。
水平線の輪郭が、熱を帯びた空気越しのように揺らぐ。

一問《PULSE/β、本来の“送信方向”を検出。
 ──外ではなく、“上位”》

カグラ「……嫌な感じだな」

火の星で、一度だけ聞いた“いやな静けさ”の記憶が、
カグラの背筋をかすめていった。

次の瞬間、海が静まり返った。
波音さえ遠ざかるような、異様な沈黙。

ツユリ「……音が、しない」

シラハ「観測値も……“空白”です。
 流れが、読めません」

カナネ「揺れはあるのに、数値にならない……」

オトワは剣を構えたまま微動だにしない。
胸元のリングだけが、ひどく静かに震えていた。

モンジュが、ゆっくりと言葉を選ぶ。

「……いやな感じ、なんて言葉じゃ足りない。
 “奇妙な揺れ”が、こっちに降りてくる」


火輪ラセツ


海面が、縦に裂けた。

光でも色でもない、何か奇妙な、“存在の圧”だけが真っ直ぐに押し寄せてくる。

裂け目の奥から、黒と紅の機体が歩み出た。
装甲に炎の裂紋を刻み、
胸部コアは血のような紅光を静かに灯している。

後に4人の生徒たちはその名前を心に刻み込むこととなる。四観・火輪《ラセツ》と言う名を。

その気配だけで、海風が止まった。

モンジュ「……なんだ、よ……これ……」

カグラは一歩前へ出る。
その瞳の奥には、四人が知らない戦場の残像がよぎっていた。

「間違いない。
 四観・火輪……《ラセツ》。」


短い沈黙。
それは驚きではなく、“確認”の間だった。

カグラ「……あいつ、この時間軸から存在しているのか。」

ツユリが息を呑む。

カグラは苦く笑う。
迷いのない者の顔で。

「まさか……他の四観も?
 “時の秘密”を知るもの……か。
 ……やれやれ。エクレシアにいた頃聞いた事があったが、あれは本当のことだったのか」

本当なら、もっと先の戦場で再会するはずの相手だった。


四人は言葉を失う。
それでも、何かとてつもない事が起きているであろうことだけは理解した。

──カグラは知っている。
人が未来と呼ぶ時間軸で、火輪と戦ったことがある。
そして火輪は、あの時代(時間軸)でも消えていない。

ラセツが、赤い残光をまとって四機を見渡す。
胸部の紅光が、嘲りにも似た周期で脈動した。

火輪「──なんだ?お前たちは。」


その声が落ちた瞬間、
海全体が、赤く低く鳴った。

──EP09 END

#ノーヘブン
#ウォーターボーン
#NOHeaven
#Waterborn
#SF
#オリジナル小説
#創作小説
#機体
#ロボットバトル
#AI
#戦闘シーン
#ノーヘブンノーサンクチュアリウォーターボーン
#カグラ
#Gate戦
#四観
#火輪
#女子高生
#ラセツ
#KUSANAGI
#ヤガラス
#ヒュドラ計画
#Kind
#一問

いいなと思ったら応援しよう!