🌟 なぜゴリラズ『Gorillaz』はUKロック史に残る名盤なのか? 🌟
🎧 まずはこの一曲!『Gorillaz』を象徴する、オムニコードの響きとヒップホップの奇跡的な邂逅 🎧
鈴木楽器製作所の電子楽器「オムニコード」に内蔵されている自動伴奏プリセット(Rock 1)をそのまま鳴らしたチープで不穏なビート。そこに、デーモン・アルバーンの気だるいボーカル("I ain't happy, I'm feeling glad...")と、アメリカのラッパーであるデル・ザ・ファンキー・ホモサピエンのキレのあるラップが交差します。UKインディーとUSオルタナティヴ・ヒップホップが完璧に融合した、ゼロ年代の幕開けを告げる歴史的アンセムです。
「Clint Eastwood」
ゴリラズとは?:ブリットポップを解体した「世界で最も成功した架空のバンド」
ゴリラズ(Gorillaz)は、ブラー(Blur)のフロントマンであるデーモン・アルバーンと、コミック・アーティストのジェイミー・ヒューレットによって1998年に結成されたプロジェクトです。アニメーションのキャラクター(2D、マードック、ヌードル、ラッセル)をメンバーとして立て、2001年に発表された彼らのデビュー・アルバムを取り上げます。当時、MTVで大量消費される作られたポップ・アイドルたちへの皮肉として「文字通り作られた(アニメの)バンド」を結成した彼らですが、そのサウンドはヒップホップ、ダブ、ラテン、パンクを飲み込んだ、極めて本格的で先鋭的なものでした。
1. デーモン・アルバーンの「匿名性」が生んだ音楽的解放
90年代後半、ブリットポップ・ムーブメントの熱狂とタブロイド紙の喧騒に疲弊していたデーモンにとって、ゴリラズという「アニメ・キャラクターの隠れ蓑」は大きな解放をもたらしました。ブラーというギター・ロック・バンドの看板を背負うことなく、彼が個人的に傾倒していたダブやヒップホップ、Lo-Fiなエレクトロニック・サウンドを自由に追求することが可能になったのです。白人のUKロックスターというパブリック・イメージから脱却し、純粋な音楽的実験に没頭した結果が本作に詰まっています。
2. ダン・ジ・オートメーターがもたらしたUSヒップホップの熱量
本作『Gorillaz』のサウンドの肝は、サンフランシスコのプロデューサーであるダン・ジ・オートメーター(Dan the Automator)を共同プロデューサーに迎えたことです。彼の手腕により、キッド・コアラ(Kid Koala)による本格的なターンテーブルのスクラッチや、西海岸のアンダーグラウンド・ヒップホップの質感が大々的に導入されました。UKのメランコリーとUSのストリート感を見事なバランスでミックスさせたダンの功績は計り知れません。
3. アルバム内の主要楽曲紹介
「Clint Eastwood」 前述の通り、オムニコードのビートとデル・ザ・ファンキー・ホモサピエンのラップが強烈なインパクトを残す、ゴリラズの代名詞とも言える大ヒット・シングルです。
「Tomorrow Comes Today」 重たく引きずるようなブレイクビーツに、デーモン自身が吹くメロディカ(鍵盤ハーモニカ)の哀愁漂う旋律が絡み合う、ダークでダビーなトラック。ブラーの延長線上にはない、彼らの匿名性とメランコリーが最も美しく表れた初期の名曲です。
「19-2000」 チボ・マット(Cibo Matto)のハトリ・ミホがギター兼ボーカルのキャラクター「ヌードル」役として参加し、印象的なコーラス("Get the cool shoe shine")を歌い上げています。ピコピコとしたチープなアナログ・シンセサイザーの音色と軽快なビートが心地よい、極上のポップ・チューンです。
結論
『Gorillaz』は、インターネットの普及で音楽の聴かれ方が変わり始めた2001年という時代に、「ジャンルの壁」も「国境」も「生身のアーティストという概念」すらも軽やかに飛び越えてみせた歴史的なマスターピースです。ギター・ロックの文脈から飛び出したデーモン・アルバーンが、一流のヒップホップ・プロデューサーや多彩なゲストと共に作り上げた本作は、その後のゼロ年代において「ジャンルレス」がポップ・ミュージックの標準となっていく未来を、誰よりも早く、そしてクールに提示していました。
本記事で紹介したアルバム
アーティスト名:ゴリラズ(Gorillaz) /アルバム名: Gorillaz
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