同じ距離を歩いているのに、なぜ疲れ方が違うのか。

「普通に歩いているだけなのに、どうしてあんなに涼しい顔でスイスイ進めるんだろう…?」
「自分なんて、駅まで歩いただけで、もう今日はへとへとだ…」
毎日の通勤や移動で、そんな違いを感じたことはありませんか?
同じ道を歩いて、同じ距離を移動しているのに、疲れ方には大きな差があります。
その違いは、体力だけでは説明できません。
歩くという何気ない動作の中にも、身体の使い方による違いがあります。
疲れにくく歩ける人は、身体全体を使って効率よく前へ進んでいます。
一方で、疲れやすい人は、知らないうちに余計な力を使いながら歩いていることがあります。
今回は、その違いについて考えてみます。
1. 重心のブレ

◎楽に進める人
歩くとき、身体の中心である重心が滑らかに移動します。
一歩の勢いを次の一歩へ自然につなげられるため、余計な力を使わずに前へ進むことができます。
身体の動きに無駄が少ないため、同じ距離を歩いても疲れにくくなります。
◎疲れやすい人
歩くたびに身体が上下や左右へ大きく揺れてしまいます。
着地した衝撃を必要以上に力で受け止めたり、崩れた姿勢を毎歩ごとに立て直したりすることで、身体は余計な仕事をしています。
つまり、疲れやすい人は前へ進むためだけではなく、姿勢を戻すためにも毎歩エネルギーを使っているのです。
2. 全身の連動と、一部分への負担
楽に歩ける人は、足首、股関節、背骨、体幹などが自然につながって動いています。
身体全体の連動を使うことで、一部分に負担を集中させずに前へ進むことができます。
一方で、疲れやすい人は体幹や股関節が十分に使えていないことがあります。
すると、ふくらはぎや太ももなど、一部の筋肉だけで身体を動かそうとしてしまいます。
その結果、特定の場所ばかりが疲れやすくなります。
身体全体をつなげて使うために、わたしが歩くときに意識しているのが、「みぞおちから脚が生えている」とイメージです。

よく「みぞおちから脚が生えていると思って歩く」と言われることがあります。
一見すると不思議なイメージですが、歩行の仕組みを考えると、とても理にかなった考え方です。
私たちは普段、無意識に脚だけで歩こうとしてしまいがちです。
足先や膝だけで歩こうとすると、上半身が揺れやすくなり、身体の力が前へ伝わりにくくなります。
しかし、「みぞおちのあたりから脚が生えている」とイメージすると、自然と体幹から脚までを一つのつながりとして使いやすくなります。
すると、胴体の中心が安定し、上下の無駄なブレが減ります。
その結果、一歩一歩の推進力が変わってきます。
歩くときに試してほしいこと
「脚は、みぞおちから生えている」
そんなイメージで歩いてみてください。
もし、身体が前へスッと運ばれるような感覚があれば、そのイメージはあなたの身体に合っているのかもしれません。
歩き方を少し変えるだけで、毎日の疲れ方は変わる可能性があります。
次回は、「歩いているだけで疲れる人」が無意識にやっているクセについて書こうと思います。

※参考にした考え方
・歩行解析におけるエネルギー効率と重心移動(逆振り子モデル)
・二足歩行における位置エネルギーと運動エネルギーの交換、エネルギーリカバリーに関するバイオメカニクスの考え方
参考文献:
・David A. Winter
Biomechanics and Motor Control of Human Movement
・Jacquelin Perry / Judith M. Burnfield
Gait Analysis: Normal and Pathological Function
・Donald A. Neumann
Kinesiology of the Musculoskeletal System
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元トレーナー。現在は整体師として、施術現場や自身のトレーニングで得た気づきをもとに、「疲れにくく、動きやすい身体」をテーマに発信しています。
