膝の上の猫を撫でながらふと思う
膝の上では、うちの猫が気持ちよさそうに眠っている。
喉を鳴らしながら丸くなった背中を撫でていると、不思議と心が落ち着く。
そんな何気ない時間の中で、ふと思った。
自分はあと何年、今みたいに遊べるんだろう。
最近、そんなことを考えるようになった。
若い頃は、将来のことなんてあまり気にしていなかった。
働いて、お金を貯めて、結婚して、定年まで勤め上げて、老後はのんびり過ごす。
そんな人生が当たり前だと思っていた。
でも年齢を重ねるにつれて、その「当たり前」が少しずつ現実味を失ってきた。
定年や年金の制度は今後どう変わるか分からないし、物価や税金、社会保障も変化していく。
もちろん働くことは嫌いじゃない。
今の仕事にも意味はあるし、生活のためには収入も必要だ。
ただ、最近気になるのは、将来のために走り続けた先で、本当に今やりたいことを楽しめるのだろうかということだ。
私はロードスターが好きだ。
天気の良い日にオープンで走るだけで気分が変わる。
目的地なんてなくてもいい。
ただ走ることそのものが楽しい。
バイクも好きだ。
エンジンを回しながらワインディングを走る時間は、日常の悩みを忘れさせてくれる。
最近はまたカメラを持って出かけるようになった。
朝焼けや夕焼けを追いかけたり、愛車を好きな構図で撮ったりする時間が楽しい。
ひとりキャンプで自然の中に身を置く時間も好きだし、ゴルフで仲間と笑いながらラウンドするのも楽しい。
でも、そんな趣味を楽しむには体力や気力、そして自由に休みを取れる時間も必要だ。
早朝に起きることも、長距離を運転することも、バイクを操ることも、撮影のために歩き回ることも、今だから当たり前にできているだけかもしれない。
もちろん年齢を重ねても元気な人はたくさんいる。
けれど、それが誰にでも約束された未来ではない。
だからこそ思う。
老後への備えは大切だが、そのためだけに今を我慢し続ける人生も違うのではないか、と。
人生には「今しかできないこと」がある。
今だから乗れるバイクがある。
今だから行ける場所がある。
今だから感じられる景色がある。
今だから会える人がいる。
それらはお金を貯めても後から買い戻せるものではない。
最近はロードスターで出掛ける時間も、バイクで走る時間も、カメラを持って撮影する時間も、以前より大切に感じるようになった。
何か特別なことをしているわけではない。
ただ、自分が好きだと思える時間をちゃんと生きている。
ただそれだけ。
未来も大事だ。
でも、未来のためだけに生きるのは違う。
今も大事だ。
そんな当たり前のことを、猫を撫でながら考えていた。
膝の上で猫が相変わらず気持ちよさそうに眠っている。
猫は老後の心配なんてしない。
将来の不安も考えない。
ただ今、この瞬間を生きている。
それを見ていると少し羨ましくなる。
結局のところ、未来がどうなるかなんて誰にも分からない。
だから私はこれからも将来に備えながら、今しかできないことも大切にしていきたい。
ロードスターに乗ること。
バイクで走ること。
カメラを持って出掛けること。
キャンプで自然の中に身を置くこと。
ゴルフで仲間と笑いながらラウンドすること。
そして膝の上の猫を撫でながら、時々こんなことを考えること。
「成るように成る」
最近は、その言葉が昔より少しだけ好きになった。
