「20兆円の使途を把握していない」──国会答弁が浮き彫りにした再エネ賦課金の”空白”
「20兆円の使途について、詳細を把握しておりません。」
この国会答弁を聞いて、多くの国民が驚いたのではないだろうか。
再エネ賦課金は、私たちが毎月支払っている電気料金に上乗せされている負担だ。
制度開始から十数年。
累計では約20兆円規模とも言われる国民負担となった。
その制度について、
「最終的に誰へどのように支払われたのか、詳細は把握していない」
という趣旨の答弁が行われたのだ。
私は、この答弁を聞いて一つの疑問を持った。
本当に把握していないのか。それとも説明できないのか。
この質問は突然出てきたものでは無い。
国会質疑では、一般的に事前に質問内容が伝えられ、各省庁は答弁を準備する。
その上で、
「把握しておりません。」
という回答だったのであれば、疑問が残る。
・本当に集計していないのか。
・担当者が知らなかっただけなのか。
・説明できない事情があるのか。
どれなのかが分からない。
しかし、20兆円という金額を考えれば、
「詳細は把握していません」
だけで終わる話ではないだろう。
掘れば掘るほど増える疑問
今回の答弁をきっかけに改めて整理してみると、疑問は一つではない。
① 資金は誰に流れたのか
・発電事業者ごとの支払額
・国内企業と外資系企業の割合
・海外資本の関与状況
・最終的な受益者
行政はどこまで把握しているのだろうか。
② 中国製ソーラーパネルへの依存
現在、世界の太陽光パネル市場では中国企業の存在感が非常に大きくなっている。
日本でも多くの設備で中国製品が採用されている。
すると当然、
「国民負担が海外メーカーや海外サプライチェーンへどの程度流れているのか」
という疑問が生まれる。
これも本来なら数字で説明できるはずだ。
③ 本当に採算は取れているのか
政策評価は、
「発電した」
だけでは終わらない。
考えるべきなのは、
・再エネ賦課金
・送電網増強
・出力制御
・調整電源
・蓄電池
・保守費用
・将来の撤去費
まで含めたライフサイクル全体だ。
国民負担全体を見た費用対効果は、十分説明されているだろうか。
④ 廃棄・リサイクル問題
太陽光パネルは永久に使える設備ではない。
寿命が来れば撤去・廃棄が必要になる。
・積立金は十分なのか
・事業者が倒産したらどうするのか
・山林設置設備は撤去できるのか
・不法投棄は防げるのか
以前から指摘されてきた課題だが、まだ将来への不安は残っている。
⑤ 安全保障
近年は欧米でも、
エネルギーインフラと経済安全保障は切り離せないという考え方が広がっている。
中国製設備への依存。
サプライチェーン。
通信機器。
遠隔監視。
重要インフラとの関係。
これらを政策評価から切り離すことはできない。
⑥ 監査は十分だったのか
ここが今回最も気になった点だ。
20兆円規模の制度であるなら、
・経済産業省
・資源エネルギー庁
・会計検査院
などが、
制度全体を継続的に検証していても不思議ではない。
もし十分なデータがあるなら、
今回の国会で説明できたはずだ。
もし無いのであれば、
それはそれで制度運営上の大きな課題になる。
この問題の本質
本当に問われるべきなのは、
20兆円もの国民負担について、誰が全体像を把握し、誰が検証し、誰が説明責任を負うのか。
という点だ。
政策には賛否がある。
しかし、どの政策であっても、
巨額の国民負担を伴う以上、
透明性と説明責任は民主主義の基本だ。
今回の国会答弁は、
日本の行政がどこまで制度全体を把握し、国民へ説明できる体制になっているのか。
そのことを改めて問い掛ける出来事だったように思う。
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