マリノスが大島秀夫監督を解任。POラウンド第1戦を終えて決断…鈴木健仁SDが経緯や今後の方針を説明。新監督の選定基準や補強ポイントは?【無料記事】
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大島秀夫監督の解任が決定
横浜F・マリノスは6月3日、大島秀夫監督の解任を発表した。2025シーズン途中から同クラブを率いてきた指揮官は、同6日に行われる明治安田J1百年構想リーグのプレーオフラウンド第2戦をもって現職を離れる。
解任の発表があった同日中にはマリノスの中山昭宏社長と鈴木健仁スポーティングダイレクター(SD)が報道陣の取材に応じ、今回の決断について説明を行った。直近3年間で4度目となる監督の途中解任の背景や経緯、そして今後の道筋について語られた会見の模様を以下に全文掲載する。
監督交代を決断した背景

中山社長
皆さん、こんにちは。本日はお足元の悪い中、急なお願いにもかかわらず、このようにお集まりいただきましてありがとうございます。本日14時半にお知らせしました通り、大島監督との契約を、今シーズンをもって解除することになりました。この後、スポーティングダイレクターの鈴木より、その背景等を皆様にご説明して、その後に皆様のご質問にお答えするような形で進めさせていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

鈴木SD
皆さん、こんにちは。今日はよろしくお願いします。大島監督の解任に関してです。シーズン初めに大島監督とシーズンに向けてすり合わせを行いました。今シーズンに関しては降格のない特別なシーズンであること、結果を優先せずに2026-27シーズンにつながるシーズンにしてほしいということ、それからマリノスの攻撃的な、攻守にアグレッシブにゴールを目指し、ピッチで選手が躍動し、見ている方の心に響くような、そんなサッカーを展開してほしいという話を共有しました。その中で。 選手・スタッフが今のサッカーを続けていけば、必ず目標に近づけると、シーズン中に積み上げを感じられたかというところで、非常に厳しいシーズンになったというところで、今回の決断に至りました。
――大島監督とは当初、2026-27シーズンまでという形で契約延長を発表していた。もっと早く決断できるタイミングもあったかもしれない中、このタイミングで解任に至った経緯は。
鈴木SD
もちろん2026-27シーズンもともにチーム強化に向けて仕事ができればよかったんですけれども、このタイミングになってしまった。シーズン中に大島ともコミュニケーションを取ってきました。チームがうまくいかない中で、チームの改善に向けてスタッフも含めて前向きに取り組んでもらっていたので、区切りというか、今シーズン(百年構想リーグ)が終わるところまでは大島に任せたいということで、地域リーグラウンドが終わったところで、強化部の中で来シーズンに向けての話を始めたというところです。
――解任を決めたのは地域リーグラウンドが終わってすぐのタイミングだったのか。
鈴木SD
終わってすぐではないです。
――では、具体的にいつだったのか。
鈴木SD
プレーオフラウンドの第1戦が終わって、発表は今日(3日)になりましたけど、本人には昨日(2日)伝えました。その直前に決定したということです。

