オーパ!世界の感嘆詞

人生あと何回オーパを経験できる?

先日、ふと開高健の『オーパ!』を思い出した。

若い頃に読んだ時は、巨大魚を追う冒険譚だと思っていた。

しかし50代後半になり、再びメキシコへ赴任した今読むと、まったく違う本に見える。

それは、

「人生であと何回、心から驚けるだろうか」

という問いを投げかける本だった。

オーパ!とは何か

ブラジルでは驚いた時や嬉しい時、失敗しそうになった時などに、

「オーパ!」

と言うらしい。

日本語で言えば、

「おっ!」
「おっと!」
「おお!」

を全部足したような言葉だ。

開高健はアマゾンで巨大魚ピラルクーを追いながら、この言葉に魅了された。

巨大魚が水面を割って現れる。

オーパ!

見渡す限り続くアマゾンの大河。

オーパ!

未知の世界との遭遇。

オーパ!

彼にとって釣りは魚を獲ることではなく、「オーパ!」を探す旅だったのだと思う。

世界のオーパ!

考えてみると、各国には似たような言葉がある。

中国では、

「哎呀!(アイヤー!)」

何か失敗した時も、驚いた時も使う。

中国駐在時代、私も周囲から毎日のように聞いたし、

自分で口走ってしまうことすらある。

韓国なら、

「아이고!(アイゴー!)」

困った時にも驚いた時にも出てくる。

メキシコなら、

「¡Órale!(オラレ!)」

驚きと感動と勢いが混ざったような言葉だ。

日本だと、

「おっ!」
「おっと!」

だろうか。

国は違っても、人間は何かに驚き、感動し、その瞬間に思わず声を上げる。

それは共通なのかもしれない。

『風に訊け』の教え

開高健は晩年のエッセイ『風に訊け』で、

「悠々として急げ」

という言葉を残している。

慌てる必要はない。

しかし立ち止まってもいけない。

人生は有限だからだ。

そしてもう一つ。

人は年齢で老いるのではない。

驚かなくなった時に老いる。

そんなメッセージが本の随所から伝わってくる。

57歳のオーパ!

私は現在57歳。

中国駐在、メキシコ駐在、日本帰任を経て、再びメキシコに戻ってきた。

若い頃は出世や仕事の成果を追っていた。

しかし今は少し違う。

ワールドカップがメキシコで開催される。

オーパ!

AIが日々進化している。

オーパ!

知らないレストランに入る。

オーパ!

新しい投資先を見つける。

オーパ!

こうした小さな驚きの積み重ねが、人生を面白くしているような気がする。

次のオーパ!を探しに

定年が近いとか、
年齢が57歳だとか、

そんなことはあまり重要ではないのかもしれない。

重要なのは、

明日、自分が何に驚くか。

何に感動するか。

何に挑戦するか。

開高健がアマゾンで探していたのは巨大魚ではなく、

人生の「オーパ!」

だったのだろう。

さて、次のオーパ!はどこにあるだろうか。

メキシコの街角か。

ワールドカップのスタジアムか。

それともAIとの対話の中か。

風に訊いてみようと思う。

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