【第37回】ビジネス書との出会い:人を熱狂させる物語には「型」がある。『作家の旅 ライターズ・ジャーニー』
この**【ビジネス書との出会い】**シリーズでは、私が出会い、人生やビジネスの視点を変えるきっかけとなったビジネス書を、毎回1冊ずつレビュー形式でご紹介していきます。
書籍と著者
本日ご紹介する書籍は、ハリウッドのストーリー・コンサルタント、クリストファー・ボグラー氏による**『作家の旅 ライターズ・ジャーニー 神話の法則で読み解く物語の構造』**です。
※以前、『神話の法則』というタイトルで出版されていた名著の、増補改訂版にあたります。
導入:なぜ、スター・ウォーズも、ハリー・ポッターも「同じ構造」なのか?
前回【第36回】、私たちは「事実は反論を招くが、ストーリーは共感を生む」と学びました。
しかし、いざ「感動的なストーリーを作ろう」と思っても、どう作ればいいのか悩みませんか?
実は、世界中で愛される神話、伝説、そして現代の大ヒット映画には、共通する「黄金のパターン」が存在します。
それが「ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)」です。 著者のボグラーは、神話学者ジョセフ・キャンベルの研究を元に、この「神話の法則」を現代の映画やビジネスに応用できる「12のステージ」として体系化しました。これは、物語を作るすべての人にとっての「地図」です。
本書の核:心を掴む「ヒーローズ・ジャーニー」12のステージ
本書が教える物語の構造は、主人公(ヒーロー)が日常を離れ、試練を乗り越え、宝を持って帰還するまでの円環構造です。
この構造は、映画だけでなく、起業家のストーリーや顧客のサクセスストーリーにもそのまま当てはまります。
第1幕:出立(日常から非日常へ)
日常の世界: 主人公の等身大の悩みや現状。
冒険への誘い: 何かが起こり、変化を迫られる(トラブル、挑戦)。
冒険の拒絶: 主人公は変化を恐れ、尻込みする(共感ポイント)。
賢者との出会い: メンター(導き手)が現れ、知恵や道具を授ける。
ビジネス応用: ここでの「賢者(メンター)」こそが、あなたのブランドの役割です。
第一関門突破: 覚悟を決めて、新しい世界へ踏み出す。
第2幕:通過儀礼(試練と報酬)
試練や敵との戦いを経て、主人公は成長し、最大の危機(オーディール)を乗り越え、報酬(宝、知識、解決策)を手にします。
第3幕:帰還(変化した日常へ)
主人公は宝を持って日常の世界に帰還し、その知恵を使って周りの世界をより良く変えます(復活と帰還)。
実践:あなたのブランドは「主人公」ではない
この本をビジネスに活かす際、最も重要な視点の転換があります。それは、「あなたのブランドは主人公(ヒーロー)ではない」ということです。
主人公(ヒーロー): あなたの顧客。
賢者(メンター): あなたのブランド。
顧客というヒーローが、悩み(日常)を抱え、あなたのブランド(賢者)に出会い、商品という武器(宝)を受け取り、課題(敵)を倒して成功(帰還)する。
この「ヒーローズ・ジャーニー」の型に当てはめて語るだけで、あなたのビジネス紹介は、退屈な説明から「顧客が主役の物語」へと劇的に変わります。
まとめ
『作家の旅』は、脚本家だけの本ではありません。
プレゼンで聴衆を惹きつけたいリーダー
ブランドの物語を語りたいマーケター
自分の人生の意味を見つけたいすべての人
にとっての必読書です。
この「型」を知っていれば、前回の『ストーリーで伝えるブランド』の実践は驚くほど簡単になります。なぜなら、人類が太古から愛し続けてきた「感動の設計図」が、すでにここにあるからです。
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