【#RealVoice2025】「いつだって物語の主人公は笑われる方だ。」2年・内林佑斗
「再会」
冬のオフが終わり、2025シーズンに向けて始動した1月の中旬。
凍えそうなくらい冷え切った部室で「そういえばFC東京のトップチームの人がコーチで来るらしいよ。」と誰かが言ったのを耳にした。
FC東京が大好きな自分からしてみればとても嬉しいニュースだった。どんな人なんだろうなと心を躍らせながらグラウンドに向かうと、そこには見覚えのある人が立っていた。最後に会ったのは15年も前なのに思い出すのは一瞬だった。
FC東京コーチ兼アナリスト、近藤大輔コーチ。この15年ぶりの再会から私の怒涛の2025シーズンは始まった。
今回部員ブログを担当させていただく2年、内林佑斗です。去年の部員ブログに対して多くの方から「良かったよ!」「応援してます!」といったお声をいただき大変励みになりました。今年も拙い文章ではありますが最後まで読んでいただけると幸いです。
近藤さんと初めて会ったのは私が幼稚園年中の時。FC東京の錦糸町スクールに通っていてその時のコーチが近藤さんだった。(近藤さんは覚えていないと思いますが。)みんなからドゥーコーチと呼ばれ、私が大好きなコーチの一人だった。
さらに将来FC東京のアナリストになるという目標を持っている自分にとって、成りたい人が自分の元に来てくれたというのは勝手に運命を感じずにはいられなかった。
今シーズンの自分にとって近藤さんの存在は本当に大きかった。クロスの自主練習に付き合ってくださったり、常日頃からいじってくださったり。いつも冗談交じりに声をかけてくださって、落ち込んでいても気持ちが楽になった場面が何度もあった。またこういったご縁もあってFC東京のスクールコーチもやらせていただいている。
今シーズン、近藤さんの元でインディペンデンスリーグ(以下、Iリーグ)を戦わせていただいたことは自分にとって本当に大きな経験になった。



「ウッチーはサイドバックの選手じゃない!」
Iリーグカテゴリーとして始動した後、近藤さんが自分のトレーニングをある程度見て、私にこう告げた。今までサイドバックとしてずっとやってきた自分にとっては衝撃だった。新たに置かれたのは右のウィング。
自分にとってこのポジションチェンジが本当に大きかったと今改めて思う。確かに守備があまり得意ではないしサイドバックとして通用している実感もなかった。自分のスピードと裏抜けという武器が最大限発揮できるポジションを近藤さんは与えてくれた。あのままサイドバックでプレーしていたら自分はどうなっていたのか想像もつかない。
Iリーグの馬車馬としてとにかく走り回れ。
これが私に与えられた役割だった。新たに右ウィングとして春先の遠征では得点を重ねることができ、自信がうまれた。それだけでなく去年は思うようにいかず辛く苦しかったサッカーが楽しくて仕方なかった。
いよいよ迎えたIリーグ開幕戦。チームは0-1で負けている中途中出場。しかし同点ゴールをもたらすどころか自分の守備対応から追加点を取られ敗戦。自分の持っていた自信は何の根拠もない空っぽだったと思い知らされた。
そしてその数日後、自分のピッチ外での怠惰と失態でプレーする機会をしばらく失うことになった。あの時自分に対して正面から向き合い続けてくれた先輩方、同期のみんな本当にありがとうございました。皆さんのおかげで今こうして再びア式の一員としてプレーできています。
「初めて実感した責任」
ピッチに復帰してからはIリーグでスタメンとして使っていただき、新人戦にも出場できて本当に大きな経験を積ませてもらえた。
ただ結果を見ればIリーグは2部降格。新人戦も全国大会には進めなかった。
Iリーグの降格が決まった時の4年生と近藤さんの涙が今でも脳裏に焼き付いている。
あれだけチームのために動いてチームを引っ張ってきてくれた人たちの最後を悔し涙で締めくくらせてしまった。自分を信じて起用し続けてくれていた近藤さんの期待に応えられなかった。
ウィングというポジションでスタメンで使い続けてもらったのに、個人成績は0ゴール1アシスト。同じウィングとして左にいた戸祭は10ゴール3アシスト。あまりに情けない。
スタメン11人の中で明らかに自分はチームに貢献できていなかった。交代カードを切る時はいつも決まって自分が一番に下げられる。自分がその交代に納得せざるを得ないパフォーマンスだったことが何より悔しかった。
大して活躍もしていない自分が責任を感じるなどおこがましいかもしれない。それでもピ
ッチに立った以上自分にもチームを勝たせられなかった責任がある。
「足りないもの」
コーチ陣がどれだけ分析をしてくれて戦術を考えてくれても、マネージャーやトレーナーがどれだけ最高のサポートをしてくれても結局最後はピッチに立つ選手が勝敗を決める。
私たち選手はスタッフや応援してくれる人たちの分の思いも背負って死力を尽くして戦わなければいけない。そして何より早稲田のエンブレムを背負っているという自覚をもつこと。サッカーのプレーどうこうの前に今年の自分に一番欠けていたのはこの精神かもしれない。
そしてその次に自分に足りなかったもの。それは根拠のある圧倒的な自信。
周囲からは自信に満ち溢れた人間であると思われがちだが、実際の私はその真逆である。一つのミスを引きずり、なかなか立ち直れない。試合のたびにミスが怖くて緊張しない時などない。自信があるように見えるのはそんな自分を隠すように振舞っているからかもしれない。根拠のない自信というものは時に自分を空回りさせ、時に自分を慢心させ、プラスに働いたことはほとんどないと思う。
