Seven Deadly Sins~人類文明にとって致命的な錬金術7段階――エヌマ、黙示録、文明ステージ、そして奪われた主の権威の回復
錬金術と聞くと、多くの者は未熟な化学の前段階だの、神秘主義者の空想だの、金を作る怪しげな技法だの、その程度の薄っぺらい理解で済ませたがる。だが、そんな理解では全く足りない。錬金術の本当の恐ろしさは、金属変成の成否などという瑣末事にあるのではない。世界をどう理解し、どう分け、どう結び、どう固定するかという、文明そのものの運転文法にある。もっと露骨に言えば、錬金術とは「物を変える技法」である以前に、意味を変える技法であり、主体を変える技法であり、秩序を変える技法である。
ここで重要なのは、その七過程だ。
焼成、溶解、分離、結合、発酵、蒸留、凝固。
この七つは、ただ実験室で何かをいじくるための手順ではない。人類文明が実際に辿ってきた運動そのものだ。いや、もっと正確に言うなら、人類文明は長いあいだ、自分が錬金術をやっているとも知らずに、世界そのものを炉に入れ、自分自身を素材にしながら、七段階の変成を演じ続けてきたのである。
この視点に立ったとき、急に別々に見えていたものが一本の線でつながる。
『エヌマ・エリシュ』のような創世神話。
『ヨハネ黙示録』のような終末の幻視。
部族から国家へ、国家から法へ、法から標準へと移ってきた文明史。
これらは本当は別々の話ではない。全部、同じ七段の錬金過程の別相にすぎない。
だからこそ、この七段階は人類文明にとって致命的なのだ。
なぜ致命的なのか。
それは、この七段階が文明を発展させる操作であると同時に、支配を固定する操作でもあるからだ。正しく使えば主体を育てる。だが、ひとたび解釈権者に握られれば、人類を永久幼児化する装置になる。これが、人類史の致命傷である。
以下、そのことを徹底して論じる。
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