犬とのすれ違い、カフェ、インターホンで吠える愛犬。叱る、無視する、座らせる、慣らすなど異なる助言に迷った飼い主さんが、専門家への相談で見つけた対策を紹介
「また吠えた……」
犬とすれ違った時。
カフェで人が近くを通った時。
家のインターホンが鳴った時。
そのたびに愛犬が大きな声で吠え、飼い主さんは周囲へ「すみません」と謝っていました。
家に帰ると、今度は自分を責めます。
「子犬の頃のしつけが足りなかったのかな」
「もっと厳しく教えた方がよかったのかな」
愛犬を嫌いになったわけではありません。
むしろ大切だからこそ、何とかしてあげたい。
そこで、犬を飼っている知人や周りの飼い主さんに、どんな対策をしているか聞いてみました。
みんなの答えは、全部違っていました
ある人は言いました。
「吠える前に『座れ』をさせるといいよ」
別の人は、
「吠えた時に反応すると覚えるから、無視した方がいい」
また別の人は、
「犬が怖がっているだけ。いろいろな人や音に慣らしてあげれば大丈夫」
「うちは外では吠えないけれど、庭を通る人には吠える」
「トラックが止まっただけで玄関へ走っていく」
「特定の宅配業者には吠えるのに、別の車には吠えない」
どの話も、実際に犬と暮らしている人の経験です。
全部もっともらしく聞こえました。
でも、聞けば聞くほど、飼い主さんはわからなくなっていきました。
「叱るの? 無視するの?」
「座らせるの? それとも自由にさせるの?」
「慣れさせた方がいいの? 怖がっているなら離れた方がいいの?」
そして、いろいろな方法を少しずつ試し始めました。
「昨日と言っていることが違う」と、愛犬も迷っていた
インターホンに吠えた日は、大きな声で止めました。
次の日は、無視してみました。
散歩で犬へ吠えた時は「座れ」と言い、別の日はおやつを見せて通り過ぎました。
カフェでは「慣れれば大丈夫」と思い、少し長めに滞在してみました。
ところが、愛犬の吠えはなかなか変わりません。
むしろ飼い主さんの声が届かない場面が増えたように感じました。
それも無理はありません。
人から教えてもらった方法が間違っているとは限りませんが、理由の違う吠えに、同じ方法が使えるとは限らないからです。
さらに、日によって対応が変わると、犬からしたら「この場面では何をすればよいのか」を理解しにくくなります。
飼い主さんは、また自分を責めました。
「私のやり方が下手なんだ」
「この子は、もう直らないのかもしれない」
プロに聞かれて、初めて気づいたこと
困り果てた飼い主さんは、ようやく犬の行動を見られるVitaに相談に来られました。
そこで最初に質問したのは、
「どんな方法を試しましたか?」
ではありませんでした。
「吠える直前、愛犬は何を見ていますか?」
「相手との距離はどのくらいですか?」
「体は前へ出ていますか。それとも逃げようとしていますか?」
「自宅、散歩、カフェで、吠え方は同じですか?」
飼い主さんは、すぐには答えられませんでした。
これまでは「吠えた」という結果ばかりを見て、その前の愛犬の様子をほとんど見ていなかったからです。
そこで数日間、場面を分けて観察しました。
インターホンでは、音が鳴った瞬間に玄関へ走る
散歩では、相手の犬を見つめ、体を固くしてから吠える
カフェでは、しばらく過ごして疲れた頃に反応が増える
同じ「吠える」でも、始まり方が違いました。
吠えには、その場面ごとの理由がある
飼い主様にお伝えしたのは、吠えをひとまとめにしないことでした。
インターホンや配達車
突然の音への驚きや、自宅を守ろうとする警戒が関係していることがあります。
犬が吠えた後に配達員が立ち去る状況が続くと、「吠えたから相手がいなくなった」と学習している可能性もあります。
犬とのすれ違い
相手が怖い、近づきたい、興奮している、リードで自由に動けず焦っているなど、犬によって理由が異なります。
カフェ
人や犬との距離、食べ物のにおい、足音、椅子を動かす音、滞在時間の長さなど、複数の刺激が重なっていることがあります。
つまり、知人に効果があった方法が愛犬に合わなかったのは、飼い主さんの努力不足ではありませんでした。
スタート地点となる「吠える理由」が違っていただけだったのです。
吠える前に助けること
飼い主さんは、吠える直前に出る小さな変化を見るようになりました。
耳が音の方向へ向く
口を閉じる
相手をじっと見つめる
体が固くなる
前方へ体重をかける
この段階なら、まだ飼い主さんの声を聞けることがあります。
相手との距離を取り、名前を呼び、こちらを見られたら褒める。
カフェでは出入口から離れた席を選び、短い時間で帰る。
インターホンは音量を調整し、玄関から離れた場所で待つ練習をする。
「おすわり」も、吠え始めてから強く命令するためではなく、落ち着いている場所で練習し、愛犬ができる段階で使うようにしました。
無理に人や犬へ近づけて「慣れなさい」と我慢させることもやめました。
安心できる距離から、小さな成功を積み重ねました。
すぐに吠えがゼロになったわけではありません
相談した翌日から、愛犬が一度も吠えなくなったわけではありません。
それでも、飼い主さんの気持ちは大きく変わりました。
「また失敗した」ではなく、
「今日は近すぎたのかもしれない」
「疲れていたから、早めに帰ろう」
「吠える前にこちらを見られた」
と考えられるようになったからです。
愛犬を叱る回数が減り、飼い主さん自身も散歩や外出を怖がらなくなりました。
何より、
「私のしつけが悪かった」
「この子は問題のある犬だ」
と、犬と自分のどちらかを責めなくてよくなりました。
「もっと早くプロに相談すればよかった」
飼い主さんが最後に感じたのは、誰かの体験談が役に立たなかったということではありません。
体験談は、考え方のヒントになります。
ただし、犬の性格、生活環境、吠える理由が違えば、必要な対応も変わります。
たくさんの情報を集めて迷い続けるより、
自分の犬を実際に見てもらい、何が起きているのかを一緒に整理する。
その方が、結果的に近道になることがあります。
「もう少し早く相談していれば、この子にも、自分にも、あんなに怒らなくて済んだかもしれない」
飼い主さんは、そう話していました。
あなたの愛犬は、吠える前に何をしていますか?
まずは一度、吠えた瞬間ではなく、その少し前を観察してみてください。
いつ、どこで、何を見て、どのくらいの距離で反応したのか。
体が固くなったのか、前へ行こうとしたのか、逃げようとしたのか。
そこに、その子に合った対策を考えるヒントがあります。
なお、吠え方が急に変わった、触ると痛がる、人や犬へ噛みつこうとするなどの場合は、体調や痛みが関係する可能性もあります。まず動物病院へ相談してください。
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