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東金市長選挙から見えた地方選挙の正体――立川こしらが語る、同級生ネットワークと現職敗北の構造――



東金市長選が終わった。

結果だけ見れば、新人が現職を破った――それだけの話に見える。

けれど地方選挙というのは、数字だけ追ってもたぶん半分しか見えない。

応援に来たのは、地元出身の落語家・立川こしら。
寝屋川市からは広瀬市長も駆けつけた。
弟子のかしめは朝から晩まで現場にいて、最後の万歳シーンではしっかりテレビに映っていた。
同級生たちは自然に役割を持ち、誰かが声をかければ誰かが動く。
その横で犬のミルクちゃんが歩いていて、こしら師匠は演説を終えたあと、しばらくその犬を撫でていた。

一見すると、のどかな地方の選挙風景だ。

でも、その空気の中で現職は敗れた。

なぜ長く市政を担ってきた現職が負けたのか。
なぜ新人に「変わるかもしれない」が乗ったのか。
そして地方選挙は、実際には何で決まるのか。

立川こしらに聞くと、答えは意外なほどあっさりしていた。

「地方ってね、“政策見てます”って言うけど、最後は昨日どこに立ってたかなんですよ」

立川こしらが語る東金市長選――同級生、犬、現職敗北、そして地方政治のちょっと面倒くさい本当の話

東金市長選が終わった。

結果だけ見れば、新人が現職を破った。

ニュースはだいたいそこで終わる。
「新人当選」「現職敗れる」「刷新求める声」――だいたいこの三点セットでまとまる。

でも地方選挙って、その書き方をすると何も見えない。

むしろ、その一行で見えなくなるものの方が多い。

誰が朝から立っていたか。
誰が最後まで帰らなかったか。
誰が電話をかけ続けたか。
誰がただ犬を撫でていたか。

地方って、そういうものなんです。

今回、応援に入った東金出身の落語家・立川こしらに、現場で見えたものを聞いた。


「地方は“政策です”って言うけど、最後は顔なんです」

――今回の東金市長選、新人勝利という結果になりました。率直にどう見ましたか。

立川こしら:

まあね、数字だけ見ると「新人勝ちました」で終わるんですよ。

でも地方って、数字で語るとだいたい外すんです。

国政選挙はまだ数字でいいんですよ。

経済とか、防衛とか、外交とか、遠い話を遠い言葉で決めるから。

でも地方は違う。

もっと近い。

  • ゴミの日が変わるのか

  • 保育園どうなるのか

  • あそこの道いつ直るのか

  • 病院ちゃんと回るのか

この距離なんです。

だからね、

政策見てます

って皆さん立派なこと言うでしょう。

もちろん見てる人もいる。

でも最後に投票箱の前で手を動かすのは、

あ、この人この前スーパー前にいたな

これだったりするんですよ。

地方ってそういうものです。

綺麗ごとじゃなく。


「応援演説はした。でも犬がいたから撫でた」

――師匠もかなり現場に入っていました。

立川こしら:

応援演説はちゃんとやりましたよ。

そこはやる。

ただ、そのあと犬がいたんですよ。ミルクちゃん。

そりゃ撫でますよ。

だって演説終わって犬いたら撫でるでしょう。

でもこれが地方選なんです。

東京だと有名人が来ると空気がちょっと固くなる。

地方は犬がいる。

子どもが横切る。

買い物帰りの人が「あらどうも」って来る。

つまり、

生活の途中に選挙がある

んです。

だからずっと戦闘モードだと逆に浮く。

地方は、力みすぎると負ける。


寝屋川の広瀬市長が来ても、犬は普通に歩いてる

今回の応援には寝屋川市の広瀬市長も入った。

――広瀬市長の応援はどう見ましたか。

立川こしら:

あれはね、普通に考えるとすごいですよ。

寝屋川から東金まで来るんだから。

でも今の地方行政って横で意外とつながってる。

市長同士で、

あそこ面白い
あれやってる
ちょっと見てる

ってあるんです。

広瀬市長って改革型でしょう。

だから来るだけで空気は変わる。

「あ、この選挙、外からも見られてるんだ」ってなる。

ただね、

ここ勘違いするとダメなんだけど、

来たから勝つ

じゃないんですよ。

地方はそんな単純じゃない。

広瀬市長が来ても、横で犬が歩いてる。

これが地方。

つまり、

応援に誰が来たかより、そのあと誰が残ったか

こっちなんです。


「地方最強は政党じゃなくて同級生」

今回、いちばん強く見えたのは同級生ネットワークだった。

立川こしら:

