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「独裁スイッチ」とインターネット

「独裁スイッチ」をご存知でしょうか。

ドラえもんの秘密道具です。
簡単にその機能を説明します。

  • 「○○なんて消えてしまえ」と言いながら、スイッチを押すと、その対象を世界から消すことができる。

  • 消された対象は、世界から存在が消えるだけではなく、はじめから「存在していなかったもの」とされる。そのため、スイッチを押した本人以外は、誰かが消えたことにも気づかない。

ドラえもんらしからぬ、とても恐ろしい機能を備えています。
「独裁スイッチ」が登場するエピソードでは、のび太はこの秘密道具をドラえもんから授かり、「利用」していくわけですが、果たして結末は……
ここから先はぜひ原作をお読みください。

もし、独裁スイッチがあったら?

「独裁スイッチ」はなかなか衝撃的なエピソードなので、幼い頃に読んで以来、ときどき思い出してしまいます。

そして考えます。

もし、独裁スイッチが手元にあったら、自分は押さずにいられるだろうか?

のび太も最初はスイッチを恐れていました。
しかし、実は、あるとき衝動的にスイッチを押してしまいます。

ここでの描写は妙にリアルなもので、確かに長い人生、誰かが憎くなって、「消えてしまえばいいのに」と思うことがないとも言い切れません。

ふとした拍子に押してしまうかもしれません。

幸いなのは、「独裁スイッチ」が実在しないことです。

実は「独裁スイッチ」は存在する?

しかし、よく考えてみると、「独裁スイッチ」のようなものは既に身近なところにあるのかもしれません。

私が恐れているのは、独裁スイッチのWeb版です。

といっても、どこか危険なWebページの存在を知っているわけではなくて、日常的に使っている機能が独裁スイッチと同様の性質を持ちうるのではないかと思っています。

Web版独裁スイッチ

私が言うWeb版独裁スイッチの正体は、SNSのフォローやブロック、ミュートといった機能です。

最近では、TwitterやInstagramをはじめ、多くのSNSで採用されていますが、これらの機能は独裁スイッチと似ているところがあります。

冒頭に書いた独裁スイッチの機能と照らし合わせて考えてみましょう。

「○○なんて消えてしまえ」と言いながら、スイッチを押すと、その対象を世界から消すことができる。

「フォローを外す」「ブロックする」「ミュートする」といった簡単な操作で、対象をタイムラインから消すことができる。

消された対象は、世界から存在が消えるだけではなく、はじめから「存在していなかったもの」とされる。そのため、スイッチを押した本人以外は、誰かが消えたことにも気づかない。

タイムラインから除外された対象は、それ以降、視界に入ることがない。

SNSにおいて、タイムラインはひとつの世界。
基本的には、タイムラインがその人が認知する情報の範囲を決めることになります。

とすれば、フォローを外したり、ミュートをすることで、認知されない領域に追いやるということは、独裁スイッチを押すこととよく似ているように感じます。
(異なる点があるとすれば、「消された人」がどうなるか……ですが、それについては原作をあたってみてください)

「安定」を保つ方法とは

邪魔者は消してしまえ。

……と独裁スイッチの説明をしながら、ドラえもんがのび太に語りかけます。

私なりに、独裁スイッチの基本方針を解釈するならば、
「安定を保つための簡単な方法は、安定を脅かす存在を排除すること。」

このように言葉にすると、穏やかでない印象がありますが、程度の違いはあれど日常的にしていることなのかもしれません。

「フォローを外す」「ミュートする」といった行為は、「不快になるもの」を視界から排除することでもあります。

しかしながら、これらの行為を批判するつもりはありませんし、私自身も自己防衛のために実行することがあります。
そもそも公式の機能として導入されている以上、各種のSNSもそうした立ち回りを求めているようにも思われます。

まとめにかえて

フォローやミュートといった機能は、自分なりにタイムラインをカスタマイズし、SNSを快適な空間にしてくれます。

しかし、それは「自分に合わないもの」を排除し、好きなものだけを集めていくということにもなり得ます。

場合によっては、思想の偏りが強まっていくリスクも考えられます。

平穏と快適さを追求するべきなのか、
それとも、多少のストレスを許容しつつも、思想の多様性を尊重していくべきなのか?

ストレスフリーは理想的な状態なのだろうか?

答えは出ませんが、Web版独裁スイッチの恐ろしさについては、時々考えてみる必要があるのではないかと思っています。

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