『タルタル・アドベンチャー』
冬の朝、軒下には立派なつららが並び、キラキラと太陽を弾いている。
男の子は、オレンジ色のモコモコした防寒着に身を包み、意気揚々と庭の三輪車を走らせている。
「いってきまーす! 冒険にいくよ!」
その姿は、後ろから見ると、どこからどう見ても巨大なエビフライのよう。お母さんが奮発して買った、起毛素材のふわふわジャンプスーツ。尻尾のようにピンと立った足先が、ペダルを漕ぐたびにピョンピョン~と跳ねる。
「ちょっと待って~!」
お姉ちゃんの芹香さんが、庭の半分も進んでいない弟を走って追い越した。
「はい、忘れ物~」
芹香さんが差し出したのは、真っ白で丸い、ウール100%のニット帽。 男の子がそれを被ると、今度は頭の先までたっぷりタルタルソースがかかった、まさにエビフライが完成した。
「あ、これがないと完成しないもんね!」
男の子は満足げに、再びキコキコと三輪車を漕ぎ出す。
「夕飯までには帰ってきなさいよ、揚げたてのエビフライくん」
芹香さんは、寒空の下、世界一ゆっくり進む美味しそうな冒険者を、いつまでも笑顔で見送っていた。
※ 今回のお題は、簡単そうに見えたのに、とても苦戦しました。
こんな苦し紛れのアイデアになってしまったけれど、
いちおう参加させてください。
いつものように、スペースオペラにしたかったのに……。
三輪車がネックでした(-_-;)
そうだ、こんなお題ください→「宇宙船」「美女」「レーザー銃」
えっと、……冗談です。古典的スぺオペの典型的な三題、(笑)
#せりふ三題噺 に参加します。
■セリフ
「はい、忘れ物」
■三題
・エビフライ
・三輪車
・つらら
