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【第140回】ビジネス書との出会い:考えるな、この「型」を使え。相手の潜在意識に直接アクセスする魔法のフレーズ集『ずばり、どう言えばいいのか』

この**【ビジネス書との出会い】**シリーズでは、私が出会い、人生やビジネスの視点を変えるきっかけとなったビジネス書を、毎回1冊ずつレビュー形式でご紹介していきます。



書籍と著者

記念すべき第140回にご紹介するのは、世界的なセールス・トレーナーであるフィル・M・ジョーンズ氏による**『ずばり、どう言えばいいのか あなたの会話力を向上させる「魔法の言葉」』**(原題:Exactly What to Say: The Magic Words for Influence and Impact)です。

  • どんな本か: 説得、セールス、交渉、日常の頼みごと。あらゆる場面で、相手の「警戒心」をすり抜け、潜在意識に直接YESと言わせるための「具体的なフレーズ(魔法の言葉)」だけを集めた、超・実践的なスクリプト集。

  • 著者の権威性: 最年少で「ブリティッシュ・エクセレンス・イン・セールス・アンド・マーケティング・アワード」を受賞し、世界中で200万人以上を指導してきた言葉の魔術師。彼が厳選したフレーズは、心理学的な裏付けと圧倒的な現場の数に裏打ちされています。

  • 以前紹介した本との関連: 直近の「交渉術シリーズ(第136回〜139回)」で交渉の戦略や心理を学びましたが、本作は「じゃあ、実際にその場でどう声に出せばいいのか?」という、最もミクロで最も重要な「最後の一言」を教えてくれます。


導入:理屈が通じない相手を動かす「言葉のパスワード」

今回は、相手の脳の防壁をハックする「魔法の言葉」について書きました。

「商品の良さは論理的に説明したのに、なぜか買ってくれない」 「こちらの提案のほうが絶対に得なのに、上司が首を縦に振らない」

そんな経験はありませんか? 私たちはつい「もっと良いデータを出そう」「もっと情熱的に語ろう」と努力してしまいますが、実は問題はそこにはありません。あなたの「言葉の選び方」が、相手の脳に無意識のブロック(抵抗)をかけてしまっているのです。

著者は、人間の脳(潜在意識)には、特定の言葉の組み合わせを聞くと「自動的に特定の反応をしてしまう」ショートカット機能があると言います。本書は、そのショートカットを起動させる「言葉のパスワード」を、明日からそのまま使える形で教えてくれます。


本書の核:相手を操る「魔法の言葉」の数々

本書には数多くの「魔法の言葉」が紹介されていますが、その中でも破壊力抜群の3つを紹介します。

  1. 「あなた向けかどうかはわからないのですが……」

    • 効果: 相手の警戒心を一瞬でゼロにし、好奇心を爆発させるフレーズ。

    • 理由: 人は「売り込まれる」と察知した瞬間にバリアを張ります。しかし最初に「あなた向けではないかも」と引くことで、相手の脳はプレッシャーから解放され、「え、何それ? とりあえず聞かせてよ」と前のめりになります。

  2. 「〇〇について、どれくらいオープンに考えられますか?」

    • 効果: 相手に「ノー」と言わせず、新しい提案を受け入れさせるフレーズ。

    • 理由: 人間は誰しも「自分は心が狭い人間だ」とは思いたくありません。「私はオープンではありません」と答える人はほぼ皆無です。この質問を投げるだけで、相手は無意識のうちにあなたの提案に耳を傾ける「オープンな姿勢」を取らざるを得なくなります。

  3. 「ちょっと想像してみてほしいのですが……」

    • 効果: 相手の理性を飛び越え、感情と潜在意識に直接映像を送り込むフレーズ。

    • 理由: 人間の脳は、「想像してみて」と言われると、無意識のうちにその情景を頭に思い浮かべてしまいます(シロクマのことを考えないでください、と言われても考えてしまうのと同じです)。商品を買った後の素晴らしい未来を、強制的に相手の脳内で疑似体験させる最強のトリガーです。


現代ビジネスへの応用 / 実践:考えるな、暗記して使え

では、私たちは明日からどうすればいいのでしょうか?

  • 自己流のアレンジを捨てる: この本に書かれているフレーズは、一言一句が心理学的に計算され尽くした「完成品」です。「もっと自分らしい言葉にしよう」などと考えず、まずはそのまま丸暗記して、スクリプト通りに口に出してみてください。

  • 「二者択一」で主導権を握る: 日程調整や決断を促すとき、「いつがいいですか?」と聞くのは最悪です。「火曜日と木曜日、どちらが良いですか?」と聞いてください。相手の脳は「会うか会わないか」ではなく、「どちらの曜日を選ぶか」という錯覚に陥り、スムーズにYESを引き出せます。


まとめ:言葉が変われば、結果が物理的に変わる

魔法はありませんが、この法則を知っているだけで、世界の見え方が変わるはずです。

私たちは、言葉の力を軽く見すぎています。同じ内容でも、「どう言うか」を少し変えるだけで、相手の反応は180度変わります。交渉、セールス、人間関係……あらゆる場面で壁にぶつかったとき、この『ずばり、どう言えばいいのか』は、あなたのポケットに忍ばせておくべき最強の「カンペ」になるはずです。


▼ 合わせて読みたい

『ずばり、どう言えばいいのか』の「魔法の言葉」の威力を、行動科学やリーダーシップ論からさらに裏付けるための必読リストです。

【第114回】『「ことば」の戦略 たった1語がすべてを変える。』 [選定理由:深化] なぜ特定の言葉がこれほどまでに人間の行動を変えるのか。ペンシルベニア大学ウォートン校のジョーナ・バーガー教授が、言葉が持つ隠れた影響力を科学的なデータで解き明かした一冊。魔法の言葉の「種明かし」がここにあります。

【第122回】『人を操る説得術 ──7ステップで誰でもあなたの思いのまま』 [選定理由:応用] 相手の潜在意識に直接アクセスし、YESを引き出すための心理学。魔法の言葉を使う「前」に、相手の脳にどのような下準備(プライミング)をしておけば良いかが学べます。

【第116回】『LEADER'S LANGUAGE 言葉遣いこそ最強の武器』 [選定理由:展開] マルケ艦長が説く「リーダーの言葉遣い」。魔法の言葉はセールスや交渉だけでなく、部下を育成し、組織の心理的安全性を高めるためにも絶大な威力を発揮します。

【第4回】『現代広告の心理技術101』 [選定理由:源流] 今回の魔法の言葉が「話し言葉」だとしたら、こちらは「書き言葉(コピーライティング)」の魔法です。人間の根源的な欲求を刺激し、行動を促すための心理トリガーが網羅されたバイブルです。


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