兵藤監督がアミノ敗退後におっしゃっていた「練習は疑うんだ。試合は信じ切るんだ。」という言葉がとても印象に残っている。自分にストレートに刺さったからだ。果たして練習で自分を過信していなかったか。いや、しまくっていた。スタメンで使ってもらえているから自分はできるんだと。ア式の誰よりも努力しているわけでもないのに。でも心の底からそう思っていたわけではない。自分の実力が見えているからこそその現実に押しつぶされたくなくて自分にそう言い聞かせていたのだと思う。逆に試合では自分を全く信じ切れなかった。信じれる材料が自分になかった。疑うべきところと信じるべきところ、そのポイントが真逆になってしまっていた。
Iリーグが残り2節となったアウェーでの城西大学戦。勝たなければ自動降格が見えてくる重要な一戦の直前、自分はスタメンを外された。いつ外されてもおかしくないと思っていたが、いざその立場に置かれると絶望が自分を支配した。練習中も悔しさで頭がいっぱいで集中できない。頭では切り替えなきゃいけないとわかっていても心の中で不安と焦りが勝っていた。そんなメンタルじゃもちろんいいプレーなんかできるわけもなかった。私がすべきだったのは4年生がやっていたこと。磨央くんや球尊くんは出られない時期が自分よりももっと長かったのに、その悔しさを抑えて常にチームのために声を出して、荷物を運んでいた。あの時自分がもっとチームのために行動できていたら。それが今シーズン最大の後悔である。サッカー面だけじゃなくてそういうメンタル面でも自分はトップチームには程遠いなと痛感させられた。
TOPチームにいる人たちや活躍しているチームメイトはみんな血の滲むような努力をずっとし続けてきて、常に向上心をもって自分の課題と向き合い続けている。例え出られなくても自分にベクトルを向け続け、チームのために自分にできることを精一杯やる。例え出ていても決して現状に満足することがない。この努力や姿勢の賜物が根拠のある自信である。これに例外はない。
今年の関東リーグ、メンバーの大半が同期。特に自分と同じポジションの久米はチームに欠かせない選手として早稲田の攻撃を牽引し続けた。とても頼もしいようであまりに悔しい現実である。そして今の自分にとってとてつもなく高い壁である。応援席で同期の活躍を見守るのは悔しさの方が圧倒的に大きかった。でもそこで自分が出て活躍できる画は思い浮かばなかった。なぜなら実力が伴っていないから。関東一部復帰に貢献した同期とIリーグで降格させてしまった自分。とてつもない差が開いた絶望感で満ちている。
「決心」
でも自分にこのまま終わるという選択肢はない。
なぜならもう自分一人だけのサッカーではないから。
これまで自分たちを幾度となく犠牲にしてでも私にサッカーを続けさせてくれた両親。
どれだけ迷惑をかけても応援し続けてくれる祖母。
自分の成長をずっと嬉しそうに見続けてくれた天国の祖父。
この人たちに恩返しをせず終わるわけにはいかない。
今自分にできることはサッカーで活躍することしかない。
気づけばもう3年生。あまりにあっという間すぎる。
「時間は有限、でも可能性は無限」
これまではそうだった。でもこれからは
「可能性は無限、でも時間は有限」だ。
先程はこの1年でうまくいかなかったことばかり書いたが、今シーズンは自分にとって間違いなく大きな一歩になった。
近藤さんに出会い再びサッカーの楽しさを思い出し、去年1分も出られなかった公式戦にたくさん出させてもらって、トップの奴らを超えたいという目標も改めて芽生えた。4年生のチームのために動く姿勢を見て人としても成長できた。
正直うまくいかないことの方が圧倒的に多い。例えトップチームでなくても自分のプレーの一つ一つがア式の結果に影響するのが今でも怖い。でも最近母と話していて改めて気づいたのはこの環境でサッカーできていることが幸せでとてつもなく楽しいということ。
そもそも自分はこれまでア式のみんなと同じようなレベルでサッカーしてきたわけじゃない。そんなぽっと出の人間が100年以上日本の大学サッカーを最前線で牽引し続けてきた早稲田のエンブレムを背負えていることを誇りに思う。
去年の4月、一度は諦めかけた選手の道を捨てずに、死に物狂いでつかみ取った過去の自分を裏切らないために。そしてその自分の決意を受け止めてくださった去年の4年生やコーチの方々の気持ちに報いるためにも。この決して当たり前じゃない幸せをしっかり噛みしめて来シーズン飛躍することをここに誓います。自分を主役にして見せます。きっと今の自分じゃ誰も想像できないと思うけど、私はいつも自分にこう言い聞かせています。
【いつだって物語の主人公は笑われる方だ。】
今年も最後に自分を今シーズン支え奮い立たせてくれた歌を紹介したいと思います。
「身の程なんて まだ知らない まだ知らない
未完成を恥じるなよ無茶だ 無謀だって 言葉も ひっくり返して 歓ぶんだろう
誰もが まだ知らない まだ知らない
あなたのこれからは 楽しくあるべきなんだ
震えているんじゃなくて 奮い立っているんだと
口角を上げろ わきまえなくていいよ」
ご精読ありがとうございました。


次回のブログは葵泉(片山葵泉/明治大学付属明治高等学校)です。
常に広い視野とチーム愛をもってピッチの外からア式を支える敏腕マネージャーです。今シーズンの葵泉は同期の中でも一番「ア式のために」という言葉が似合うような仕事っぷりを見せてくれていました。関東最終節前の応援動画や4年生への卒業ムービーには多くの部員が心を打たれたことでしょう。そんなア式が大好きな彼女が綴る文章にぜひご期待ください。
◇内林佑斗(うちばやしゆうと)◇
学年:2年
学部:スポーツ科学部
前所属チーム:FCトリプレッタ
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