――おそらくほとんどの選手が2026-27シーズンも契約がある状態でプレーしている。急な決断に感じる選手もいるかもしれないが、チームへの影響をどのように考えているか。
鈴木SD
(大島監督は)コーチを含めると長くトップチームに関わっていただいた方なので、残り1試合という状況でそれ(解任)を伝えていることで、トップチームへの影響はもちろんあると思っています。ただ、そこをしっかりチーム統括本部も含めて、現場とコミュニケーションを取りながら支えていければなと思っています。
――大島監督は常々マリノスというクラブで戦うことの意義や価値を選手たちに説き続けてきた。ファン・サポーターに対してもメディアを通して訴え続けてきたと思う。そうした発信を近くで見てきた中で、期待していた成長曲線との乖離具合や理想と現実のギャップをどう評価しているか。
鈴木SD
(大島監督との)すり合わせの中で細かい話もしたんですけれども、チームの戦い方において、大島も「別にボールを持つことが目的ではない」と常々言っていました。ゴールに迫るために前方向にプレーしていくという話をされていました。マイボールの時に自分たちで勇気を持って前進していくところ、ゲームを組み立てていくところ、それから前線からの守備、高井強度で前線からボールを奪ってゴールに迫るという点に関しては、シーズン前に話していたところと、成長曲線というか、チームとして少し物足りなかったかなと感じています。
新監督選定へ…今後の方針は?
――2022年4月にマリノスへ入られて、同年12月から社長に就任。しばらくチーム統括本部のトップも兼任されていて、この3年半で監督解任が4回あった。もうすぐ退任となるが、チームの低迷をどう捉えているのか、そしてこの状況で次の体制への継続性をどのように担保していくつもりか。
中山社長
おっしゃる通り、私がマリノスに来た時には、チーム統括の体制としてスポーティングダイレクターがいない状態から始まっていました。そこに対して当然私としては課題認識をしている中で、前年度は西野(努=現アビスパ福岡社長)さんに来ていただいて、今年度は鈴木さんに来ていただくということで、SDの方にマリノスに来ていただくと同時に、チーム統括の体制のあり方も並行していろいろ変えてきていて、今に至っていると思っています。同時に監督の選定については、確かに途中で契約を解除しなくてはいけないという事実はおっしゃる通りですけれども、その背景としては必ずしも1つの理由ではなくて、監督としての我々と関係の中での理由はいくつかあります。
この後、同じことを繰り返さないようにするために、何かをきちんと残していかなければいけないと思っていますし、少し細かいですけれども、評価内容に対するウェイトの考え方などをきちんと形にして残していく。今は当然そこを共有していますし、シティ・フットボール・グループ(CFG)とも共有していますけれども、そういうところをきちんと固めていっていますし、そこはきちんとやり切りたいなと。
――それが任期の残りの1ヶ月で最後にやり遂げなければならない仕事だと。
中山社長
そうですね。はい。
――リリースのコメントの中に「ここ数年解決し切れなかった課題」という言葉があった。それをもう少し噛み砕いて言語化してほしい。
鈴木SD
僕自身はSDという立場で強化の責任者を何クラブかでやってきましたけど、一番大切な仕事は監督を選ぶことだと思っています。今までのマリノスの監督選びに関しては、僕がコメントすることではありません。ただ、今回こういう決断に至って、監督を選ぶという状況になったので、僕にとってはそこがマリノスの未来がどうなっていくのかというところで一番大切なことだと思っているので、改善に取り組みたいと思っています。
――大島監督やパトリック・キスノーボ前監督はコーチからの内部昇格だった。今後はスティーブ・ホーランド元監督を招へいした時のように、CFGも交えながら新監督を選定していくのか、あるいはすでにある程度目処が立っているのか。
鈴木SD
これからです。CFGともリストアップも含めて連携しながらになります。


――日本人監督か外国人監督か、どちらかにこだわるわけではない。
鈴木SD
特にどちらかとは決めていないです。いろいろな可能性を広げながら決めていきたいと思います。
現状に何が足りず、これから何を求めていくのか
――リリースに掲載された大島監督のコメントを読む限り、かなりの無念さが伝わってきた。2026-27シーズンに向けていい準備ができているという自負もあったのではないかと思うが、解任を伝えた際に大島監督とどのようなやりとりがあったか教えてほしい。
鈴木SD
(解任は)僕が伝えたんですけれども、そこで話したことをここでお伝えするべきではないかなと。大島が話してくれたこともありますし、それを含めて皆さんにお伝えしたいことをリリースのコメントで発信したと思うので。 ただ。 あのリリースでそう伝わったように、無念さというか、来シーズンもやりたかったという思いはあったと思います。
――中山社長も同席していたのか。
中山社長
鈴木SDが(解任を)伝えた場に私はいませんでした。

