ChatGPTと跳ねる|ダンカン・ウールドリッジ氏レクチャー&ディスカッション「なぜ写真は、グローバルな文脈において芸術として重要なのか」六本木アルスクーリア トークイベント Vol.19 レポート
口上
今日は六本木ヒルズまで、ダンカン・ウールドリッジ レクチャー&ディスカッション「なぜ写真は、グローバルな文脈において芸術として重要なのか」にいってきました。
(速水さんありがとうございます。)
今日、初めてiPhone16を使い、録音、文字起こしをして、ChatGPTと共にレポートをまとめました。
速報性を第一にしたので、見落としたハルシネーションや言葉が足りない点などありますが、レクチャーの面白さをわかってもらえると思います。(保坂)
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はじめに──“複数形の写真”をめぐって
2025 年5 月、六本木アルスクーリアが主催するトークイベント Vol.19 では、英国の写真家・キュレーター・研究者 ダンカン・ウールドリッジ(Duncan Wooldridge) を招き、「Why is Photography Important as Art in a Global Context?(なぜ写真は、グローバルな文脈において芸術として重要なのか)」と題した公開レクチャーとディスカッションが行われた。
本稿は、保坂が録音した逐語テキストとウールドリッジが共編した論集 『The Routledge Companion to Global Photographies』(2025) を突き合わせ、不鮮明な箇所を原文で補いつつ、未読の写真家・キュレーター向けにできる限り詳細なレポートとしてまとめたものである。
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1|Duncan Wooldridge とは誰か
ダンカン・ウールドリッジ(1981–)はイングランド東部ハートフォードシャー州出身。Camberwell College of Arts(英国ロンドン芸術大学/UAL)の BA・MA Photography コースディレクターを長年務め、2023 年からは Manchester Metropolitan University, School of Digital Arts (SODA) のリーダー教授として教育と研究を横断する拠点を担っている。
1-1 アーティストとして
ウールドリッジの作品は、写真そのものを「過去を封じ込める証拠」ではなく「未来を設計しうる予示的メディア」と位置づける点に特徴がある。シリーズ Material Things to Be やインスタレーション Of Images and Other Projections では、壁面や床を横断するイメージの「配置(spatial montage)」を用い、写真が空間と時間を生成するプロセスを可視化する。
1-2 キュレーターとして
• Anti-Photography(2011, Focal Point Gallery, Southend)
写真そのものを否定するのではなく、写真的思考の拡張を図る実験的グループ展。
• John Hilliard: Not Black and White(2014, Richard Saltoun Gallery, London)
コンセプチュアル写真の巨匠を「二値ではなく“灰色の連続体”として捉え直す」企画。
• Moving the Image: Photography and its Actions(2019, Camberwell Space / Peckham 24)
イメージが「場を動かすアクション」として機能するラディカルな展示構成で注目を浴びた。
1-3 ライター/編集者として
• 単著 To Be Determined: Photography and the Future(SPBH/MACK, 2021)
写真を「予告編(trailer)のように未来を示唆するメディア」と読むエッセイ集。
• 共編 Writer Conversations(1000 Words, 2023)
写真批評の現在をめぐる対話集で、批評=制作の二項対立を揺さぶる。
• 共編 The Routledge Companion to Global Photographies(Routledge, 2025)
本講演の核となった論集。
1-4 持続する問題意識
1. 写真の時間軸を「過去→未来」へ反転させる。
2. 写真史の脱中心化。 つまり北米・西欧単線型の歴史観を、周縁同士の横断ネットワークへ書き換える。
3. 批評=制作=教育の三位一体。 批評行為そのものを知の生産として捉え、教育現場に還流させる。
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2|『The Routledge Companion to Global Photographies』(2025)の概要
本書(620 頁)は、ウールドリッジと歴史家ルーシー・サウターが共同編集した論集である。タイトルが “Photography” ではなく “Photographies”(複数形) になっていることが示すように、本書は単数の写真史や単線的発展史を解体し、「互いに連結・衝突・干渉し合う複数の写真実践=Photographies」を浮かび上がらせる。
2-1 企画の経緯
• 発端はパンデミック期のオンライン対話。 2020~21 年、ウールドリッジらは Zoom で世界各地の教育者・キュレーター・アーティストを結び、写真史が見落としてきたローカル実践を交換し合った。
• “Global Photographies Network” の誕生。 階層なき緩やかなコミュニティとして拡大し、本書はその第一成果物に当たる。
2-2 全六部の構成とポイント
1. Photographies in the Anthropocene(環境・気候危機)
南アフリカで地下水と植民地開発を結ぶ写真史、南極観測写真のポストコロニアル読解など、環境問題と帝国的視線を接続する論考を収録。 
2. Decolonial Practices(脱植民地の実践)
