【#RealVoice2025】「当たり前」4年・瀧澤暖
自分の弱いところを見せるのが嫌なので、悩みましたが、自分の身に起きたこと、その時に感じたことをそのまま書きました。
最後まで読んでいただけると、幸いです。
6月20日
アミノバイタルカップ初戦。
4年目にして、TOPチームで初めてのスタメン出場。
この大会はチームとして掲げる、日本一に繋がる唯一の大会だった。
そのため、相当力が入っていたのだと思う。
前日練習では監督から、「大丈夫だからもっと力を抜け」と指摘されるほど。
気合いが入っていたし、これまでチャンスが少なかった自分にとって、この期を逃す訳にはいかないという思いで必死だった。
試合当日。
開始早々に失点したものの、変な焦りはなかった。
その後、自身初ゴールと初アシストで2-1とすぐに逆転することができた。
全然やれる。このままいける。
そう思った。
しかし、そんな安らぎは一瞬で崩れさる。
後半終了間際に逆転され、日本一への道が途絶えた。
同時に、自分にとって最大のアピールの場である総理大臣杯への切符を失った。
6月21日
サッカーができなくなった。
昨日までなんとか保っていた糸が、敗戦によりプツッと切れたような感覚だった。
練習時間が近づくにつれ吐き気が増し、真っ直ぐ立っていることがやっとの状態。
何をしてもすぐに息が切れ、心拍数が上がり、アップについていくことすらままならなかった。
プレーができるかどうか以前に、身の危険を感じた。
その日のうちに監督へ電話をし、チームの活動から一旦離れたいと伝えた。
オーバートレーニング症候群だった。
原因はわかっていた。
新シーズンが始まってから、サッカーをすることによって受けるストレス、プレッシャーを過度に感じるようになっていたことだ。
プロを目指して早稲田大学の門を叩き、特に大きなことは成し遂げられず、深い爪痕を残すこともできないまま大学生活4年目を迎えていた。
プロになりたいという思いと、叶わないかもしれないという現実の間で引き裂かれながらプレーを続けているうちに、精神が削られていった。
いつしか、あんなに大好きだったサッカーが、日常の中でいちばん苦しい時間へと変わっていき、心と身体の距離はどんどん離れ、やがて日常生活にも影響が出始めた。
最初の異変はアミノバイタルカップの1ヶ月ほど前、電車に乗れなくなったことだ。
一度ドアが閉まると次に開くまで逃げ場がない。
その閉塞感に襲われ、呼吸が浅くなり、心拍数が上がる。このまま倒れてしまうのではないかという不安から、さらに鼓動は速まる。
大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせながら一駅、一駅と這うように目的地を目指していた。
そして、眠れなくなった。
時計の針が進むにつれて目が冴えていく。
目を瞑ると、このまま朝を迎えられないのではないかという恐怖に襲われ、心拍数が上がり、息が苦しくなる。
これは気持ちの問題、大丈夫。そう言い聞かせながら、眠れたのか、眠っていないのか区別がつかないほどの浅い睡眠を繰り返し、朝はベッドから起き上がるのが精一杯だった。
そんな日常生活を送っていたこともあり、サッカーから一度離れることを決めた。
サッカーから離れれば楽になれる。
何も考えずに済むと思っていた。
しかし、そうではなかった。
むしろ、サッカーのことばかり考えていた。
そして、離れたことで新たな不安が生まれた。
このまま戻れずに引退してしまうのではないか。
このままみんなに一生会えないのではないか。
休んでいる自分をみんなはどう思っているのか。
不安は尽きなかった。
サッカーから離れて2週間。
状態はあまり変わらなかった。
それでも、このまま終わりたくないという思いだけで、無理やりチームに戻った。
正直、怖かった。
なんの説明もなくチームの活動からいなくなり、急に戻ってくる自分はどう思われているのか。
でも、そんな心配はいらなかった。
あたたかいみんながいた。
「おかえり」「待っていたよ」という言葉に救われた。
心からこの大学に来て良かったと思える瞬間だった。
同時に、自分ができることで、チームに恩返しがしたいと強く思った。
そして、当たり前は当たり前ではないという、大切なことを学んだ。
お腹が減ること。
ごはんが美味しいこと。
疲れたと思えること。
ぐっすり眠れること。
電車に乗れること。
笑えること。
そして、サッカーができること。
死ぬほどきつかった夏合宿も。
試合のメンバーに外れて悔しい思いをしたあの日も。
東伏見で汗を流す何気ない毎日も。
それらは、当たり前のようにそこにあるように見えて、当たり前では無いことの積み重ねによって成り立っているということ。
普段生活しているとそのようなことは考えないと思うが、このブログを通して日常の幸せとその尊さを少しでも感じてもらえたら嬉しい。
それから3ヶ月ほどが経ち、今では苦しかった日々が嘘のように思えるほど、元気にサッカーができている。
ここまで回復することができたのは、兵藤さん、松島さん(松島綾飛トレーナー)を初めとする社会人スタッフの皆さん、そして部員のみんなのあたたかい理解があったからです。
この場をお借りして、心から感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
大学サッカー生活も残すところあと3試合。
これまでいただいた恩をピッチの上で返せるように、全身全霊で闘います。
最後に、
閉会式では、山市が優勝カップを掲げ、
「今年も色々あったけど、優勝できてよかった、一部に上げられてよかった」と、
同期と笑い合いながらご飯を囲む、
そんな当たり前を実現したい。





次のブログは大晴(中根大晴・豊田北高校)です。
圧倒的な仕事量に加え、持ち前のスプリントでピッチを駆け回り、ア式蹴球部のフィジカルとメディカルを支えている、言わずと知れたスーパートレーナーです。
そんな彼のリアルボイスをぜひ、お楽しみに。
♢瀧澤暖(たきざわだん)♢
学年:4年
学部:スポーツ科学部
前所属チーム:北海道コンサドーレ札幌U-18
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