――大島監督は厳しい局面で就任し、チームをJ1に残留させた功労者でもあるが、プロフェッショナルとして結果が出なければこういった結末になることもある。中山社長は解任についてどのような見解を持っているか。
中山社長
大島さんはマリノスで選手としてプレーされていましたし、育成組織のコーチもやられていましたし、長きにわたってマリノスをいろいろな形で支えてくださった方ですので、そこに対するクラブとしての大きな感謝の気持ちはもちろんあります。一方で、今回の判断に至った経緯も、当然我々と私としては受け止めて理解していますので、最終的にはこの(解任という)判断に至ったということです。
――解任のリリースには「現状のチームに変化が必要であると判断しました」とあった。その1つが監督交代でもあると思うが、改めて現状のチームに変化が必要な点はどこだと考えているか。
鈴木SD
これは大島ともシーズン中に会話したんですけれども、僕自身がマリノスに1月に来て、トレーニングを見た中で、やっぱりトレーニングの厳しさが足りないのではないかと感じていました。僕はやっぱり日々のトレーニングが全てだと思っていますし、それが試合に表れると思っています。昨年は見ていないのでわからないですけれども、もちろん大島も改善に向けて取り組んでくれていたとはいえ、やっぱり日々のトレーニングから変えていかなければ強いチームにはならないのかなと思っています。

――新たな監督を迎えて戦う2026-27シーズンにどのようなサッカーを目指していくのか、もう少し具体的に教えてほしい。
鈴木SD
アタッキングフットボールというフィロソフィーを掲げている中で、おそらくいろいろな「アタッキングフットボール」があると思っています。最終的には現場を見る監督が作っていくものだとは思っていますけれども、僕自身は襲いかかるみたいなイメージを持っていて。なので、ボールを持っていない時も常に相手に襲いかかっていく、ボールを奪いにいく。ボールを持っている時はゴールに襲いかかるというところと、あとはサッカー選手はボールに触ってプレーしたいと思うので、やっぱりボールを持ってサッカーをしたい。そのポゼッションは何のために? というと、それが目的ではないんですけれども、やっぱり強かった時代のマリノスは、数字的にもボールをしっかり持って戦っていました。なので、しっかりボールを保持しながら、先ほどのようなスタイルを表現していければなと思っています。
来シーズンに向けて大きな目標がある中で、やっぱりマリノスというのは日本でもビッグクラブと呼ばれるクラブですから、タイトルを求められていますし、理想を求めながら、どう勝つかを僕自身は大切にしていきたいですけれども、来シーズンに関しては結果を求めていかなければいけないシーズンになってくると思うので、少しそっちに振れた戦いになる可能性もあるかなと思っています。
――ここまでにおっしゃられたようなことを軸に新監督を選んでいく。
鈴木SD
そうですね。

――序盤に「もう少し早いタイミングもあったのでは」という話が出ていたが、どういうことを期待して解任の判断をこの時期まで延ばしたのか。
鈴木SD
開幕からなかなか勝てない時期があった中で、シーズン序盤に戦い方が少しブレているなと感じたこともありました。相手に対して少し守備的な戦いをして負けた試合もありましたし、監督とコミュニケーションを取っている中で、「今シーズンがスタートする時に、こういうスタイルで戦っていこうという共有があったのだから、もう一度そこにチャレンジしようよ」というやり取りもありました。そうした中で、連勝した時期もありましたし、それが続いて、チームとして進化していくのではないかと思った時期もあった。少し波のあるシーズンだったので、判断がすごく難しかったとは思うんですけれども、その波の中で最後までお任せしたいという判断です。
――2024年以降は監督の途中解任が続いている。それは監督だけの問題なのか、あるいは組織として選定プロセスなど他のところに問題があると考えているのか。
中山社長
選定プロセスは基本的にCFGと共有してやっている中で、それぞれの監督にいろいろな背景があって途中で契約解除になってしまっています。CFGと共有している評価のクライテリア(物事を評価・判断・選択するための基準)はいくつかに分類されているんですけれども、そこの評価の仕方と、日本にあるJクラブのマリノスの監督を選ぶ時に、クライテリアの重みづけは見直していく必要があるなと思っています。そこは当然昨年の振り返りの中で見えてきているポイントはあるので、そこをCFGと共有しながら、鈴木さんとも共有しながら、同じことを繰り返さないようなレッスンズ・ラーンド(プロジェクトや業務の振り返りを通じて得られた成功・失敗体験やそこから得た教訓)として進めようとしています。
新監督選定の基準、そして補強ポイントは?
――百年構想リーグの総括をお願いしたい。
中山社長
大島さんに2025シーズン後半から監督を担っていただいて、J1残留を決めていただいた監督と今シーズンに入る時にお互いの目線合わせといいますか、こういうものを目指していこうというのを確認してスタートしてきています。結果的に言うと、できている部分とそうでない部分がありますけども、そのできている部分みたいなところは、この後の新しく来る監督にきちんと上手く引き継いでやっていくんだろうなと、そういうシーズンだったなと思います。