グリーンランドの個人アーカイブ再編、パキスタンのストリート写真再撮影プロジェクトなど、既存カノンに「言い返す」事例が並ぶ。ロランド・バスケスとの対談では「写真を〈写真に抗して〉用いる」という逆説的枠組みが提示される。 
3. Gender and Queer Theory in Contemporary Photographies
アルゼンチン、ブラジル、チリのクィア作家が、セルフポートレートとアーカイブ操作で歴史を再記述するプロジェクトを精査。写真が“拡張された家族史”を生成する契機となる。 
4. New Materialities: Expanded Practices
編集責任はウールドリッジ自身。電子廃棄物、ビニール巨大プリント、AI 生成画像と植民地絵葉書の衝突など、写真を「鉱物・化学薬品・廃棄物」と不可分の物質連鎖として読む。キーワードは “Stickiness of Images”(イメージの粘着性)である。 
5. Forming Communities: Networks, Platforms and Institutions
東南アジアのローカル・フェスティバル、アフリカ横断ロードトリップ型ワークショップ、ボゴタのオルタナティヴ教育プログラムなどが紹介され、ネットワーク形成の実務ノウハウが共有される。 
6. Global Approaches to Photobooks
台北国立芸術大学とシンガポール国立大の研究者が主導。台湾、韓国、ラテンアメリカのハンドメイド出版が、グローバル市場とローカル読者をどう両立させるかを具体例で示す。 
2-3 不完全性とオープンアクセス
ウールドリッジは序論で「本書は“決定版”を志さない。不完全さを自覚し、読者を文化翻訳者へ誘う“伴走者(Companion)”である」と宣言する。制作費 1 万ポンドを自力調達し、全編 PDF を無料公開。すでに 85 か国以上からダウンロードされている。 
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3|講演+討議の詳細
3-1 冒頭──三つの問い
ウールドリッジはGlobal Photographies Network発足時から共有してきた「三つの問い」を提示した。
1. 写真史が見落としたものは何か
• 博物館や教科書に現れない地域・実践の洗い出し。
2. カノンをどう流動化し国際的教育に転換するか
• 固定的年表ではなく、多層ローカルを交差させるカリキュラム設計。
3. 写真知はパンデミック後の自己理解と連帯にどう寄与するか
• 写真を媒介に複雑な関係性を“見える化”し、共同行動の足場を築く。
3-2 The Routledge Companion to Global Photographies六大テーマをめぐる講演ハイライト
• 環境と植民地主義
電子機器の廃棄先としてのアフリカを撮影したシリーズを示し、「写真は採掘と廃棄の環に巻き込まれた物質である」と指摘。
• 脱植民地の方法論
「写真を写真に抗して用いる」とは、植民地アーカイブ像を自己語りの材料として“反転”させる行為である。
• ジェンダー/クィアと写真
写真を“拡張アーカイブ”として用い、家父長的記憶を塗り替える南米クィア作家の事例を紹介。
• 物質性と Stickiness of Images
巨大ビニール幕にプリントした屋外展示を例に、画像が都市景観に“貼り付く”感覚を分析。ビニール、インク、溶剤など資源連鎖の可視化が批評課題になる。 
• コミュニティ形成とフェスティバル文化
南アジアでは印刷コストの高さゆえ出版よりフェスティバルが中心的役割を担う。バングラデシュ Chobi Mela、ネパール Kathmandu Photo Festival を例示。
• フォトブック・エコシステム
メキシコの Hydra は「種(アイデア)を持ち込むと栽培(編集・印刷・流通)まで伴走する“育種的”出版社」。ローカル価格のペーパーバックと国際市場向け豪華本を併行して刊行するハイブリッドモデルが紹介された。
3-3 Q&A で交わされた主な論点
• パフォーマンス写真とジェスチャー
聴衆の「ジェフ・ウォール以後のタブロー写真は閉じた劇場か」という問いに対し、ウールドリッジは「ジェスチャーは歴史的身体表現を再起動する鍵であり、タブローは更新可能」と答えた。
• Circulation(流通)の概念
FOAM(アムステルダム)が 2024 年に開催した同名展を踏まえ、「サーキュレーションとは物流だけでなく、写真が移動するたび意味が変調し、社会的関係を再配線するプロセス」と説明。
• 複数形 Photographies の必然
2006 年テート・モダンの「Global Photography Now」と比較した質問に対し、「当時は“世界が連結しつつある”という楽観があった。いまは利害が衝突する現実を踏まえ、複数形でなければ語れない」と強調。
• 日本・東アジアへの示唆
「ローカルエコシステムは現地で体験しなければ翻訳不可能。足を運び、他者のローカルに身を置くことから始めよ」と呼びかけた。
3-4 まとめ——写真は“未来を構想する装置”
「写真は過去を封じ込める証拠ではなく、未来の設計図を描く装置である。複数形 Photographies を受け入れ、周縁どうしが直接連帯し、環境・社会正義に資する回路を編み直してほしい」──ダンカン・ウールドリッジ
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4|日本の写真実践への三つの示唆
1. 現地主義(Situational Fieldwork)
フェスティバルやワークショップが集中する南アジア・中南米の現場に参加し、自身を「文化翻訳者」として位置づける。
2. 物質性の可視化
撮影から展示・出版に至る資源採掘・廃棄のループを作品や文章に組み込み、「写真=鉱物経済の連鎖」を批評対象にする。
3. ハイブリッドな流通設計
国内市場の規模的限界を踏まえ、ローカル価格のジンと国際向け豪華本/デジタル O/A を併走させる二層戦略を試みる。
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