EV自動車消滅の危機!?ガソリン車はなくならない
1. EV失速で進む“ハイブリッド回帰”
ガソリン車終了シナリオに変化が起きています。
数年前まで、自動車業界では「ガソリン車は近い将来なくなる」という空気が強く広がっていました。特に欧州では、2035年までにガソリン車販売を実質終了させる方針が打ち出され、多くのメーカーがEV=電気自動車への全面移行を急ぎました。
しかし2025年から2026年にかけて、その流れに大きな変化が起きています。
最大の理由は、「EVだけでは市場が回らない」という現実が見え始めたことです。
実際、自動車大手各社の決算を見ると、EV関連投資の負担は極めて大きく、収益を圧迫しています。
Honda はEV開発見直しによる減損を計上し、Toyota Motor Corporation はハイブリッド車(HV)を軸にした戦略を継続。さらに世界市場ではHV需要が再び拡大しています。
特に注目されているのが、「完全EV化」ではなく、“現実路線”への修正です。
自動車メーカー側も、
EV、HV、PHEV(プラグインハイブリッド)、合成燃料、水素
などを地域ごとに使い分ける方向へ移行し始めています。
つまり、かつて語られていた「ガソリン車ゼロ社会」は、現実にはかなり難しいことが見え始めたのです。
2. EVが失速した理由
EV市場が伸び悩み始めた背景には、いくつもの現実的問題があります。
まず最も大きいのは「価格」です。
EVはバッテリーコストが高く、ガソリン車より高額になりやすい。補助金がなければ購入が難しいケースも少なくありません。
さらに冬場の航続距離問題もあります。
寒冷地ではバッテリー性能が低下し、航続距離が大きく減少することが知られています。暖房使用による電力消費も増え、特に雪国では不安視されています。
次に、充電インフラ不足です。
都市部では充電設備が増えていますが、地方や集合住宅ではまだ十分とは言えません。長距離移動時の「充電待ち問題」も課題です。
さらに中古EV市場の価格下落も深刻です。
バッテリー劣化への不安や、新型EVの急速な値下げ競争により、中古価格が崩れやすい状況が起きています。
欧州メーカーの収益悪化も重要です。
EVシフトを急いだ結果、巨額投資が利益を圧迫。一方で、中国EVメーカーが低価格攻勢を仕掛け、欧州勢は価格競争で苦戦しています。
つまりEV失速は、「環境意識が低いから」ではなく、
コスト・利便性・インフラ・競争環境・収益性
など、非常に現実的な問題が重なった結果なのです。
3. 欧州の“ガソリン車全廃”が後退した証拠
欧州EV一本化に揺らぎ 世界で再評価されるガソリン車とHV
欧州はこれまでEV化を世界で最も強く推進してきました。
しかし現在、その方針には明確な修正圧力が出ています。
象徴的なのが、「e-fuel例外」の追加です。
EUは2035年以降のエンジン車販売禁止方針を掲げていましたが、合成燃料(e-fuel)を使用する車については例外を認める方向へ修正されました。
これは事実上、「内燃機関を完全には消せない」という現実を示しています。
さらにGermany や Italy では、EV一本化への反対意見が強まりました。
理由は、
雇用問題、自動車産業保護、電力供給不安、中国依存リスク
などです。
加えて欧州全体でEV販売成長が鈍化。補助金縮小後に需要減速も発生しています。
EU議会内でも、
「本当にこの速度で全面EV化できるのか」
という再検討論が広がっています。
つまり、“欧州=完全EV一直線”という構図自体が、すでに変化し始めているのです。