鈴木SD
この半年で、こういう決断に至ったというところで、なかなかうまくいかないことが多かったと思います。その中で大島も常々、戦うところであったり、球際のところであったり、守備の部分であったり、そういう部分に関してはこの半年間、粘り強く選手とともに、トレーニングの中で植え付けるためにやってくれたと思っていて。そういう部分では、試合の中でそういう場面が見られたこともありましたし、川崎フロンターレ戦(第8節、◯5-0)や、6-0の試合(第18節・東京ヴェルディ戦)もありましたけど、そういう中で表現されていた部分もある。マリノスの戦うベースという意味では、今後も引き継いでいくことになっていくと思うので、結果だけを見るとなかなか難しい厳しいシーズンだったと思いますけれども、来シーズンにつなげていかなければいけない、つなげていきたい、残していきたいところはあったのかなと、前向きに思っています。
――新監督の選定基準として外せないものはあるか。
鈴木SD
ここは外せないというのは、中山社長からもありましたけれども、今までの選定基準を少し見直している部分もあります。やっぱりマリノスはすごく大きなクラブですし、僕自身も何名かの監督を今まで選んできたことがありますし、監督の経験のない人を選んできたことももちろんあります。で、自分の中では監督経験がなくても資質があれば、誰でも最初は初めてなので……と思っていたこともあります。経験が邪魔することももちろんあると思います。ただ、マリノスという大きなクラブで、監督を近くで見ていて、やっぱり相当なプレッシャーですし、その中で勝っていかなければいけないことを考えると、やっぱり監督の経験や実績は絶対に必要かなと思っています。

――多くのクラブが百年構想リーグから1年半のつもりで強化を進め、2026-27シーズンに入っていく。マリノスはここで監督交代に踏み切り、結果を求める新シーズンに向けてゼロベースに近くなる。大きな勝負に出なければいけない側面もあると思うが、選手の入れ替えなど、何が必要になってくるか。
鈴木SD
ゼロベースとは思っていないです。もちろんゼロからではないですけれども、監督が代われば日々のトレーニングも含めて変わってくる部分は大きいので、そういう意味では変わるところは大きいと思いますけど、新シーズンに向けては今いる選手をベースにと考えています。基本的には1年半(計画)で走っているタイミングなので、そこで選手の入れ替えとなるとすごく大変になってくる。なので、今いる選手をベースに、選手の入れ替えはもちろん必要だと思っているので、そんなに多くはないですけれども、移籍で選手を獲得したいと思っています。
――補強ポイントとなるのは。
鈴木SD
ポイントとしては、中盤のところとか、ボランチのところとか、あとは攻撃的なところで、(谷村)海那が点をたくさん取ってくれましたけれども、もう少し彼にいいボールが入ってくれば、もっともっと点を取れるのかなという思いもあるので、攻撃的なポジションでも(補強が)必要かなと思っています。

――今年の新体制発表会で中山社長が「2029年のクラブW杯出場を目指す」と明言した。百年構想リーグとはいえ順位が芳しくない現実と、監督が交代するという状況も踏まえて、その目標設定は適切なのか。下方修正する考えはあるか。
鈴木SD
下方修正はしません。的確かどうかは、皆さんにいろいろ考えはあるのかなと。ただ、僕自身はこの世界で戦っている限り、高い目標を持って、そこにみんなでチャレンジしていくべきだと思いますし、自動で来シーズン(2027-28シーズン)のACLに出場するには、おそらく3位以内を目指さなければいけないと思っているんですけれども、そこが叶わない目標だとは思っていないので、そこに向けて準備をしたいと思います。