地方で一番強いのは政党じゃないです。

同級生。

これ、都会の人わからないと思うけど、本当に強い。

  • 断れない

  • 昔から知ってる

  • 親まで知ってる

  • 家の場所も知ってる

天然の組織です。

今回も小林くん、コバンが頑張ってたでしょう。

ああいう人が現場を持つ。

表に出ない。

でも効く。

ポスター百枚より、

コバンがそこまでやるなら

これで一軒動く。

地方ってその積み重ねなんです。


ただし、同級生が強すぎると息苦しくもなる

でもね、これも裏返しがある。

同級生が強いってことは、

断りづらいんです。

地方って優しいようで圧もある。

「あれ頼まれたから行くか」

「顔出さないと悪いかな」

これが積み上がる。

だから地方選って、

綺麗な民主主義だけで語るとちょっと違う。

人間関係の圧力もちゃんとある。

でも、それ込みで地域なんです。


弟子のかしめは、最後までいた

弟子の立川かしめも現場で何度も見かけられた。

最後の万歳でもテレビに映っていた。

立川こしら:

あいつね、気づくといる。

朝いる。

昼いる。

最後もいる。

万歳で映ったのも狙ってないと思う。

単純に最後までいたから。

地方選って、

最後まで残ってる人が信用になる

途中で帰る人、多いから。

最後までいるって、それだけで戦力です。


なぜ現職は負けたのか

――ここが一番聞きたいです。

立川こしら:

現職ってね、

失敗したから負けるとは限らないんです。

むしろ、

ちゃんとやってても負ける

がある。

長くやると安定する。

でもその安定がある日、

変わらない

に聞こえる。

これ怖いですよ。

本人は昨日も今日も仕事してる。

でも有権者側に、

なんかずっと同じだよね

が出る。

地方ってこれが急に来る。


現職は「やったこと」が風景になる

道路できた。

施設できた。

制度回った。

でも何年か経つと、

全部風景になる。

当たり前になる。

評価されなくなる。

これ現職のつらさです。

新人は、

まだ何もやってないから期待が乗る

現職は、

やってても慣れられる

ここで不利。


現職が負けるときは、だいたい“空気”が先に止まる

批判が爆発したわけじゃない。

でも、

なんとなく動かない。

なんとなく新鮮味がない。

なんとなく聞いてもらえなそう。

この“なんとなく”が積もる。

地方選はこれで決まる。


新人が勝つときは「全部変える」はいらない

新人ってね、

全部新しくなくていい。

地方で強いのは、

話を聞いてくれそう

これ。

今回もそこが乗った。

  • 同級生が自然に動く

  • 外から広瀬市長が来る

  • 地元の空気が固まりすぎない

  • 犬が歩いてる

このバランス。

盛りすぎると地方は引く。

自然に広がると強い。


落語と地方選は同じ。「枕」で決まる

落語って大ネタじゃないんです。

最初の五分。

枕。

「あ、この人聞けるな」

これで決まる。

地方選も同じ。

ポスターより、

  • 昨日どこにいたか

  • 誰と話したか

  • 誰の名前を覚えてたか

これ。

一発逆転の名演説なんてほぼない。

百回の雑談が勝つ。


そして地方は、ちょっとだけ面倒くさい

地方って美談にされがちだけど、

面倒くさいですよ。

顔が近いから。

逃げられない。

でもその面倒くささがあるから、

最後に人が動く。

都会だと無関心で終わることが、

地方だと誰かが立つ。

今回もそうでした。


最後に一言で言うなら

立川こしら:

同級生は強い。犬も強い。市長も来る。

これです。

広瀬市長が来ても犬は歩く。

コバンは走る。

かしめは最後までいる。

私は犬を撫でる。

でも最後に票を押すのは、

あの人、最後までいたな

そこなんです。

地方選って、そういうもんですよ。


立川こしら

落語家。千葉県東金市出身。落語立川流真打。

古典落語を軸にしながら、デジタル・地方文化・行政・選挙・地域コミュニティにも独自の視点を持つ。

現場に立って見えた空気を、落語家らしい距離感で言葉にするのが持ち味。

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